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2013/04/07

『ビブリア古書堂の事件手帖④』 三上 延(著)

Bivuria4

2月中には手元にあったにも関わらず、やっと読み終えた4巻。1月から放送されていたドラマは1話目をチラと見ただけで放棄したのだが、聞くところによると4巻の内容も含まれていたとかで、どうやらドラマ視聴者にも先を越されていたということらしい。(まぁそんなとはどうでも良い事なのだが)。
4巻は「江戸川乱歩」にまつわる長編作。著者のあとがきにもあったが、乱歩とその作品については、私にとっても「まったく知らない作家ではなし」という気持ちで読み進めたのだが、実際のところは大輔とほとんど変わらない自分で、古書と作家についてのトリビアが気軽に楽しめるところがやはりこのシリーズの醍醐味だなぁと改めて思う次第。けれどこのシリーズを読んでいつも最後に思うのは、気持ちが悪いくらいのオタクの執念ぶかさ、なんだよね。

今回は、江戸川乱歩の膨大なコレクションを所有していたとある資産家の死亡から、ビブリア古書堂に(正確には篠川智恵子に)コレクションを譲り渡す代わりに、資産家が愛人に残した遺品をしまっている精巧な金庫を開けてほしいという依頼を、母親に代わって栞子が受けるというもの。
金庫は鍵と暗証番号でかたく閉じられており、鍵の行方も暗証番号も不明という超難解な依頼。しかし資産家の残した貴重なコレクションというわずかな手掛かりから、資産家を取り巻く人々の、絡み合った数奇な人生をひも解くことで、いつものように答えに辿り着く・・というものになっている。

推理に関しては、ほとんどノーヒントからのスタートなので、ジグソーパズルのピースを1個ずつ嵌めていく作業のように、なかなか全体像が見えてこず、例えば一つの絵をつなぎ合わせて完成させても、それはただけ背景の一部でしかなく、結局外堀をすべて埋め尽くさないと中心に描かれているものの想像すらつかないといった長編ならではの展開になっている。
結論としては、それ程ヤラレタ感はないものの、どんでん返しまでよく頑張ったなぁという印象。とにかくそこへ辿り着かせるために仕込んだ人間模様に苦心や工夫を感じた。また探偵の栞子も、普段の相変わらずな栞子も、どちらの栞子もやっぱり私は好きになれないのだが、古書と人間ドラマを絡めたストーリーは良く出来ていると思う。

しかし、こんなにアッサリした感じに篠川智恵子が絡んできてしまったのが意外というか、予想外というか、残念というか、私としてはそんな感想。
なんというか、これまで「どんだけダークな母親なのか」といった印象を植え付けてきた割には、「決して良い人間ではないが、悪人でもない」ことを強調するような方向へ一気にシフトした感じで、キャラクターとしての魅力では、栞子を喰う存在になってしまった気がする。
結局のところ同じ狢の母娘で、本質的なところでキャラが被ることになる。それがここに至り、一方的に極悪非道と思わされていた母親が実はそうでもないとなれば、どう考えても確固としている智恵子の方に私は心惹かれる。それを履返すには明らかに異なった部分で、栞子のほうが正しいと思われる何かが必要になってくると思う。

なんだかこれから先は予想に反して母娘の和解路線に進んでしまうのかなぁ~。
母親の野望?が薄らほのめかされたラスト。それに対して栞子がどう動くことになるのか。野望を阻止するために競い合うことになる、というのが自然な流れのような気がするけれど、いずれにせよ最後は母親に全てイイトコを持って行かれそうな気がしないでもないような・・・。(それならそれで今の時点で中途半端にイイ人にしないで、悪女のまんまだった方が良かったんじゃないかなとか思ったりもするのだけど)。

あとは、なかなか進展をみせない恋模様が一歩前進したのが良かった。ひとえに大輔の勇気と行動力を賞賛するところだ。でも私としては栞子の鈍さは無神経にも匹敵すると思うわけで、難儀な事だと思ったり。まぁ大輔がそれでも好きだと言うのならばハッピーエンドにしてあげたいよね。

続きを待つ!

