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2013/09/26

「そして父になる」みた。

Sositetitininaru

第66回(2013年)カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した話題作がやっと公開となった。
6年前に2組の夫婦の息子が出生時に病院で取り違えられた事実が発覚したことから、両家の戸惑い、とりわけ福山雅治演じるエリートサラリーマン:野々宮良多の苦悩や葛藤を軸として描かれた作品で、そうそう起こり得ることでもないけれど、思わず我が身に置き換えて見て考えてしまう映画だった。
そして、「父になる」というそのままの映画だった。

こうした作品の感想を書くとき、親子の愛情だの絆だの、いかにもなコトバで分かったようなことは書きたくないと、知った風なことを書きたくないといつも思ってしまう。
だからひとつだけ。
この映画を見て一番に感じたことは、「親」とは「なる」ものなのだなと。それからすると、

野々宮良多はそれなりに家族を大事にしてきたけれど、”父親をやっていた”だけだったのだなと思えた。確かに子供が生まれれば夫婦は必然的に親になる。でも実際のところは子供が親にしてくれているってことが解ってこないうちは「やっているだけ」なのかもしれない。

クールで優秀でエリートの
野々宮良多と、だらしなくてうだつが上がらない斎木雄大はタイプとして正反対。けれど、雄大は子供から見てめっちゃカッコイイお父さんだった。
まぁどっちが良いかはさておき、この対比はとても分かりやすいく、親である前にまずは人間性が重要であることも痛感させられる。

ひとり蚊帳の外に立たされたとき、やっと良多はこれまで見えていなかったものを見ることができるようになり、自己中心的でしかなかった自分と向き合い、過去の自分との決別を果たす。

実際問題としては、親よりも子供が一番の被害者。まだ幼い子供たちではあったけれど親の都合であれこれ決めてしまうのはいかがなものかとずっと思っていただけに、最終的に両家(というか野々宮家?)の出した結論は理想的なものと思ったのだけれど、どうなんだろう?ただこの取り違いには衝撃の事実も隠されていて、現実的にこのようなことが起こっていないことを祈るばかり、といったところ。

シビアな状況をとても素直に表現していて必要以上に美談だの感動ものにしていないところがとても良かった。それでも所々でグッときちゃう感じだったけれど。

好感度:★★★★++

そうそう、ピアノ曲:ゴルトベルグ変奏曲の「アリア」の持つ独特の雰囲気がとても良く合っていた。アニメ『時をかける少女』にも使用されていて、サントラでたまに聴くのだけれど。

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コメント

たしかに野々宮家と斎木家の対比がとても分かりやすかったと思います。
正反対に描くことで、取り違え問題を上手く浮かび上がらせていたような気がしますね。

最後に良多の下した決断…
やはり6年間という時間は奪えなかったということですね。

投稿: BROOK | 2013/09/26 16:20

■BROOKさん、こんにちはsun
こればっかりは当事者になってみないと・・といった感じ。
でも、生活レベルとか相容れないところはあったにしても、どうにもならない環境でもないのに、どうしてパッキリと割り切ろうとするのかがずっと疑問だったけれど、最後の最後に出した結論にホッとしました。
何を一番に考えなければならないのか、互いに歩み寄らなくちゃね。

投稿: たいむ(管理人) | 2013/09/26 16:30

こんにちは。

静かな空気でした。
セリフなくともワンカットごとで見せる感情の起伏に、自然と涙が溢れてきました。

なんと言うか、それこそ数ヶ月の赤子だったら、泣く泣く交換できても、早い内がいいって、全然早くないし(汗)
もうそんなことは出来ない年齢ですよね。

この2家族には、特質な出来事でしたが、父として、母として、成長していくという共通項は誰にも同じ。
子育て終えて振り返ると、反省ばかりですが(苦笑)

投稿: オリーブリー | 2013/09/27 14:54

■オリーブリーさん、こんにちはsun
私も号泣とか嗚咽とかいうのではなく、自然と込み上がってきたものから震えがくるような、そこからポロポロっと涙がこぼれる感じでした。

