「永遠の0」みた。
年末にふさわしい大作映画だった。
『男たちの大和』あたりからか、日本の戦争映画もずいぶんと趣きを変えてきているように感じていたが、この作品も、この時代に精いっぱい生きた歴史的には名もなき兵士の生き様と彼に少なからず影響を受けた人たちの真実が描かれており、そこから改めて知ることの大切さ、忘れないことの大切さを噛みしめる、そんな映画で、それでいてドラマチックなエンタメとしても楽しめる見ごたえのある映画になっていたと思う。
内容は、太平洋戦争時、凄腕のパイロットでありながら生きることに強く執着した祖父が、最後は特攻隊に志願し戦死したという矛盾に孫が疑問を持ち、祖父の元戦友たちの証言を集め、祖父の実像と戦後60年にわたり封印されてきた驚愕の事実にたどり着く、というもの。
原作は以前からずっと気になっていたが、映画化が決まったので未読のままで鑑賞。賞を受賞するほどの作品は原作が緻密かつ良くできているから、映画ではダイナミックな映像はともかく、奥深いドラマの部分ではどうしても物足りなさを感じてしまうことが多いように思うから。
とはいえ、大まかなあらすじと予告編、これまでの戦争映画やドラマなどから、祖父(宮部久蔵)の人となりにはあたりをつけて鑑賞に臨んだ私ではあった。そして証言がリレーされて行くほどにそれは確信に変わっていったのだけど、最後ふりだしに戻るところでは予想していたにも関わらず、予想していたこともすっかり忘れているくらいに映画に引き込まれており、驚愕の事実に納得し、原作者と映画の制作陣の演出の巧さに脱帽といった感じだった。
自分も含め、もはや戦争を知らない子供たちが日本人の大半を占める世の中となった。自爆テロと特攻の違いも満足に理解できていない若者たち。海を隔てた隣国と不穏な空気が漂う昨今。そんな中で日本の過去と未来を少しでも考えることのできる映画が途絶えないことを嬉しく思う。映画は気軽に知ることのできる数少ない機会になってしまっているしね。
さて、映画も見たし原作もゆっくり読んで、さらに隠れた真実にもうひと泣きしてみようかと思う。
好感度:★★★★+
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宮部久蔵の遺志を継いで?行ったことは、感動しました。
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本当の祖父は、太平洋戦争で特攻により戦死した宮部久蔵(岡田准一)であると教えられた健太郎は、姉の慶子(吹石一恵)に、宮部について調べてみようと誘われ、かつての戦友たちを訪ねることになる。
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コメント
邦画にしてはなかなか頑張っている作品でしたね♪
ストーリー面、VFX面ともにかなり良かったと思います。
私も原作は未読ですが、
今作を鑑賞したことにより、読みたくなりました。
投稿: BROOK | 2013/12/24 19:38
■BROOKさん、こんにちは
VFXを使っていてもちゃちさはみじんも感じられず、構成や脚本が良かったと思います。
原作にこだわりを持たずに見られたし、十分伝わってくるものがあって良かったです。
そのうえで小説で補完したくなりますねw
投稿: たいむ(管理人) | 2013/12/25 16:19
ども。久々のヒットだった原作です。2回も読んで、人にも勧めて。百田氏、いいじゃないか…と思っていたら、結構露出度高くなってきて、ちょっと引き気味だったんですが、原作の詳細がかすれてきたころにこの作品。「そうだった、そうだった」と喜びました。
コクピットの中の演技…って、結局、顔の表情だけ?みたいなところがあって、かなり心配だったんですが、まあ、及第点。原作の持つ深いテーマにも「そうじゃないんだ!」と、単純な反戦ではない、という微妙なところもちゃんと考えを巡らせることができるようになってました。
投稿: あかん隊 | 2013/12/31 22:51
■あかん隊さん、こんにちは
明けましておめでとうございます。
作家の露出度が高くなるというか、あまりに売れすぎると「読みたくなくなる」天邪鬼な私です。
けれど、これは読んでみたくなりました。
劇場を出る際に、後ろを歩いていたおっちゃん2人組が「結局反戦映画じゃない?」とか会話していて、「ん?」っと思いました。うまくいえないけどそういうのではないって感じていたので。
「単純な反戦ではない」ってところを原作でもっと味わえたらいいなって思います。
投稿: たいむ(管理人) | 2014/01/03 08:31
1日家族で観てきました。
最近、むちゃくちゃ岡田君びいきなもんで、
原作は未読ですが、配役はぴったりだったのではと
勝手に思ってしまいましたが。。。
