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2015/03/17

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」みた。

The_imitation_game

第2次世界大戦時、ナチス・ドイツが使用していた”エニグマ”の暗号の解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらした英国の数学者:アラン・チューリングの人生を描いた物語。
第87回アカデミー賞では計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞。
ベネさまやキーラというキャストが好みという贔屓目は多少なりあるかもしれないけれど、伝記であり、ヒューマンドラマでありつつも、難攻不落の”エニグマ”解読という内容はミステリーサスペンスの要素も持ち合わせており、また社会派の一面も見せてくれる、極上の映画としてとても楽しませてもらった。
いやぁ、面白かった。

英国の軍やMI6といった諜報機関の依頼から”エニグマ”解読という極秘任務に携わることになったチューリング教授。教授は幼少期より自分は人とは違う、変り者であると自覚していおり、他者を不愉快にさせる言動を連発しても悪びれることのない非常にコミュニケーション下手な人物だった。変人の自覚があっても対応が出来ない、対処しようとしないのだから解読チームのメンバー等との関係が上手くいくはずもない。
毎日深夜12時に設定がリセットされてしまう”エニグマ”の解読は困難を極め、チームは何一つとして成果を上げることなく時間と犠牲ばかりが増え続けていた。それなのに独り離れて解読マシンの設計と製作に没頭する教授であり、メンバーは焦りと苛立ちから教授との衝突を繰り返すことになる。
しかし、補充のための一般からのメンバー募集において優秀さを見せつけ抜擢された女性:ジョーンの加入により教授とメンバーは徐々に打ち解けはじめ、チームとして解読マシン(電子計算機):クリストファーの製作に尽力、とうとう解読の糸口を見つけて成功に至る。

”ハイル”、”ヒトラー”の設定を突き止めたことで、初めて”クリストファー”が計算をし終え、導き出された回答を”エニグマ”に入力して結果が得られるまでの数秒間のドキドキ感は半端なく、ここ最近では一番だったんじゃないかな?

ただ、暗号解読の成功を政治的戦略からナチス・ドイツに悟られないようにするしかなく、長い時間をかけてナチス・ドイツを衰退させるという戦術に甘んじなければならなかったという事実は少なからずショックだった。統計処理によって取捨選択された命、それを冷徹にも実行した教授。
結果論として約1400万人の命を救ったことになるとされているようだけれど、そこに至るまでに払われた犠牲も決して少なくはなかったはず。

終戦後、チームは解散、すべては無へと返され、孤独な研究者に戻ってしまう教授。さらに個人的な性的嗜好から当時の法律に触れて逮捕されてしまう教授。この時、第2次世界大戦における教授の功績は極秘事項であり、一般に教授の終戦への貢献度の高さを知る者は皆無だった。
公表されていたら何かが違っていただろうか?
だとしても”人と違う”ことに対して理解を示し寛容な対応が出来るような時代ではなかったように思う。
「自分はマシンか、人間か」を取調べ担当警察官に問う教授。
人と違うことを受け入れつつ、孤独に苦痛を感じていただろう教授はずっと自問自答を繰り返していたのではないだろか。これは時代が彼に追いついていなかったという悲劇的な話でもあるように感じられた。(とはいっても、未だそうした風潮は消えることなく、あらゆる差別や偏見に打ちのめされている人は少なくないのだろうけれど)。

『アルゴ』でも思ったけれど、長い時間が経過し、ようやく解禁が許されたような政治絡みの機密や極秘事項にまつわる裏話はやっぱり面白い。脚本家の盛り方(脚色)の巧さが面白さを大きく左右しそうではあるかもだけど。

とにかく、多彩な方面から楽しませてくれる作品。思うところが色々ある。
でも、有名であれ無名であれ先人たちの弛まぬ努力によって今の便利な世の中があると、「当たり前」など思うのは傲慢なことだとし、恩恵にあずかるだけの人間は謙虚であること、これこそが一番身近で簡単に実践できることとなんじゃないかな?と思ったりした。

