「ファーナス 訣別の朝」みた。
時代遅れのアメリカ人労働者階級を象徴するかのような男が主人公のラッセル。それでも贅沢は出来ないが今日明日の生活に困るほどでもなく、真面目に生きてきたラッセルであり、家族仲は良好、恋人とも円満に暮らしていた。
しかし、残念な交通事故以来、ラッセルの歯車はどんどん救いようのない方向へと狂いだしていく。服役中に病床の父を亡くし、イラクからの帰還兵である弟:ロドニーはPTSDに悩まされ凶暴的な闇の世界へと足を踏み入れ深みにはまっていく。出所したラッセルを恋人も待ってはおらず新しい恋人と家庭を作ろうとしていた。また仕事には復帰できたものの勤める製鉄所は閉鎖が決まっているという。それでもロドニーと共に貧しくとも平穏な暮らしを望むラッセルだったが、ロドニーは更生をを決意した矢先、何者かによって殺害されてしまう。
何もかもを失い、絶望と失意のどん底の落されるラッセル。その怒りはロドニーを殺害した組織へと向けられるが、警察の空振り捜査に業を煮やし、とうとう銃を手に自ら動き出してしまう。
”訣別の朝”などと微妙に補足した邦題のとおり、ラッセルが最終的に復讐相手を撃つのか撃たないのか?、理性が勝つか感情が勝つかという究極の選択が肝であり、その答えを出すという話。
ロドニーの事件後、決して人格を豹変させることはなかったけれど、恋人を許し祝福し、常に弟を庇って味方でいるような基本的に善人であるラッセルの変化はよくよく感じられ、笑顔を失った彼の決断は想像していたものと同じだった。
でも、現実的に、こんなものかもしれない、と思った。
映画としてはシリアスで重苦しい上に、淡々と進むので面白いとはいえないけれど、良作であることは間違いなし。
好感度:★★★★
クリスチャン・ベールは絶望を漂わせたらピカイチだね。
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