「人生、ブラボー!」みた。
主人公:42歳独身男のダヴィットは、何をやらせても中途半端な甲斐性なしのダメ男である。そんなダヴィットのもとに、ある日突然弁護士が現れ、「あなたは生物学的に533人の父親で、その内の142人があなたの身元を知りたがっている」と告げていく。ダヴィットにとっては寝耳に水な話。過去に「スターバック」の仮名で行った700回近い精子提供は常識外な行為とはいえ正式な手続きのもとで行われ、当然匿名の権利も有している。即座に幼なじみの弁護士に相談に行ったダヴィットは、対応として病院側を逆提訴することにする。けれど訴訟の資料から142人の子供たちのプロフィールの一部を垣間見てしまったダヴィットは、ついつい子供たちに興味を持ち始めてしまう。
ダヴィットの子供たちはプロサッカー選手、役者志望、路上ミュージシャン、ゲイ、薬物依存症、障害を持った子などなど様々だった。
簡単にいうと、ダヴィットは精神的に子供のままなのだね。40歳を過ぎながら、親に甘え、兄弟に甘え、何に使ったのか安易に借金に走り、交際相手の妊娠にも尻込みするような、「責任感」はティーンエイジャー並みでしかない。また子供たちをこっそり観に行くだけならまだしも、立場を弁えず自ら近づいて、とってつけたように父性愛に目覚めて「守護天使になる」とか言い出してしまうのは、まったくもって子供っぽい短絡的な行動にほかならない。
けれど、個々には恨み辛みも無くはないが基本的には純粋に“父親”の身元開示を求める子供たちとの交流によって、ダヴィットは今まで適当に受け流してきたことについて学び始め、大人として成長していくのだから人生なにがどう作用するのか分からないものだ。
結果的に裁判では開示訴訟も逆提訴もダヴィットの勝訴となり、匿名は守られ、多額の賠償金を得ることになる。けれど、彼女とお腹の子供についてであり、名乗り出たいと真剣に考え始めていたダヴィットは葛藤する。問題は世間体と借金の返済。名乗り出た後のことは未知数でしかない。
問題をどうクリアしたかは、それ相当なラインとだけいっておくけれど、カミングアウト後のエピソードはあったかくて思わず嬉し涙がこぼれちゃうものだった。
実際問題とするならば、こうもすんなり都合よく行くはずがないのだろうけれど、「映画なんだし、いいとこだけの夢物語で夢をみたっていいじゃん」って思える纏め方はけっこう好き。世界一の大家族ハグが最高だった。
好感度:★★★★
お父さんやお兄ちゃん達こそ、突然500人を超える孫や甥っ子姪っ子が出来て複雑な気分だよね。
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