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2014/11/22

「インターステラー」みた。

Interstellar_2

地球環境の変化から食糧難となり人類滅亡が迫った近未来を舞台に、家族とはじめとした人類の未来を守るため、外宇宙へと旅立った元宇宙飛行士でエンジニアだった男(父親)を描いた作品。
宇宙移民モノは数あれど、クリストファー・ノーラン監督が手掛けるとひと味もふた味も違って思えるのだからスゴイ。迫力ある映像、深い人間ドラマ。3時間近い長尺ながら時間を感じさせない見応えたっぷりなSF超大作だった。

滅亡間近の地球(とはいっても地球規模なので今日の明日のという話ではないが)の代わりに人類が住めそうな星を探査し、人類移住計画が託されたのが元宇宙飛行士のクーパー。
実は計画は、土星近くに突如出現したワームホールの発見から、廃止されたはずのNASA関係者や宇宙飛行士時代の知己の教授らによりずっと以前から隠密裏に進められていた。クーパーは偶然的にも必然的にも彼らの研究施設に辿り着いてしまい、参加を要請されることになる。
実際の彼の任務は、ワームホールを通過して別の銀河へ旅立った先発隊より送られてきた探査結果から3つの候補地へ趣き、人口冬眠で待っている彼らのピックアップと、人類移住の可能性あるいは種族保存かの、方向性の見極めを行うというものだった。
ちなみに、地球上は砂漠化により荒廃しており現代よりも文明的に後退してしまっているかに見えるのだけれど、既に宇宙船とか人口冬眠とかの技術が確立されている、技術的には現代より数段進歩したのちの世界であるということを言っておきたい。とにかく、「惑星移住も含めて人類はそれだけの技術力を有している」ことが大前提の世界、その中で行動しているわけだ。
それなのにこの映画が妙にリアルに感じられるのはやたらと持ち出させる”相対性理論”であり、人間ドラマの深さからだろうか?(”相対性理論”については、まぁそう難しく考えず”ウラシマ現象”程度の知識があればついていける範疇とは思うけど)。

ポイントは、時間と距離、そして重力。加えてブラックホールの無限の可能性といったところ。
正直、人間模様もトラブルも、オチに至るまで想定内のお話ではあった。
特に「時間の相対性と不可逆性から時間にとらわれないのは重力のみ」という話があり、重力の権化とも言える「ブラックホールの探索」を行うことにしたこと、「幽霊はちっとも怖くなかった、むしろ・・」という娘の発言が揃ったとき、細部はともかくその後の展開は概ね見当ついてしまった。それでも愛が時空を超えた時はグッと来る。(予想以上にハッピーエンドに着地したところは少しばかり予想外ではあったけれど)。

俳優陣、それぞれに熱演も素晴らしかった。個人的にはユーモアたっぷり正直度90%の支援AIロボットがツボ。

デートムービーにはちょっと重いものの、”愛”が世界を救う話でもあるので、SF好きでもそうでなくても老若男女誰が見ても良い作品だと思えるものと思う。

好感度:★★★★

あの人があんなことになるのは個人的に残念。いいひとキャラが多いのに・・・

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コメント

かなり面白かったです♪
難しくなりがちなお話ですが、
意外と分かりやすくしていたのは良かったと思いますね。

3時間近くの上映時間もさほど苦にはなりませんでした。

投稿: BROOK | 2014/11/22 17:35

■BROOKさん、こんにちは
面白かったですね。
「ワームホールが球体」って説明も解り安かったですし、見ごたえありました。

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/22 19:07

こんばんは。
面白かったですね。
3時間近くの長丁場もあっという間でした。
一見、難しそうな内容ですがわかりやすかったのもあって楽しめました。
正直度90%のロボットがいい味出してましたね。

投稿: yukarin | 2014/11/23 00:14

■yukarinさん、こんにちは
あの手のロボットにはほんと目がなくって(^^)
前半部分の伏線の回収が見事でした。
面白かったですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/24 11:06

良かったですよねー面白かったです!!
この種のテーマは、おそらく誰でも嵌りやすいだろうけど、計りしれない距離感があるにも関わらず、こんなに深いドラマになるなんて、予想の範疇を超えました。

SFには欠かせないロボキャラですが、今作、ビジュアル的には凄く時代遅れな気すらしたのに、アン救出にはまさかのキュンものでしたよ(笑)
まさかと言えば、たいむさんのお好きなあの方もまさかでしたねー(苦笑)
これ、もう一度観たいなー、IMAXはどんな感じなんだろう?

