”出口がない”とは脱出できない、ということか。「人間魚雷」やはり“特攻”という捨て身の作戦であり、“言葉”としては知っていても現実を良くわかってはいなかった。今回その何たるかを初めて知ったような気がする。
(以下ネタバレあり)
太平洋戦争末期。もはや体力的にも経済的にも限界が近い日本国。志願兵でありながらもすでに”敗戦”を意識しだした者さえチラホラと現われ始めた時期。それでも「国のために」と戦うことを止めない、止められない。
わかっていながら何故死にに行くのかと問われ、『それが問題だ』と笑いながら言った並木の言葉はまったくその通りなのだと思った。
『国と国との戦いに個人はない』と言っていた並木はやがて敵とは?兵器とは?と“戦争とは何か”を考えるようになった。
何故”回天”に乗るのか?
『“回天”という兵器があったことを後世に伝える為に死に行く』と答えを出した並木だったが、その最期の中途半端さもまた、並木の本当は割り切れていない思いからの事故だったのではないかと思った。
「特攻は自分には出来ない」と死を恐れた若者がいち早く戦死した。
自ら特攻の決断を下し、回天に搭乗した若者は恐怖と戦いながらも任務を全うした。
「軍神」になることを望んだ若者は、そのまま終戦を迎えた。
戦争とはなんて理不尽なものなのだろう。
今回、特攻隊員の苦労というものを始めて知った。驚いた。
兵器を操るという事は、それだけの知識と運動能力が必要なんだなぁと、なんとも基本的なことでありながらいままでまったく考えたことがなかった。(きっとそれはガンダムのパイロットは、初めてでも簡単にMSの操作をしてしまうという暗黙の了解からかもしれないw)
全て手動の兵器だなんてちょっと考えられない。機械工学はもとより、操作を覚えるだけでもその手順の多さには誰だって辟易しそう。
操縦は至難の業。初の模擬訓練で失敗して「こんなもん一回で出来るかよ~」って叫ぶ並木の気持ちが良くわかる。発進でもたついた為に頭の中が真っ白。そのまま“イルカ”状態に陥るだろうことは予想が付いた。とはいえ理屈じゃわかっていたつもりでも実践ではなかなかうまく出来ない。焦りつつもなんとか持ち直そうとする一生懸命さにはついつい笑ってしまった。
ある意味、特攻隊は“選ばれし者“なんだなぁーと思ってしまった。(私には無理っぽいな)
戦争での生死を扱った作品にしては、生に執着して取り乱したり泣き叫んだりということがなく、復讐や執念に駆られた人間も登場しない。多少の葛藤はあっても、非情さはほとんど感じられず、重苦しさはなかったように思う。
逆に艦長はじめクルーの上下関係を超えたアットホームさを感じてしまうが・・・それは狙いなのかな?そこが違和感といえば違和感だった。
総評:★★★☆☆ オススメ度:★★★☆☆ 普通かな(笑)
追記:TBS系にて「僕たちの戦争」をみた。ここでも回天が登場した。
現代の若者と戦時中の若者がタイムスリップにより入れ替わってしまったことで、それぞれの時代のこと、戦争をとおして自分のことを見つめなおす、そんなお話だった。
途中、過去から来た吾一は、(21世紀の)「こんなわけのわからないいい加減な未来の為に同胞たちは命をかけて戦ってきたというのか?」というような叫びを上げるのだけど、それはまさに、私が「出口のない海」を見ていたときに感じたものだった。彼らが今現在の日本を見たら嘆かわしく思うだろうなぁーと。「ああ、これこれ」というような思いが甦った。
TVはタイムスリップで入れ替わりという、フィクション色が強いものだったけれど、同日に同じようなテーマの作品をみた、ということで映画の鑑賞直後より感慨が深まったかもしれない。
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