『陰陽師 酔月ノ巻 : 夢枕獏(著)』 よんだ。
マンネリ感が心地良いとは言うものの、今回はこれまでにないところも幾つか感じられた。
まず、これまでは博雅が清明と馴染みであることから頼まれて事件を持ち込んでくることが多かったように思うが、今回ははじめから清明に依頼(訪問の約束)があって、「源博雅様との先約があるが、同席でも構わないならどうぞ。」という流れから「構わない」となり、博雅は単なる立会人のような感じで事の顛末まで見届けるという形が多くなっていたように思う。まぁ感受性の高い博雅だけに、直接関与していようといなかろうと、いずれにせよしばしば中てられちゃう事にはなるんだけどね。
そして、今回は「新山月記」ほか作中に”漢詩”がいくつか登場している。白楽天などは『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を彷彿するところだが、蘆屋道満が主人公になっている「道満、
強いて言えば、私個人的には”呪”の話が大好きなので、博雅が清明に”呪”の話はしないでくれと言い、風向きがあやしくなると直ぐに話を止めさせてしまうのをいつも残念に思うのだけれど、天然の博雅がふいに”呪”につながる話をはじめてしまうところや、清明が照れちゃうようなことを当たり前のように口に出してしまうところもとても大好きで、今回もその両方が盛り込まれていたので、「うんうん」とニッコリホッコリさせてもらった。
月日の流れから書き方や表現方法が少しずつ変化していったとしても、この2人の関係でありやり取りだけはいつまでも変わらないでいて欲しいと思う。
小説連載25周年記念本の「『陰陽師』のすべて」は結局まだ購入してもいないのだけど、無性に読むたくなってきたかも。
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