投稿: オリーブリー | 2014/11/24 16:37

■オリーブリーさん、こんにちは
愛は物理的距離を超えましたね(笑)
アンの希望説もまんざらじゃない?って回収も良かったです。

>今作、ビジュアル的には凄く時代遅れ
私としてはあのカタチに何か意味がありそうな予感がちょっとありました。
エヴァンゲリオンのモノリスを彷彿しちゃったりもしたし。
それにしても、意外と多機能でしたね。歩行はすっごく不自由そうなのに、走る(回転)とお姫様だっこにはびっくり(爆)

ご贔屓のあの方には「えー」って、ちょっとショック受けました。孤独が人を変えたのだって無理やり納得しようとしたけど、あの豹変と末路には(泣)。

もう一度見たいけど、3時間は厳しいわ~

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/24 17:15

そうですね、アメリカのジミー大西(顔が似ているだけ)がああいう役を演じるのは淋しくもありますよね。

それにしても既視感ありの物語なのに感動をきちんともってくるあたり、これがクリストファー・ノーラン監督の底力なんでしょうね。

投稿: にゃむばなな | 2014/11/24 23:56

こんばんは★
これ日本ではヒットですねー
長過ぎるのが難点だったけどなかなか良かったです。
マコ様がまたいい!!

投稿: mig | 2014/11/25 01:24

3時間の尺が、ぜんぜん長さを感じない
素晴らしい出来だと思いました。

たいむさんも書いてるけど、宇宙移民物は昔からあるし
わたしには今ひとつわからないけど、
相対性理論で時間のタイムラグが出て歳をとらないとか
さほど目新しいものはないのに、
ノーラン流にアレンジされると、新鮮で、すごく面白い。

ロボットはその極め付け?
あんな形のロボットって、、、(笑)
もう、最高でした。

大物俳優の悪役キャラは、個人的には
ぜんぜん違和感なくて良かったです。

投稿: mariyon | 2014/11/25 18:19

■にゃむばななさん、こんにちは
マン博士、この手の作品には良く出てくるキャラとはいえ、あまりにお約束通りで悲しくなりましたよ(泣)

バリバリSFなのだけど、〆は愛。ノーラン監督の発想力にはまいど脱帽です。

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/26 14:06

■migさん、こんにちは
マコさん、いつぞやの不良上司役が頭から離れなくって(爆)

もう少しコンパクトにまとめられそうな気もしますが、前半にも伏線盛りだくさんでしたし、どうしてもこうなっちゃうのかな~って。

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/26 14:08

■mariyonさん、こんにちは
あっというまとは言いませんが、みっしりと充実感ある3時間だったと思います。

私もちゃんとした相対性理論だの量子力学だのはさっぱりポンなので重力と時間の関係はそういうものだと思うしかなかったけれど、その先はすべて可能性による自由創作みたいなところだし、そこに新鮮味があったのだと思います。

TARSくん、海兵隊かなにかのおさがりでしたっけ?それにしても、なぜあの形にしたのか、その意図は是非知りたいものですね。

某博士は、悲しいけれど、ハマってましたよね(泣)

投稿: たいむ(管理人) | 2014/11/26 14:17

たいむさん☆
人口知能ロボットくん、私もツボでした。
無機質な四角い箱なのに、ハタハタと走っていく姿など、だんだん可愛らしく見えてくるから不思議です。
ユーモアもあってなかなかいいですね。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2014/11/30 23:59

■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
すっかりおそくなってごめんなさい。

ロボくんのあのカタチ!一周して斬新でさえありました!
まさかまさかの役割を思うと、なんとなくあのカタチが最善にさえ見えたりも(笑)

ぎっしりいろんなものが詰まった良い映画でした。

投稿: たいむ(管理人) | 2014/12/10 09:16

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