そういえば、参考までにと過去ログを確認したら3巻の感想をアップしていなかったようだ。(栞子嫌いが進んだためと思うが)。まぁ今更書こうとも思っていないけど。

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コメント

たいむさん、お久しぶりです。
>こんなにアッサリした感じに篠川智恵子が絡んできてしまった…
そうなんですよー。私も「残念」という印象が強かったです。もっとある種の闇を抱えた謎の存在だと思っていたものが意外にあっさり出てきたなと。この物語における母親の存在は最後までモリアーティーでいいような気がしています。

>それ程ヤラレタ感はないものの、どんでん返しまでよく頑張った…
乱歩というテーマ性から探偵モノになったのはわからなくはないし、隠し場所や点字の謎も面白かったのですが、表面的な感じで終わっちゃったのが物足りなさを感じました。

どうせならそろそろ「栞子、ついにダークサイドに堕ちるの巻」的な展開で暗黒面をだしちゃってもいいかのなと。そうでなくてももっとそれぞれの心理描写を掘り下げて描いてくれると読み応えのあるものになりそうなので次回に期待というところでしょうか。

投稿: GAKU | 2013/04/20 10:17

■GAKUさん、こんにちはsun
ああ、やっぱ篠川智恵子の登場はそんな風に感じましたか。
栞子のダークさを思うと、この娘あってあの母親ありな展開を期待してしまっていたので、本当に肩透かしでした。
なんか中途半端ですよね。

トリックは、あまりに凝り過ぎなのかな~って私も少し思いました。
読者の予想を覆しつつ、それでも読者の期待に応えた気持ち良さを与えてくれるようなものであって欲しかったかなぁと。
今回のは、本当にだだの手段でしかなかったという印象しか残りませんね。

>「栞子、ついにダークサイドに堕ちるの巻」
うん。それを期待してたんですよね。
でも今回はやくも大輔が引き戻しちゃったじゃないですか。となるとその路線はもうないんじゃないかなって。

そんなこんなで私はどんどん栞子が鬱陶しく感じられるようになってしまっています。
次も出れば読むけれど、期待はもうないかも(^^;;;

投稿: たいむ(管理人) | 2013/04/20 14:57

江戸川乱歩は馴染み深く、少年探偵団以外はほとんど読んでいたので、家に仕掛けられたトリックや暗号など、乱歩らしさがふんだんにつめ込まれていたのが面白かったです。

栞子さんの母親との関係は今後気になるところです。悪い人間ではないといっても、本のために家族を捨ててしまうところもあるわけですし、彼女自身の出自も明らかにされていません。探している本の正体も気になるところで、今後の展開が楽しみです。

ドラマは…。私も1回めしかみていません。今後黒歴史となるとは間違いのないところでしょうが…

投稿: 日月 | 2013/04/24 13:35

■日月さん、こんにちはsun
日月さんは割とこのシリーズに好意的ですよね。
私は1巻で栞子の性格にドン引きしちゃったので、どうも斜めに見てしまいがちになってしまいました。

でも今回乱歩一本に絞ったところはなかなか良かったです。頑張ったなぁ~って印象ですし。

>栞子さんの母親との関係
私としては、やるならやるで徹底的にお願いしたかったんですが、早くも母親のいいひと面が出てきてしまったのがアレレ?だったです。
今後の急展開を希望かな?

>黒歴史
同意。あそこまで別人別設定やられちゃうと引きますよねぇ(^^;;;

投稿: たいむ(管理人) | 2013/04/25 15:04

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» 「ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜」 三上 延 [日々の書付]
古書にまつわる謎解きミステリ、ビブリア古書堂第4弾「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)」を読みました。 今回いよいよ、謎に満ちた栞子さんの母親が登場。乱歩作品のコレクションにまつわる長編で、金庫に収められた乱歩ゆかりの品をめぐって、栞子さんと母親が対峙します。 これまでの「ビブリア古書堂シリーズ」では、失踪した栞子さんの母親・智恵子さんは、古書の知識と洞察力は栞子さん以上、けれど本のためなら犯罪まがいのことまで平気でやってのける、油断のならない人物と... [続きを読む]

受信: 2013/04/24 13:30

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