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2015/11/06

「ミケランジェロ・プロジェクト」みた。

The_monuments_men

ジョージ・クルーニー監督×脚本×主演、そしてマッド・デイモンも出演しているこの映画。理由は知らないけれど、日本での公開が大幅に延期されてしまったものだけに、無事に公開されて喜んでいる。
第2次世界大戦終盤、ナチスに略奪された美術品の奪還作戦が描かれた、分類としては戦争映画。とはいってもいわば斜め後ろで活躍していたチームのお話。”オーシャンズ”っぽい軽さもあって見やすい映画で、面白かった。

邦題を原題である「Monuments Men(モニュメンツ・メン)」にしなかったのは、マーベル作品等のヒーローものと誤解されないためへの配慮かな?内容を鑑みると十分彼らも”英雄”に値するものに思えるけれど、直訳だと確かに勘違いされかねないか。

第2次世界大戦時、ナチス・ドイツによって名だたる美術品が略奪されたことは薄ら知識として知っていたけれど、”モニュメンツ・メン”の存在はもちろん、どのように奪還したのか、どのくらいの数だったのか、どのような名作がそこに含まれていたなどは全く知らなかった。
聴けば奪還に成功した作品数は約400万点で、そこには「最後の晩餐」「モナ・リザ」「ひまわり」など、誰もが知っているような作品が含まれていたというから驚いた。それだけでも現在の価値にしてスゴイことになるのに、全部となると想像を絶する額になることだろう。

上層部には美術品の保護の必要性を軽んじられながらも、命をかけてでも奪還に取り組んだ”モニュメンツ・メン”。
果たして、人の命と美術品、どちらが大切なのか。作中でも度々天秤にかけられている。

それはもちろん命の方が尊いけれど、人は戦争において何のために戦っているかといえば、自分たちの生活を守る為であり、とどのつまりは”文化”を守る為ということになる。ならばそれらの礎ともいえる美術品の喪失は何を意味するのか?と問われれば言葉に詰まってしまうことだろう。(一つの文明・文化が消え去ってもまた新たなるそれらを人間はつくりだすとも言えるんだけどね)。
ただ実際に奪還作戦の途中にメンバー2人が命を落としている。彼らは文字通り命を懸けて彼らの文化を守ったわけであり、それだけの価値はあったのだと私も思いたいとは思う。

そんなこんなでシビアな面もあるけれど、どちらかといえばライトな映画。一応軍人として奪還任務にあたった”モニュメンツ・メン”は一般兵士に比べて2周りも3周りも高齢なチームであり、美術オタクが揃っているだけに、スマートに行かなかったり、ベテランの機転であったりのコミカルなシーンが多用されている。また音楽も軽い。

キャストの豪華さはもちろんだが、ノルマンディ上陸作戦後の浜辺とか、レマゲン鉄橋とかがさらりと登場するなど、別視点・別角度からとらえた作品として新鮮で面白いものだと思った。

好感度:★★★★

ナチスの美術品略奪から戦後処理としては、『黄金のアデーレ』の公開が間近。こちらも楽しみ。
ソ連の話は触れる程度で精いっぱいなのかな?とかも思うけど。

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コメント

たいむさん☆
今回のこの邦題はナイスでしたね。
戦時中強奪された絵画を取り返す話は前にもあったように思うのだけど、400万点も奪還しただなんて凄い話、今まで全く知らなかったのでびっくりしました。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2015/11/09 14:27

■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
「モニュメンツ・メン」に知名度があればそのままでも良かったのでしょうけど、私も含めてその存在を初めて知ったって日本人は多そうですよね。
そう思うと、なかなか良い邦題でしたね。

>400万点
名作だけでなく、手当たり次第に回収してた感じ?そんなにどうしたかったのでしょうね、ヒトラーは。


投稿: たいむ(管理人) | 2015/11/09 15:17

全く知らない実話だったので、
とても興味深く鑑賞することが出来ました。

ノルマンディー上陸シーンやバルジの戦いのシーンでは、
「プライベート・ライアン」や「バンド・オブ・ブラザース」が脳裏に浮かんで来たりと♪

たしかにオーシャンズっぽかったですよね。
最後まで楽しんで鑑賞出来る作品だと思います。

投稿: BROOK | 2015/11/10 16:27

■BROOKさん、こんにちは
日本史もまだまだですが、世界史はもっともっと知らないことがいっぱいですね。
軽めに作られていましたが、立派に戦争の爪痕を強く感じる映画でした。

色々な戦争映画と合わせて見たくなりますね。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/11/11 15:57

文化を守るのは価値のあることですね。
今作、別視点から過去の戦争映画を思い出し、美術品はユダヤ人救出と同じような観点でした。
でまた、ヒトラーをますます嫌いになりました(苦笑)

投稿: オリーブリー | 2015/11/12 15:28

■オリーブリーさん、こんにちは
美術品のような文化はもちろんですが、日本の職人技も絶やして欲しくないと思います。
それだけの価値があると思いますし。

ヒトラーって何なんですかね?
大昔に「知ってるつもり」という偉人や有名人の生涯を紹介する番組がありましたが、もう一回ヒトラーの回とか見て観たいかも。
これほどまでに同情の余地すら感じられない故人も珍しいかもしれませんね。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/11/12 18:13

こんにちは。

普段額縁に入り頑丈にガードされている作品達、
額縁を外すと、とってもかよわい姿になっている事に、
いまさらながら気付き、
守って受け継いでくれてありがとう、と思った映画でした。

民家で、これ本物ですね!な場面、萌えました。
さすがプロフェッショナル!。

投稿: みぃみ | 2015/11/13 15:23

■みぃみさん、こんにちは
絵って布とか紙に書かれているんですよね、本当は。
机代わりになっていた教会の名画も恐れ多いというか、恐いもの知らずというか。

いろいろビックリな事実を知ることが出来てありがとうという感じでもありました。

価値観の問題はあれど、やはり文化は守りたいですよね、これからも。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/11/16 15:47

こんにちは。
助かった美術品はありがたいことでした。
たとえ無傷だったとしても「総統美術館」で見るものじゃあないですしね。
ミケランジェロの聖母子像などは、やはり礼拝堂にあるからこそ感動するのだという気がします。

投稿: ここなつ | 2015/11/27 13:23

■ここなつさん、こんにちは
こんなにもたくさんの美術品が救済されていたとは驚きでした。
名品だけでなく、手当たり次第というのも酷い話です。

ほんと宗教的なものはそういう場所にあってこそ、ですね~

投稿: たいむ(管理人) | 2015/11/27 16:46

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