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2013/05/28

「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」みた。

The_place_beyond_the_pines

2時間越えの141分という長めの尺だと思ったら、3つの物語がリレー形式で描かれているものだった。
それぞれ視点が違うのだけど、3つの物語は密接にリンクしていて、邦題ではわざわざ「宿命」と付け加えたくなったのも分かるという感じ。
でもどっちかっていうと「宿命」よりは「運命」のほうが意味合いとしてはあってる気がするけど。

とにかく因果なお話で、ズシっとのしかかってくるようなストーリー。
まず始めは、バイクの技術しかコレと言って取り柄のない若者:ルークが、知らぬ間に元恋人が産んでいた1歳になる我が子に対して過剰な父性愛に目覚め、お金のために銀行強盗に手を染め、結局憐れな末路を迎える話。そこからヘタを打ったルークを追いつめた新米警察官:エイヴリーの視点に切り替わり、実は警察官にあるまじき早計な行動からルークを死に至らしめ、事実を告白できないまま逆に英雄視されたエイヴリーの苦悩と開き直りの出世物語に転じ、最後は15年後に変わり、それぞれの息子が同級生として出逢い、何も知らずに育てられたルークの息子:ジェイソンが真実を知り、彼なりに決着を付けることでようやく因果な物語に終止符が打たれる・・といったものになっている。

まぁいろいろ「それはないだろ~」な感じで、常軌を逸した行動って伝染するのかしら?と思えるのような、良くない意味での出来過ぎた負のスパイラル物語といったところではあるのだけど、それは関係者だけが内に抱える問題であって、世の中にとって表面化していない事実は、無いにも等しい事でしかないんだなぁ~としみじみ思う私だった。
ささやかながらも確かにあった一時の幸せってものが、あっという間に不幸に塗りつぶされちゃうのもちょっと切ない。
15年のビフォーアフター。置かれた境遇で見た目(老け具合)がパッキリ別れていたのが妙に生々しかった気がする。人間、そんなもんだよね。

クライムドラマというよりはヒューマンドラマという印象がするのは私だけかな?
この映画、共感は出来ないのだけど、なんだか解るから、ただ成り行きを見つめるだけしか出来ないんじゃないかなって思った。

妙にごつい胸毛のバカ息子にむかつき、オトシドコロがサッパリ見えなかったのだけど、ワーッと出すもの出してひとりになったジェイソンが、父親の後を追うようにバイクを手に入れ、バイクを駆って去って行く後ろ姿を追ったラストの余韻がとても良かった。

好感度:★★★★

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コメント

こんばんは。

>ごつい胸毛のバカ息子

そうなのよねぇ~~ブラッドリーとローズ・バーンのお子にしたら、それはないだろう、、、みたいな(苦笑)
赤ん坊の頃はみんな可愛らしいものだけど、いきなりの15年後にそこも付いていけなかったわ。
ホント、どこまで行くのか、落しどころが見えなくて、息子編はいささか退屈だった。
ラストは何とかしまりましたね。

強盗パートナー(って、バイク回収だけ?爆)の例のチンピラ、「ジャッキーコーガン」よりはマシだった(笑)

投稿: オリーブリー | 2013/06/01 01:02

■オリーブリーさん、こんにちは
なんか、悪くないんだけど、いろいろ無理やりな感じのところもたくさんで、もう少し自然に繋げて欲しかったですね~(^^;
そして、本当にこれどうなったら終わるの?って感じで、私も息子編はストレス感じちゃってました。
ジェイソンがソコソコ良い子に育ってて良かったわ~

>「ジャッキーコーガン」よりはマシだった(笑)
ぶはは!また知的?でテクニックを活かした計画性がありましたよね(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2013/06/02 08:19

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