「フォックスキャッチャー」みた。
ロス五輪はリアル視聴していたはずだけどレスリングにはまったく興味無くなかったし、実はこの映画がどんな話なのかまったく知らないまま鑑賞した次第。
もちろん最終的に射殺事件となる話だとも知らなかったわけなのだけど、まず偉大な兄が居て、その威光の賜物としか世間からは見られていない不憫な弟が居て、その弟の方にコーチ兼スポンサーを名乗り出る何を考えているのかさっぱり分からない男が現れ、そして”フォックスキャッチャー”を拠点にした一連の出来事を見ていくうちに、その結果はなるべくしてなった、そんな風に思えてくるものがあった。
これは映画だし、予定調和な部分もあるのだろうけれど、そのエピソードのいくつかが事実だというのならば、そんなことになっても不思議はないと思えるほど、人のエゴであり気持ち悪い部分が伝わってくるものだった。
それは俳優陣が素晴らしかったからに思う。
スティーブ・カレルの見事なる怪演からデュポンの底知れない気味悪さが際立っていたのはもちろんだが、マーク・ラファロとチャニング・テイタムの兄弟もそれぞれが心底成りきっており、出来ることならチャニング・テイタムも助演男優賞にノミネートしてあげたいくらいに思った。この映画の何より救えないところは、最初から最後までマークが哀れで不憫にしか感じられないところなんだけど、チャニングだったからなんじゃないかなって思ったり。
結局のところ、デュポンの真意であり、何故デュポンはデイブを射殺したのか?など真相は分からず想像するしかないのだけれど、最終的にすれ違ったままとなったデュポンとマークの間に確かにあったハズの何かを信じたい気持ちにもなるし、被害者であり一番まともに思えるデイブにしても多少なり計算が感じられる人間臭さがあったし、後味はスッキリしていないのだけど、その割にはモヤモヤもしない、そんな感じに思う。
面白くはないし好きにもならない、でも、惹きこまれる何かがある、そういう映画だと思う。
好感度:★★★★
日本ではどんな競技であれオリンピックのメダリストとなれば一気に有名人と化すのだけど、数の問題というのか、希少性というのか、アメリカのように1大会で何十人ものメダリストが誕生するとなると、そもそも注目度の高いスター以外は、金メダリストでも大した扱いをされないのだなぁと、日米の違いにちょっとビックリした。
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コメント
ほんと、アメリカと日本では金メダリストの数が全然違いますもんね。
日本なら「マイナーなスポーツがメジャーになるチャンスを作った金メダリスト!」みたいな扱い方をされるだけに、本当にマークが哀れでなりませんでしたよ。
投稿: にゃむばなな | 2015/02/19 23:07
■にゃむばななさん、こんにちは
偉業をなしても正当な評価が得られないって悲しいですね。
ジョンもマークもそこでのもしもがあったらなら・・と考えてしまいます。
投稿: たいむ(管理人) | 2015/02/23 08:26
重かったですよね~~。
このニュースをまったく覚えていなかったし、
映画の前情報も入れてなかったので、
ただただ、先の見えない、でも、何かが起こると言った
緊張感でした。
3人の演技がなかったら、ここまで引き込まれなかったろうし
心に残らなかったです。
チャニングさんの、はぁはぁしたしゃべり方は
ちいさないらいらを募らせ、見る人間を落ち着かなくさせる
上手すぎて、嫌になりました(苦笑)
投稿: mariyon | 2015/03/13 10:15
■mariyonさん、こんにちは
そうなんですよ。全然知らなかったのでどうなるのかドキドキしっぱなしでした。
俳優の力がここまで感じられる作品も珍しいというかなんというか。
気持ち的には嫌悪感が走る気味のものなのにホント惹きこまれてしまいましたよ。
投稿: たいむ(管理人) | 2015/03/16 07:12