「寄生獣 完結編」みた。

昨年11月公開の前編につづく2部作の完結編。
実は前編公開時はスルーするつもりでいたのだけれど、巷の評価の高さから12月の半ばを過ぎてようやく鑑賞、そして評判の良さを納得し、後編はすっかり楽しみになっていた。
はたしてその後編はというと、巷の評価は前編に比べて低いのはどうやら気のせいではなさそうだ。
なんでかな？この手の作品の場合、原作ファンが落胆するのは分からなくはないけれど、原作ファンではない私としてはまずまずと思うし、十分及第点だと思っているのだけどな。

結局原作は未読まま。それでもアニメ版は全話視聴済み。聞くところによればアニメは原作をほぼ踏襲しているらしいので、一応前編も含めて原作との差異は分かっているものと思う。その上での印象になるが、原作から見れば断片的・突発的で非常に駆け足になってしまっているものの、個々を繋ぐためのオリジナル展開による置き換えは上手くできていたのではないかと思えた。
確かに、”SAT”の傍若無人ぶりや”殺人鬼”の登場、最強のパラサイト：後藤とそのスペック、急接近した新一と里美のラブシーンなど、全くの映画だけの人の場合、何もかもがいきなり過ぎて面喰ってしまう展開になっているとは思う。

やはりすべてが伏線として積み上げられた原作の長い物語を無理やり2部作に纏めようとしたら無理が出てしまうは当然だろう。それでも映画に盛り込むエピソードの取捨選択、限られたキャストですべてを賄うための追加設定としての2重3重の役割など、そうした点から考えたならば、とりあえず展開に矛盾は無かったように思い、綺麗にアレンジされていたように感じられた。（まぁ”ただのゴミ”の不法投棄から毒物（有害物質）という決定打が、”放射能廃棄物”にされてしまったのはヤバ過ぎだし、そうしたものを簡単に扱い過ぎではないかとも思うけれど、最終的にはミギーが眠るための分かりやすい口実にもなっていたし、ギリ見逃してあげたい感じではある）。

とりあえず、”寄生獣”とはミギーら”パラサイト”生物を指しているのではなく”人間”を指しているという事、そして彼らの主張は何を意味しているのか、という部分はしっかり伝わったのではないかと思うわけで、それで十分じゃないの？と思う次第。（それはひとえに深津さんや北村さんらの迫真の演技の賜物とも言えるんだけど）。
我が身に代えて赤ん坊を守り、引き渡す最大の見せ場は泣けた。そこだけでもみて損はないのではないだろうか。

残念ながら、何を楽しみに映画を見に行くかの違いで受け取り方が大きく違ってきそうな2部作になってしまったような気がしないでもないけれど、私個人的には、技術的にも内容的にも十分良くできた映画だと思っている。

好感度：★★★++