「42 世界を変えた男」みた。
メジャーリーグで年に一度、全員が試合で背番号「42」をつけていることは知っていて、その都度「ジャッキー・ロビンソン」の名は耳にしていたのだけど、何故彼がそこまで讃えられているのかまでは、これまで気にしたことがなかった。
この映画は、その史上初の黒人メジャーリーガー:ジャッキー・ロビンソンの半生を描いた作品で、メジャリーグ界にも当然あった人種差別という悪しき慣例を、実力と結果で打ち壊したジャッキーと彼を登用し、陰日向で支え続けたブランチ・リッキーの物語。
予告編だけでも泣けたけれど、本編はもっと泣けるので、涙もろい人はハンカチを忘れないようにしよう。
何が泣けるかって、人種差別という”暴力”に耐え忍び、野球で結果を残すことだけが彼らに一矢を報いる方法だと信じ、ただひたすら自分自身と闘い続けるジャッキーの姿はもちろんなのだけど、どちらかというと、はじめから白人の中にもチラホラ見え隠れしている善意の人々の勇気だったり、未来のために過ちを正そうと変化していく人たちの姿だったり、世の中だったりに泣けてしまうんだな。(ポロポロ涙がこぼれてしまう嬉し泣きは惜しまないからついつい泣きすぎちゃって後で困ることになる私なのだけど)。
ストーリーは、良い意味で、絵にかいたような成功物語。何事も常識や慣例を打ち破る行いは世間から叩かれまくるものだし、”史上初の黒人メジャーリーガー”と聞いただけで、彼がどのような扱いを受けたであろうことかは想像に難くなく、我慢の前半は当然の流れと覚悟する。でも今現在を知っている上でとなれば、あとは必ずやってくる最高の結末を待つのみというわけだ。
特にこの映画は、陰湿は部分はほとんど描かれていない。チーム内外によるジャッキーに対する悪意ある行為(イジメや脅迫)についても所々で取り入れてはいるものの、それほど深く切り込んでおらず何事もなかったかのように通り過ぎ、ほとんど聖人君子のように徹しているジャッキーはやや出来すぎなくらい。(唯一取り乱したシーンが最大の見せ場のような気もするし)。
実際にはもっともっと大変で、本人も家族もとても傷つき怖い思いをしたのではないかと、球団もチームの仲間も様々な嫌がらせを受けていたのではないかと思うわけで、美談にまとめすぎたような嫌いはあるけれど、安心安全設計の最終的に皆がハッピーな気分になれる作品はやっぱり大好物だと思ってしまう。
その割にはそれほどドラマチックな作りになっていない感じだったりもするのだけれど、”最初の1人”の物語はやはり物語になるというだけのことはあって、見て損はない作品と思う。
最後、ED時に見せてくれる”その後”が良い。実話の時には欠かせないよね。
好感度:★★★★
でもあえていうなれば、”世界を変えた真の男”は、”ブランチ・リッキー”じゃないかなって。
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コメント
ちょっと、きれいごとって気がしました。
>本人も家族も思いをした
そう、あの脅迫状(手紙)のくだりくらいでしたよね。
精神的に、奥さんとか、かなり追いつめられただろうし、
実家や親せきなど。。いろんな軋轢もあった気がします。
でも、隣で号泣してるひともいたし、
やっぱり泣ける映画なのかも知れません(-_-;)
投稿: mariyon | 2013/11/01 23:59
英雄が聖人君子のように描かれていますが、実際のジャッキー・ロビンソンはこの映画よりも聖人君子だったそうですよ。一度もキレることは無かったとか。
まぁそれでは映画にならないということで、一度だけそういうシーンを入れたのだと思いますが、実物は映画以上に凄い人だそうです。
投稿: にゃむばなな | 2013/11/02 23:19
実際にジャッキーが受けた仕打ちはもっと酷かったと思います。
チームメイトが彼を庇うようになり、段々と仲間として認めて行く様子を上手く描いていましたね♪
エンドロール前の“その後”は良かったです。
たしかに実話映画には欠かせません。
投稿: BROOK | 2013/11/03 14:51
■mariyonさん、こんにちは
嬉しいと泣けちゃうので私は結構しずかに泣いていたと思います。
とはいえ、表面だけのつくりのような軽さはあったかと私も思います。
でもツラい部分を描けばよいってものでもないし、それこそお涙ちょうだい作品にもなりかねないので、これはこれで良かったのかも、と思ったり。
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/03 16:20
■にゃむばななさん、こんにちは
そうですか、ほんとうに聖人君子のような方でしたか。
でもそしたら「やり返さない勇気」ってのは演出?あそこはグッとくるところなだけに、それは残念な気も。
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/03 16:22
■BROOKさん、こんにちは
そそ、嘆願書だけなんて生易しいものじゃないですよね。
でも全体的にあっさりした作りなのかでも、変化は顕著に感じられていったし十分わかるものではあったと思います。
実話はその後が欲しいですよね、良い話は特にw
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/03 16:26
こんばんは。
実際、もっと辛い目に合っていたのだろう推測できましたよね。
でも妻も「白人オンリー」に堂々と入っていける女性ですから、きっと踏ん張って支え続けたのでしょう。
それを踏まえた上で、白人たちの意識変化が痛快でした。
ハリソン爺さまの名言がいちいちツボでしたよ~!!
それにしてもあの頃はヘルメットがなかったのねっ!
今みたいに速球ではなかったでしょうが、頭は怖い。
と、コメント書きながら、日本シリーズ最終戦見てます^^
投稿: オリーブリー | 2013/11/03 18:38
■オリーブリーさん、こんにちは
折角楽天が優勝したのに、事前エントリーもしていたのに、特に欲しいものがなくって・・・(爆)
意識変化、これにつきます!
少年が戸惑いながらも父親の野次をマネをしたときは悲しくなりましたが、強く刷り込まれる前に間違いに気が付いて晴れやかな顔をしてくれて嬉しくなりました。
すべては、多数決から脱却した最初の一歩を踏み出す勇気なんですよね。
>ヘルメットがなかったのねっ!
あ、そういえば!気が付いてなかったわー。
最近はプロも完全防備っぽくなってますよね。
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/05 18:49
たいむさん☆
泣けましたねー
私も涙もろいほうなので、泣いたりニコ二コしたり泣いたりニヤニヤしたりと忙しかったです。
綺麗に出来過ぎては居ますが、素直に感動できる作品でした。
投稿: ノルウェーまだ~む | 2013/11/07 00:19
■ノルウェーまだ~むさん、こんにちは
ええ、ポロポロとたくさん泣きました~
本当に、素直な視点での正統派作品だったと思います。
来年の「42」番の日が違って見えそうです!
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/07 18:03
こんばんは。
白人社会だったメジャーリーグと契約して、結果で周りを認めさせたジャッキー・ロビンソンは、まさに英雄です。
来シーズンの4月15日は、今までと違った視点で見る事になりそうです。
投稿: FREE TIME | 2013/11/10 18:26
■FREE TIMEさん、こんにちは
メジャーリーグも白人世界だっただなんて、今じゃ考えられない感じですが、「42」の日ができるくらい革命的な出来事にふれることができて良かったです。
来年が楽しみですねw
投稿: たいむ(管理人) | 2013/11/14 12:50