カテゴリー「§有川 浩」の36件の記事

2014/09/23

『明日の子供たち』 有川 浩 〔著〕

Asitanokodomotati

約1年半ぶりの新刊は、”児童養護施設”をテーマに執筆された小説。これまでも一般社会的に正しく認知されていない様々なものについて、分かりやすく噛み砕きつつ実情や過酷な現実を盛り込んできた有川作品ではあったけれど、今回はより強く、ストレートに啓蒙するかたちで描かれた作品に思う。
それというのもこの小説は、とある施設で生活している子供から有川先生に送られた手紙が切っ掛けとなって執筆されたとのことらしい。だとすればそうなってしまうのも理解できなくはないのだけど。
限りなくノンフィクションに近いフィクション作品。けれど重さはさほど感じられない。そこが有川マジックか。

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2012/11/18

『旅猫リポート』 有川 浩 〔著〕

Tabineko猫目線と神目線の両方で綴られた、青年とその愛猫によるロードノベル。
主人公の青年の、のっぴきならない事情から十八番のベタ甘は猫相手となったが、猫派の私なだけにこっちもツボにヒット。
・・・なのだけど、温かな人たちの話なのに、それ故に序盤からむせび泣いてばかり。そして違和感が確信に変わった時は号泣。雰囲気としては『阪急電車』に近い感じ?切なさは『レインツリーの国』?
それでもやっぱり、読了感はスッキリと心地良く、今回もやられちゃったな。

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2012/08/08

『空飛ぶ広報室』 有川 浩 〔著〕

Soratobu『三匹のおっさん ふたたび』が発刊の際に予告されていたとおりに、『空飛ぶ広報室』がようやく単行本化された。『空飛ぶ広報室』は電子書籍『E★エブリスタ』で連載されていたもので、加えて書き下ろし短編の「あの日の松島」が収録されている。
基本単行本(文庫本)派なので、電子書籍はもとより雑誌連載には一切手をださないので、書籍化をとても楽しみにしていた『空飛ぶ広報室』は久しぶりに“自衛隊“中心の話。”空飛ぶ“だけに「空自」がメインだ。自衛隊の広報室については、これまで有川先生へのインタヴューやら何やらで話題になることも多かったので、被る内容が多々見られたけれど、マスコミや民間企業を絡めたエピソードであり、官民の意識の差についての突っ込んだ内容はなかなかリアルを突くものがあり、今回もやはり「社会派ライトベル」だなぁと思うものだった。特に3.11の大震災で被災した「松島基地」に特化した短編書きおろしは最たるものになっている。

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2012/04/05

『三匹のおっさん ふたたび』 有川 浩 〔著〕

Osan23年ぶりに”3匹のおっさん”たちが帰って来た!
雑誌の連載はひとつも手を付けずに待っていただけに、文字通り”待望の新刊”だ。
今回も全6話で構成。ますます盛んに現代の身近な問題を3匹が斬りまくる・・・と思いきや、そうした(大がかり?)ものは半分の3話にとどまり、清田家・有村家・立花家の身内話を絡めた一般家庭にもアルアルな話題がそれぞれ1話ずつ(1話・3話・5話)収録されている。
いずれにせよ身近なテーマ(問題)が取り上げられており、さくっと感情移入出来るようになっているところは何時もながらの有川作品で、また今回もイメージ増幅器になっている須藤真澄さんの挿絵もバッチリだ。更に『植物図鑑』とクロスオーバーで書かれた短編『好きだよと言えずに初恋は、』も収録。私のお気に入りの一冊がまた増えてしまったようだ。

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2011/11/27

『ヒア・カムズ・ザ・サン』 有川 浩 〔著〕

Here_comes_the_sun

アニメ『図書館戦争』の柴崎麻子役に(声優)沢城みゆきさんが起用され、その縁から《演劇集団キャラメルボックス》と有川先生の親交が深まり、やがて演劇を扱った小説『シアター!』が『もうひとつのシアター!』という形で舞台化されたのは、有川ファンなら周知のことと思うが、この『ヒア・カムズ・ザ・サン』も《演劇集団キャラメルボックス》と深い関わりを持った作品とのことだ。
『ヒア カムズ ザ サン』と『同 パラレル』の2本の中篇作品が収録。どちらも”7行のあらすじ”から有川先生が立ち上げた、枠だけ同じの別のお話。また「パラレル」は《キャラメル・ボックス》の演劇版と同じキャラクターを動かした有川先生のオリジナルストーリーとのこと。
残念ながら私は演劇版を観たことが無いので、全てを比較出来ないけれど、選択肢如何で無数に世界は広がっていく、という可能性みたいなものはこの一冊でしっかり味わえた気がしている。