それに6歳って全然早くないですよね。
1年生でも自分たちがおかれた状況を想像できないほどではないだろうし。
親に怒られた反動で、自分は橋の下で拾われた子なんだって逆切れ発言もできちゃう年頃ですよね?
ああ、でも本編でも言っていたけどその手の感覚は「時代」が違うのかな?
昔は「取り違え」を扱ったドラマとか漫画とか結構あった気がするけれど、最近はない?ありえなくなってるし。

受賞も納得の良い作品でしたね。

投稿: たいむ(管理人) | 2013/09/27 17:03

こんばんはー^^

号泣って感じじゃなかったねー^^
でも、自分についつい置き換えて鑑賞しちゃいました。
自分の立場だったらと思うと辛かったわ。
あーだこーだと振り回される子供が一番可哀想だよね。

投稿: みすず | 2013/10/01 19:31

■みすずさん、こんにちはsun
そう、子供が一番の被害者ですよね。
そこをまだ小さいからって勝手に決められちゃあ「なんで」ですよね。

ようやくたどり着いた結論にホットしました。

投稿: たいむ(管理人) | 2013/10/02 09:14

実の子が取り違えていた事を知って、血のつながりを選ぶのか、愛した時間を選ぶのか、お互いの夫妻にとっては難しい問題だったと思いますが、その答えは子ども達が導いてくれましたね。
いろいろと考えさせられた映画でした。

投稿: FREE TIME | 2013/10/06 18:54

■FREE TIMEさん、こんにちはsun
なんであんなにハッキリと割り切ろうとするのかずっと疑問でした。
親だけの勝手な判断に対して、子供たちがよく頑張ったなぁって思います。

投稿: たいむ(管理人) | 2013/10/07 14:32

自分なら、100%育てた方を選ぶと思っていました。

でも、そんな簡単なものじゃない。

どう転んでも、親も子も大きなトラウマを
これから超えていかなければならない。
そこを考え出すと、結論など出るはずもなく
ただ、ただ、つらくて。

子供に一番いい選択なんて、結局ありえない。
一生比べる対象を作ってしまった、
それは兄弟とかでなく。。。

これから成長していく2人。
離れていても、近くにいても、仲良くても疎遠でも
悪い方に転がるのが当然で、
それが心底いい関係になるって、奇跡のようなものだし。

ラストはほんとうにあれしかないです。
だって、また、時がたてば別のラストになる。
ラストはないってことですから。


ガリレオと同時期公開でなくてほんとよかったです。
できれば、凶悪もづらしてほしかったけど。

投稿: mariyon | 2013/10/10 11:09

■mariyonさん、こんにちはsun
どちらで暮らすにしても、2組の家族は「比較」から逃れられない一生を暮すことになるんですよね。それがなによりも切ないです。
希望はあっても正しい答えなんてないですもんね。
とにかく、難しい問題を丁寧に扱った良い作品だったとは思います。

また実話としてTVドラマがあるようですが、そっちはあまり見たくないかも。生生しそうで。
ハリウッドのリメイクは見るかもだけど(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2013/10/11 15:53

6年は大きい。私はねきっと迷わなかったと思います。
でも相手の家族にもよるかな。どちらももう我が子。
幸せになって欲しい。ソレが親の願い。
結局この家族はこれからも親交を続けて行くんだと思う。きっと---。
とはいえやっぱ被害者は子供。最後まで聞き分けき分けのよかった慶多くんのラストの行動には 爆泣きしちゃいました。福山さんが流した涙もそうですが、言葉がない分いろいろな思いが見えてヤられたんだと思う。
こういう演出なんか好き。惹かれました!
見逃さなくて良かった~!

投稿: くろねこ | 2013/10/19 21:49

■くろねこさん、こんにちはsun
子を持つ親の立場だと感慨もひとしおでしょう。
親の立場として自分だったら・・・ってね。

実際のところ、この先2組の家族が親交を深め、続けていくのかは微妙なところで、あとは祈るばかり。
一生比較され続ける子供たちが、必要以上に苦しまずに育って欲しいものですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2013/10/22 16:13

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