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2016/01/22

「ブリッジ・オブ・スパイ」みた。

Bridge_of_spies

スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、ジョエル&イーサン・コーエン脚本のよる米ソ冷戦時代の実話を描いた作品。
アメリカとソ連それぞれで逮捕されたそれぞれのスパイを交換する交渉役として選ばれたのがアメリカの民間人弁護士のジェームズ・ドノヴァン。
「国益の為」「国家の危機」として国民の義務を一方的に押し付けた任務に果敢に挑み、見事成し遂げた男の話、凄かった。

前半は、冷戦時米国内で活動していたソ連側のスパイ:アベルと、アベルの逮捕から政府の指示で国選弁護人に任命されたドノヴァンの人物像が、アベルの裁判を通して描かれている。
とにかく2人とも、それぞれの信念にのっとった、揺れない・ブレない・曲がらない、固い筋の通った自分自身に正直で忠実な男だということが判る。どちらも物事を俯瞰でみる能力に長け、立場は違えど互いの中の共通項で共感しているのが感じられた。

アベルの裁判は1勝1敗のような結果に終わるが、なんとかアベルの死刑だけは免れることに成功。それからしばらくして米軍パイロットが極秘ミッション中に撃墜され、ソ連に逮捕されたという情報が入る。

後半は、再び政府の依頼を受けたドノヴァンにより、米軍パイロット及び同時期に東ドイツで逮捕された米国人学生と、米国で拘禁状態にあるアベルとの厳しい交換交渉が描かれている。

任務を果たせ、失敗したら死ね、何かあっても国家は無関係、なんでそんな命令に従えるのか。愛国心?
ドノヴァンにしても、我が身の危険を顧みず、何をもって自らの信念を貫き通すことが出来るのかって思ったりもするのだけれど、こういう人たちのおかげで今がある、法治国家が存続出来ていると思えば、頭が下がるばかり。

そんなドノヴァンを演じたのはトム・ハンクス。さすがは器用なトムであり、終始毅然とした態度で物事に従事し、誰から見ても信頼にたる人物オーラが醸し出されていた。

言葉の通じない異国に単身放り出された恐怖や危うい立場での先の見えない恐怖を感じさせ、人間の本質なんかも垣間見せてくれる緊張感に溢れた作品。
正月早々ハードではあるけれど、見て良かったと思える映画だと思う。

好感度:★★★★+

後部座席の彼には心配したけれど、EDでのフォローにほっとした。
けれど、パイロットくんの彼は本当に事故なの?とか勘繰ったりも。

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コメント

見応えある作品でしたね。
最後まで緊迫感溢れる展開で、見入ってしまいました。

ラストでアベルが後部座席に乗せられた時はどうなってしまうのか、心配したけれど、
最後のテロップでその後が語られていたのは良かったと思います。

投稿: BROOK | 2016/01/22 19:42

■BROOKさん、こんにちは
時間があっという間に感じられるくらいに見入ってました。
東独で拘留されたときもハラハラしましたが、そんなドキドキが満載でしたね。

アベルの後日談には本当に安心できて良かったですね。
後のキューバとの交渉話も驚きでしたが。

投稿: たいむ(管理人) | 2016/01/23 00:56

こんにちは。
富山はいままで雪大丈夫だったのに・・・
今は雪と格闘しております(泣)

トムは本当いすごいな~って思いました。
なんか担々と描いているけど、ちゃんと感情が入っているというか、器用だな~って本当に思いました。
そうそう!米のパイロットのほうが気になりました。大丈夫だったの?って。。。

投稿: Nakaji | 2016/01/24 19:52

こんばんは。

新年早々、時間は長いし内容も重そうと多少の躊躇はあったんだけど、そんなことを忘れてどっぷりと見入ってしまいました(笑)
これ、政府機関の人間ではなくて、民間人ってことに驚きながらも目線は同じ感覚になるから不思議なのよね~。
そう登場は多くないけど、ソ連のスパイさんの存在感とトム・ハンクスの人となりな芝居に深みがあって良かったですね。

投稿: オリーブリー | 2016/01/24 21:24

こんにちは~。

アメリカにも「お国の命が絶対」があったんだ、とびっくりしました。
ドノバンの裁判への取り組み方を見ていると、ソ連ほどの絶対服従では無さそうでしたが、
ドノバンも将来の事も考えてスパイ交換受任してますし、
CIAに組み込まれて哀しい末路をたどったパイロットさんは気の毒だと思いました。
国家に感謝な誓い、学校でもおこなってましたものね。

たぶん今も国の存亡が懸かったら個人の自由は認められなくなるのかな…と思いました。

ドノバンとアベルの、
しっかりした自己の意思を持つ者同士が心通わせたところ、いいなぁ☆と思いました。

新年早々、良い作品に出会いました。

投稿: みぃみ | 2016/01/28 10:02

■Nakajiさん、こんにちは
トムは上に立つ人間の役が本当にうまいですね。

平和な日本では考えられない出来事であり、水面下の交渉、ビックリでした。
ドノバン氏のその後の活躍もさすがと思うばかりでしたね。
政府は報酬とか支払っているのかしら・・とゲスな勘繰りもしたくなるところだけれど(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2016/02/01 15:30

■オリーブリーさん、こんにちは
長丁場があっという間に感じられるハラハラ感だったけれど、必要以上に引っ張って嫌な気分を引きずるようなこともないテンポのよさで見やすかったです。
時に民間レベルの交渉だからこそ上手くいくっていうのも分かるけれど、それにしても政府の横暴には唖然とさせられました。いまも一部ではそんななのかしらね?

アベル氏役の方、良かったですね。
オスカー最有力かしら?
個人的にはロッキーにもあげたいんだけど(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2016/02/01 15:35

■みぃみさん、こんにちは
米パイロットくん、勝手にテストされて断る権利もないって悲惨。
国って、国民の義務ってなんだろうって思ってしまいます。

これも今だから・・・な話の一つなのでしょうが、まだまだこんな話出てきそうですね~~~
とりあえず、今はまだ平和な時代と信じたいものです。

投稿: たいむ(管理人) | 2016/02/01 15:40

たいむさん☆
国は違えども、どちらも強い信念を持っているという部分で共通点があって、深い所で繋がっている絆を感じさせてくれるいい映画でしたね。
私はちょっとウトウトもしちゃったのだけど…(苦笑)

投稿: ノルウェーまだ~む | 2016/02/02 11:30

■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
正義のありかと同じで、立場、立ち位置の違いだけってことで、人間としての部分で共鳴していた2人がカッコよかったですね。

強きの裏返しのようなラストの爆睡も良かった。
新年を飾るにふさわしい良い映画でした。

投稿: たいむ(管理人) | 2016/02/04 13:39

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非常にきちんとした作品。更に言えば、トム・ハンクスの独壇場。きちんと真面目に職務を遂行する男。それがトム・ハンクス扮するジェームズ・ドノバンだ。ドノバンは、保険関係を担当している一介の弁護士だ。冒頭の日常業務の描写で、その後の出来事での彼の戦略を象徴する考え方が披露される。すなわち、2件の案件をそれぞれ独立した案件として処理するのではなく、まとめて1件とする考え方だ。これが後の「スパイ交換」の際に反映される考え方である。一介の弁護士ドノバンが、アメリカ合衆国内で捕まったソ連からのスパイの弁護をせざる... [続きを読む]

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