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2016/02/22

「キャロル」みた。

Carol

1950年代のニューヨークを舞台に女同士の純粋な恋愛を描いた物語。芸術作品に近い映画に思った。
主人公のケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラは、第88回アカデミー賞で主演女優賞、助演女優賞にそれぞれノミネート。だからというわけではないけれど、納得のとても美しい映画だった。

1950年代のニューヨークが舞台。いつまでたってもマイノリティとマジョリティの隔たりは消えてなくなることはないけれど、特に型にはまった常識のようなものを遵守することが一番の幸せと考えられていた時代のマイノリティへの対応は想像に難くない。そこで彼らはしかたなくも世間のいうところの常識に乗ってみるものの、精神的苦痛は如何ともしがたいといったところだろう。
そんな時に出会ってしまったキャロルとテレーズ。
もともと同性愛者だったが、おそらくその美貌ゆえ乞われて裕福な家庭に嫁ぎ、ひとり娘をもうけたものの、束縛だらけの結婚生活に耐えられず、終わらせようとしているキャロル。
カメラマンという夢を持ちつつも、恋人はいるが何に対しても決断できずいつもうじうじ、ただただまわりに流される日々を送っているテレーズ。

見た目も生活も対照的でアンバランスにも見える2人。けれど一目惚れは理屈ではなく、さらに一目惚れは伊達じゃないってことで、どんどん惹かれあい心を通わせあう2人。
その駆け引きのようなやり取りがなんとも魅惑的。女性同士とか関係なく、視線やら、表情やら、なにもかもにドキドキしてしまう。

自分らしくあることを貫こうと決断した時、すべてを跳ね返す力を持つ。それが所謂世間の常識から外れることであっても。本当に大切なことって何?そんな物語。
とにかく雰囲気に満ちた映画。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラだからこそ完成した映像美にも思うけれど、だからこそ必見といったところかと。いやはや、ほんとスゴイわ。

好感度:★★★★

ケイトのなりきりオーラは本当に凄い。ほかのノミニー作品見ていないから受賞の行方は分からないけど、今後もオスカー女優候補者としてメリルかケイトってくらいの常連になるのは確実かなって。

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コメント

いやらしさはなく、終始上品でありながら、上辺だけを描くような野暮なことはしない。
ここがトッド・ヘインズ監督の実力なんでしょうね。
久しぶりに恋する力強さを感じる作品でしたよ。

投稿: にゃむばなな | 2016/02/24 23:00

こんにちは。

大手の企業が同性婚を容認したニュースを聞くと、自分らしくありたいという力の継続が世の中を変えると感じますわ。
この映画、男女間でも同じような捉え方ができましたね。
女優2人の表現力の広がりに魅了されましたよ♪

投稿: オリーブリー | 2016/02/28 10:42

■にゃむばななさん、こんにちは
官能美・・とも違うか、うまい言葉が見つかりませんが、ちゃんと人間ででも絵に描いたように美しい、そんな感じに思いました。
見せつけられた、そんな感じでもあるのかなぁ~

投稿: たいむ(管理人) | 2016/03/01 15:04

■オリーブリーさん、こんにちは
日本もだいぶ寛容的になってきたとは思うけれど、こういうのは当事者じゃないと本当の意味では理解できないかな~と思ったり。
彼らの努力に対して、第3者としてはツマラナイ偏見とか持つことなく見守るのがベターなのではと思う次第です。

映画として、代弁者となる彼女たちは本当に美しかったです。

投稿: たいむ(管理人) | 2016/03/01 15:09

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