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2011/08/30

文庫版『別冊 図書館戦争Ⅱ』 有川 浩 〔著〕

Betu2

文庫版「図書館戦争」シリーズもいよいよ最終巻。今回収録された短編はアニメDVDでも最終巻に収録された『ウェイティング・ハピネス』。ピシッと〆るならやはりこの方々が適任だ。
本編では、意地っぱりが祟ってタイミングを掴み損ねていたために進展出来なかった柴崎と手塚の恋の行方が中心になっているが、堂上と小牧が出会った頃の話や良化隊から鞍替えして図書隊に入隊した緒方の悲しい過去が明かされるなど、全体的にシブくも切ない話でまとまった別冊Ⅱと思う。けれど、最後はみんなシアワセを予感させるものばかり。心置きなく終えることができる最終巻だと思う。

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2011/08/12

ほっと文庫♪有川浩の「ゆず、香る」

Yuzu

当初発表されていた8月3日発売から遅れること10日。予約していたにもかかわらずなかなか手に取ることが出来なかったこのほっと文庫だが、今日やっと到着した。
発表では8月3日から全国の量販店やドラッグストア・書店などで順次発売とのことだったが、未だに地元では影すら見つけることが出来ていない。全国的にも、特に有川先生の『ゆず、香る』は品切れ状態らしく、運良く予約することが出来て助かった。
ちなみに増産が決定したとのことなので、盆明けに工場が再開すればそれなりに入手しやすくなるものと思われるが、入手出来ていない方々が焦って高額のオークションなどに手を出さなきゃ良いな~とか心配していたりする。(※詳細はコチラで)

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2011/07/28

文庫版『別冊 図書館戦争Ⅰ』 有川 浩 〔著〕

Betu_1文庫版「図書館戦争」シリーズもいよいよ別冊へ突入。今回収録された短編はアニメDVDの第3巻に収録された『マイ・レイディ』。小牧&毬江の重要なエピソードでありながら、その内容から地上波未放映(放送できなかった)の1話が収録されたDVD3巻だったこともあり、作者的にもフォローするような小牧&毬江の甘いお話だったりする。毬江にとって大きな恋の障害になっていた年の差は、いざ乗り越えてみると今度は逆に「若さ」という点で小牧を悩ませることに。あの小牧がたかが大学生相手に嫉妬しちゃうんだから恋心とはなんと厄介なものだろう。
相思相愛だろうが恋愛進行中には常に喜びと不安が付きまとうもので、とにかく全編がそんなお話。でも結局のところラブラブ全開な別冊なんだなぁ。

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2011/06/29

文庫版『図書館革命』 有川 浩 〔著〕

Kakumei

文庫版「図書館戦争」シリーズもいよいよ本編ではラストとなる『図書館革命』が発売。
今回収録された短編は、アニメDVDの第2巻に収録された『プリティ・ドリンカー』。郁の査問以後、秘密を共有する関係になっていた柴崎と手塚だったが、手塚が柴崎に対する恋心をはじめて自覚した時の出来事が描かれているもので、郁と堂上ももどかしいが、手塚もかなりのニブチンだよなぁといった話になっている。
故児玉清さんとの対談も今回で最終回。最後までと思っていたのにね。アルアル感の多い対談だっただけにこれでお終いなのがちょっと残念。

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2011/05/25

文庫版『図書館危機』 有川 浩 〔著〕

Kiki

5か月連続刊行となった「図書館戦争」シリーズの3作目『図書館危機』が発売となった。
今回収録された短編は、アニメDVDの第1巻に収録された『ドック・ラン』。堂上の頭脳と郁の俊足が炸裂するストーリーは爽快感があり、また、傍から見たら仲睦まじい息の合ったカップルにしか見えないベタ甘に酔う話だ。
先日亡くなられた俳優:児玉清さんとの対談も3回目となったが、児玉さんの急逝はまさかまさかの出来事でもあり、非常に感慨深いものとなった。
児玉さんのご冥福をお祈りしたします。

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