好感度:★★★★++

ベネさまって『SHERLOCK シャーロック』でのホームズでもそうだけど、ほんと天才で扱いにくい変人役がウマイ!とはいえ十八番は十八番として、これからも色々な役で楽しませて欲しいな♪

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コメント

こんばんは。

世間が寛容な対応が出来ない時代、統計学で戦術を操った部分はあるんですものね。
仲間のピーターでさえ、当然、ああなるんですもん。
それだけでもチューニングは十分苦しんだんだと思います。
長い間、公表されなかったのは仕方ないかのかなぁ、、、。

思わぬ事から糸口が見え、ハイル・ヒトラーは爽快(?)でした!!
ナチは愛に負けたも名言?!(笑)
「SHERLOCK シャーロック」ファンには、映画代表作ができて嬉しいねっ!
秀作でした!
明日、もう一人の博士を観てきます♪

投稿: オリーブリー | 2015/03/17 23:09

■オリーブリーさん、こんにちは
エニグマは既に解読されていた!って話は良く出ていたけれど、それでも・・という事実が驚きでした。でも何年も公表できなかったであろう理由のいくつかが分かって良かったです。

ベネさまとしては、少しばかりシャーロック・ホームズと被る感じもあるのだけど、映画で代表作っていうのが嬉しいですよね。
オスカーはまぁ相手が悪かったってことで。
でもこっちの方が好き。
いずれにしても、英国俳優好きに拍車がかかりそう(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2015/03/19 09:10

たいむさん☆
ハイル・ヒトラーのくだりは爽快でしたね!
でもこの部分はある意味エニグマ解読マシンでなくても、パズル的に考えたらもっと早く気づきそうなものなのに~~と、ちょっと思いました。
ぐっと絞って解読したら、ずっと時間が短縮できたのに?

投稿: ノルウェーまだ~む | 2015/03/21 15:32

■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
スリリングな展開がとても良かったですね。

>パズル的に考えたらもっと早く気づきそうなものなのに~~
うわっ!まだ~むさんスゴイ!天才パズラーたち相手にその発言は(爆)
とはいえ、今ではPCがメモリーフルにしてフリーズしてたら何かが堂々巡りしてんなってわかるけど、当時は何を意味しているの分からなかったのも?なにせ初めて作った機械がしていることだから。
でも、酒場での閃きはお見事でしたね。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/03/21 17:30

公表できない事実。
たしかに、世の中にはごまんとあるでしょうが、
それにしても、衝撃的な内容でした。

ゲイであるがために、偏見の中で生きる。
職を奪われる、村八分にあう。
でも、法的に罰せられると言うのは。。。

クリストファーと一緒に
国外脱出は考えなかったのでしょうか?

それにしても、この演技、ホームズとは全く違った
危ない天才で、芸の幅の広さにただただ感服。

投稿: mariyon | 2015/03/22 23:22

■mariyonさん、こんにちは
極秘任務とその後の有益性、さらにゲイという違法性の両面から公表が差し控えられたのでしょうが、驚きでしたね。

危うい雰囲気をベネさまが絶妙に演じてくれたこともあってすっかり入り込んでしまいました。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/03/29 10:00

ホント面白かったです♪

チューリングという人物にスポットを当てているものの、
暗号解読をテーマにスリリングに展開していくので、
最初から最後まで見入ってしまいました。

ラストはクリストファーへの想いを知ることになり…
切なく。

いやはや、素晴らしい作品を鑑賞することが出来て、
大満足となりました。

投稿: BROOK | 2015/03/29 16:30

■BROOKさん、こんにちは
暗号解読と本人の物語の両方で楽しめる深い作品でしたね。
ベネさま目当てが半分だったけれど、同じく大満足でした。

投稿: たいむ(管理人) | 2015/03/30 19:25

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