「ローマ法王の休日」みた。
とりあえず誤解のないよう補足するが、決して「作品悪いわけではない」という事をまず言っておかなければならない。結果的に私としては「騙された」という印象で、失敗感は否めないけれど、役者は素晴らしかったし、見る角度さえ間違っていなければ、好感度はそう低くなかったはずだと思っている。
何が良くないかと言えば、確かに、ローマ法王が御付の者を捲いて市井に紛れる話ではあり、邦題が必ずしも間違っているとは言えないところだろうか。そして逃げ出す様子が楽しげに見え、法王さまがカウンセラーに「役者になりたかった」なんて言う場面を予告編で使ったことだろう。
だからこそすっかり勘違いしてしまい、法王さまはほんのひと時夢を叶えて、最後の最後はやっぱりアン王女のように在るべき場所に戻っていくのだろうなぁなんて、勝手に想像しちゃうわけで、でもそれはたぶん私だけじゃないと思うし、後でがっかりさせるような宣伝はもう少し考えて欲しかったと思う。
それが実際はというと、いざ町へ飛び出したところで、法王さま自身はいっこうに楽しい雰囲気に包まれることなく考え込むばかりで、前向きな結論に至るような切っ掛けすら見えてこない展開。やがて時間切れとなって連れ戻されれば、「やっぱり私には無理だ」という結論に至り、そのまま公衆の面前で宣言するのだからまったくもって救われない。それでもなにかオチがあるのかと待ってみるが、そのままEDクレジットが流れ出したときにはもう唖然を通り越してしばし茫然という感じだった。(ちなみに、法王さまの出奔中は、新法王が重責にしり込みし、引きこもりになってしまったゆゆしき事態と、お披露目が済むまで自分たちは缶詰になるしかないという決まりまでは把握していても、やがて時間が解決するとあくまで他人事にして暢気なその他大勢の枢機卿たちが、法王不在を隠すためのあの手この手に騙されていても全く気が付くこともなく、時間を無為に過ごしている様子が同時進行で描かれている)。
もし、邦題から勘違いしていなければ、「バチカンの知られざる実情」として、”コンクラーヴェ”に時間がかかる理由は枢機卿の誰もが法王になりたくないと思っているからだとか、普段は信者に崇め奉られている爺ちゃんたちが年甲斐もなくバレーボールに興じちゃったりすることとか、偽物なのに法王さまだと信じてニコニコ手をふったり拍手したりしちゃうこととか、面白おかしく捉えることになったかもしれないし、新法王のまさかの決断も「してやったり」風に捉えられたかもしれないのだけど。。。
ハッピーエンドのハートフルコメディを楽しみにしていただけに、私としては、いろいろな理由で残念なことになってしまった映画だった。
好感度:★★★+
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