「ルーム」みた。
誘拐監禁から望まない出産。なんと恐ろしいことだろうか。
自分を生かすも殺すも犯人の男の意のまま。反抗したら倍返しのお仕置きが待っていると思えばやがて抵抗する気力も失せてしまうだろう。
さらにそんな男の子供が自分自身を見失わずにいられる唯一の存在になるという皮肉。母とは偉大。我が子は天使で悪魔。
そうした監禁部屋での暮らしと暮らしぶりを見せた後、思っていたより早く脱出の機会が訪れた。
息子のジャックの死んだふり作戦。ジャックの奮闘から警察に保護され、ジョイが解放されるまでの間、ずっと涙がポロポロこぼれていた。
でも、ここからなのだよね。
良くも悪くも子連れで戻ってきた女性に対する世間の反応。
”部屋”が全てと外の世界をまったく知らずに育ってしまった5歳の少年。
ジャックの前では唯一無二の母親でも、彼女が誘拐されたのは高校生の時。ジョイにとっても変わってしまった世界。解放された安堵の次に来たのはまた別の苦悩。
ジャックも心配だが、ジョイこそ何よりケアが必要なのだと思う。
もしかしたら5歳はギリギリなのかもしれないけれど、純粋に育っている分だけ子供の順応力は高いからね。
対照的な母子がどうなることかと思ったけれど、やはり子供は天使>悪魔なのだね。ジャックを天使に育てることが出来たジョイなのだから大丈夫、と思い、そう確信させるかの穏やかなラストにようやく安心することが出来た。
ブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイくんの熱演に拍手!
好感度:★★★★
図らずもタイムリーに日本で起きており発覚した事件。第3者は早く忘れてあげるべきなのだけど、この映画とはセットで思い出されてしまうのではないかと思うと、脱出出来て良かったと思う反面、アンタイムリーになってしまったのかもしれないと、いらぬ老婆心をめぐらせてしまう。
| 固定リンク | 0
コメント
脱出するまででハラハラドキドキして、
脱出後の展開はこの作品が一番訴えたいことなのでしょうね。
ブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイはホント素晴らしい演技をしていたと思います。
投稿: BROOK | 2016/04/15 14:45
そうですよね、母親ではあるけど、ジョイは1人の少女。計り知れない傷を負ったあと、助け出されたからと言って、その傷が癒えるものではないですから。
「子供を手放すことを考えなかったのか?」と言う質問は、映画の中とはいえ、心底腹が立ちました。あんな状況で、どうすればよかったのかなんてことは、他人が立ち入ることではないし、頭に浮かんでも口にしてはならないと思うんです。
実話をもとに書かれた小説だそうですが、脱出と、そのあとの物語と大きく二つの話が、うまくまとまっていて、目が離せない展開でした。
来日していた子役のジェイコブ君は、すこし成長していましたね。このまま、いい俳優さんになってほしいです。
投稿: mariyon | 2016/04/16 08:57
■BROOKさん、こんにちは
脱出作戦中はハラハラドキドキ。成功の暁には心底嬉しくなったものですが、やはりその後なんですよね。
母と子のそれぞれがしっかり描かれており、見事に演じていた2人が本当に素晴らしかったです。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/16 09:58
■mariyonさん、こんにちは
そうそう、母親となって一見精神的に強くなったように見えるけれど、少女だった彼女の心の傷の深さは察するに余りあるものでしょう。
インタヴューを受けたのもお金の為だったはず。
世間の好奇心を満たす為だけとしか思えない数々の質問に絶句。
手放す選択については、少なくとも私には思いもつかなかったことでした。
2部構成はどちらも辛いものだったけれど、それぞれがしっかりと描かれていて良かったですね。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/16 10:14
脱出できると分かっていてもハラハラでした。
トラックから飛び降りた瞬間、初めて地に足がついたおぼつかなさや必死さがもう上手すぎ!
犬、飛びつけ!!と心で叫んでた(爆)
母と息子の心の変化がどちらも痛々しくて苦しくて、でも繋がっていることをしっかりと確認できたし、「こんなに小さい部屋だった?」と言うジャックに成長と未来を感じましたよ。
投稿: オリーブリー | 2016/04/16 13:47
たいむさん、お久しぶりです。お元気ですか?
私はもうブログ更新が全く皆無な状態で、映画もここ暫くはレンタルすら出来てなかったのですが、ちょうど家族が帰郷中なので気になってた「ルーム」観てきました。
いやー、どっぷり見入ってしまいました!特に子役のジェイコブ君、演技とは思えないあの表情や目線は凄いなと。
そして、ルームの中からワールドへ出たジャックの思考の変化については本当に考えさせられるものがありました。それは誘拐がどうということではなく、今まで自分の世界の全てはその一部屋の中だけだったのに対して、膨大な世界に放り出された感覚について。
「世界は薄っぺらく引き伸ばされて、常に急げ急げと急かされながら生きて時間が足りない」という台詞が残ります。
ルームにはあった不自由だからこそ感じられた自由な感覚。世界は自由なはずなのに不自由で窮屈な感じ。そこに本当の自由とは、生きるとは何かというこの作品の命題が隠されているように思いました。
長文になり失礼しましたー(~_~;)
投稿: GAKU | 2016/04/17 23:44
■オリーブリーさん、こんにちは
トラックから飛び落りて逃げるところはドッキドキでしたね~。
保護されてもママの名前忘れちゃってるし、どうなることかと思いました。
ジャック目線が多かったけれど、その上で母子両方の心の変化が手に取るようにわかったのは、やはりブリー・ラーソンの演技が優れていたからなのかもです。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/19 14:13
■GAKUさん、こんにちは
おひさです♪
こちらでの生活リズムも概ね固まったし、元気にやってますよ~
GAKUさんの愛妻家で良いパパっぷり(つぶやき)はいつも拝見していますし。
もうお子様もジェイコブくん同じくらいでしょうか?
そういう視点をお持ちなところからも、色々と頭を巡らされたのではないでしょうか。
今の子供は不自由だし多忙で少し不憫です。だからこそ、自由に憧れるのでしょうが、自由をはき違えないようにするのが大人の役割なのではないかと思います。
なんか話がずれてしまいましたが、なんだか色々なことに通づる作品なのだと思う次第です。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/19 14:33
たいむさん☆
私もずっと泣いてました。
二人の絆の強さに感動しましたよね~
とにかく希望を見出せる結末で良かったwa♪
報道があまりにタイムリーだったけど…
投稿: ノルウェーまだ~む | 2016/04/20 00:19
■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
2人だけの世界を5年。
取り巻く環境が変わっても、やはり培ってきたものは確かなものなんですね。
希望半分だけど、大丈夫を感じさせてくれる終わり方は良かったですね。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/22 14:15
こんばんは~
お久しぶりです♪
ホント、実にタイムリーな公開でしたね~。
一刻も早く帰りたかった我が家にいたのは、実の母と新しい父。
何もかもが昔のままではないにしても、
でも、実の父親の、ジャックに対する受け入れ難い感情を感じ取ったジョイのやるせなさ、
どうしようもない哀しみを想うと、本当にやりきれないです(ノ_=)
投稿: kira | 2016/04/25 22:58
■kiraさん、こんにちは
男親と女親の違い、痛々しかったですね。
愛情と口惜しさから裏返しの態度を示せない父親の気持ちを痛いほど感じられました。
第3者はやはり軽々しく触れられない話に思うところです。
投稿: たいむ(管理人) | 2016/04/26 11:30