「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」みた。
妖艶な容姿と類まれなる政治的手腕から五代将軍綱吉の治世は最盛期を誇っていた。しかし一人娘で御世継ぎの松姫が夭折したことを切っ掛けに、政治も大奥も泥沼と化してしまう。綱吉は”世継ぎ作り”に専念させられることとなって政治からは引き離され、大奥では総取締:右衛門佐VS綱吉の実父:桂昌院という、綱吉の寵愛を巡る権力争いが激化。世の中は乱れはじめ、後に”生類憐みの令”が更なる追い打ちを掛けることになる。
右衛門佐は綱吉の側室になるべく京から呼び寄せられた貧乏公家で、原作では[有巧・家光篇]の有巧に瓜二つという設定になっている。そのため堺さんがドラマ版での有巧と右衛門佐の両方を演じているわけだ。
この時代の男の役割、しかも貧乏公家の男となれば、ほとんどが単なる”種付け馬”の扱いでしかなく、右衛門佐は荒んだ心のまま大奥へと乗り込み、「権力」に生きようとする。また綱吉は我が子を亡くした悲しみを嘆く間もなく、”世継ぎ”の為だけに数知れない男たちに抱かれ続けねばならない苦痛に耐え続け、反動として言動を歪ませていく。
そんな心の奥底に同じような思いをずっと抱えていた2人が、はじめて心とからだをひとつにするまでには、とてつもなく長い時が経ってしまっていた。そして「これから…」というところでの哀しき運命。
原作でもボロボロと泣きまくったものだが、わかっていても(わかっているからこそ?)”世継ぎ”を宣言したあたりからもう切なくて、吉保とのやり取りをじれったく思いながらそれはそれで泣けて泣けて、ハンドタオルをじわじわと湿らせる私だった。
堺さんは、既に私の中では何をやらせても「ハズレなし」になっているけれど、菅野さんも近頃「悪女(もどき)」が上手くなっており、映画全体的にとても安定感のあるものになっている。
エンタメ要素が強くて重みが感じられなかった前作『大奥』とは打って変わり、続編とは思えないような、濃厚な大人の時代劇として見応えのある仕上がりがとても良かった。
好感度:★★★★
| 固定リンク | 0
コメント
今回はクスクス笑いが聞こえませんでした。
慣れでしょうか?
投稿: ミント | 2012/12/27 15:01
■ミントさん、こんにちは
クスクス笑うような作品じゃないですよね、これは。
投稿: たいむ(管理人) | 2012/12/29 23:16
もう一回くらいはまた観ていいかなと思える作品でした。
綱吉の孤独。
でも、同情出来ないんです。
牧野家の幸せを家庭をぶっ壊して,自分が何やったのかも全然
わかってない…。
右衛門佐の過去のシーンは、こぶしを握って怒り屈辱を押さえてる
場面は、よく血を見なかったと思いましたね。
原作映画と共に。
江戸時代公家さんの生活が苦しかったなんて驚きです〜。
身分は武士より高いのに,まともな御飯も食べられなかったなんて。
末端の地位なら,まだわかりますが親は中納言です。
その地位であるにも関わらずあの回想の暮らしだったなんて。
驚きです〜。
投稿: アニス | 2013/01/02 11:40
たいむさま、今年もよろしくお願いいたします。
前作の映画に比べると、たしかに、重厚だったし
大人の感じだったのに、なぜかドラマのほうがよかったっていうのも、ちょっとさみしかったです。
でも、もういちど1巻から原作を読み返したくなりました。
ただいま、大人買いしようかっどうか、悩んでます
投稿: mariyon | 2013/01/05 16:19
■mariyonさん、こんにちは
あけましておめでとうございます。
ドラマは尺も長いですしね。
コメでも言いましたが、有功さまの方がキャラが良いというのもあるんじゃないかなって思います。
原作は、私も大人買いしたくなりましたが、前回同様ぐっと堪えて、レンタルコミックで追跡中です。
レンタル開始解禁までに1ヶ月かかるので最新刊を直ぐには読めませんが、御用達のところは結構穴場で在庫数も多いので助かってます(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2013/01/05 20:03