もちろん、わたしも、戦争どころか、戦後のことも知りません。
少しでも、話を聞いたり、読んだりしたい。
だらこそ、中高年だけでなく、若者が拒絶反応を起こさない戦争映画や物語ってぜったいに必要ですよね。
いい作品だったと思います。
投稿: mariyon | 2014/01/03 17:12
■mariyonさん、こんにちは
いつもながら仲の良いご家族でうらやましい限り。
我が家も今年は夫婦水入らずで初詣に繰り出しましたがw
戦争映画も変わってきたなって思い明日。
原作も書き手が戦後の世代で、視点が変わってきているのかもしれません。
岡田君贔屓は私も同じですw
「軍師 官兵衛」は予約済み、2日には「SP」を見直しちゃったりもして、岡田で終わり岡田に始まる年になったかも(爆)
投稿: たいむ(管理人) | 2014/01/04 13:05
こんにちは。
原作よんで映画みたほうが、一人一人の詳しい内容がわかるからいいと思いますが、まあ読んでなくても泣けるそんな映画でしたね。
私も映画みおわったあと、また原作読み直しましたが、
また新たに感動しました。
投稿: Nakaji | 2014/01/06 13:18
こんばんは。
戦争より人間ドラマだと思うので、反戦でもないし、右だ左だというものでもないですよね。
やはり定期的にこういう作品が作られて、それぞれが感じることこそ大切なんだと思います。
投稿: オリーブリー | 2014/01/06 19:20
■オリーブリーさん、こんにちは
人間ドラマ、でしたね。
ただ時代時代で人の考えていることとか世の中の総意みたいなものとか少しずつ違ってて、一度にいろんなものを見せてもらった感じ。
戦争映画が好きとかじゃないけれど、この先も語り継ぐような感じで続いて欲しいなって私も思います。
投稿: たいむ(管理人) | 2014/01/07 13:05
■Nakajiさん、こんにちは
原作をお読みなのですね。
長編ですし、映画では描き切れていないことも多々あるかと思います。けれどそれでも伝わるものがたくさんあって良い映画だったと感じました。
早く原作を読まなくちゃ!
投稿: たいむ(管理人) | 2014/01/07 13:07
たいむさん、おはようございます。
原作も読んでなく、ただ、いろんな人から泣けるよ、眠ることなく観れた、という言葉を信じて、遅ればせながら観てきました。(笑)
戦争美化という発言もありますが、おいらは戦争の悲惨さを再確認させて、いただきました。
(ま、ラスト近くの特攻シーンは観たくなかったけれど・・・あれ、なくても世界観は損なわれないと感じました。)
原作では、まだ深く掘り下げた感じになってることだと思います。
映画の場合、時間制限があるため、端折られるのは仕方ありませんからね。
あまり、太平洋戦争ものは好きじゃないんだけど、これは楽しめました。
やっぱり戦争は、起しちゃダメです。
投稿: Brian | 2014/02/11 08:02
たいむさん、こんにちは。
久しぶりに映画を見に行きましたがなかなか良かったです。
タイトルにゼロと入れながらも、どっかの監督が吠えているような
戦争賛美な作品ではなく、どうやっても戦争という流れに巻き込まれ
ざるを得ない状況でも家族や教え子たちへの想いや信念を貫いた人間
をしっかり描いた作品だったと思います。
にしても、作曲家が佐藤直紀さんだと一発で見抜くあたり、さすが
たいむさんだなぁと改めて思いました。
ゼロ戦の戦闘時の音楽がとても気になってたんです!
VFXも音楽も良くできてたなと。
現代でゼロを飛ばしちゃったアレはあっちゃー、でしたがww、
投稿: GAKU | 2014/02/11 09:20
■Brianさん、こんにちは
戦争映画はそれそれの置かれた立場でとらえ方が違いますしね。
私は逆に戦争映画はできるだけ見るようにしていますが、少し違った角度から描かれた戦争映画として、理解度が深まった気がしました。
なんだかんだでまだ原作は読めてませんが、いずれ必ずと思っています。
投稿: たいむ(管理人) | 2014/02/12 09:29
■GAKUさん、こんにちは
ベストセラー作品になって原作者がTVとか露出が高くなるとつい天邪鬼になって読みたくなくなるのだけれど、映画は見やすくて良いです(笑)
実際ベストセラーもうなづける内容で、意地張っている場合ではないなといったところ。
佐藤さんの音楽は特徴がありますから。
サントラ好きなので慣れれば直感で概ね当たります。
簡単に言えば「海猿」っぽいのはみんなそうです(笑)
最近は菅野祐悟さんも近い感じで耳に残りますね。(「軍師官兵衛」とか)
大御所菅野よう子さんの曲はわかるんだけど、あまりに幅が広すぎていつも驚かされますが。。。(^^;
投稿: たいむ(管理人) | 2014/02/12 09:39