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2012/11/02

「のぼうの城」みた。

Nobou

東日本大震災のために公開が延期されていた作品が漸く解禁となった。理由は言うまでもないが、この作品の肝が”水攻め”だったから。天災はもちろんだが、人為的に城下を水没させるなどもってのほかということだ。私自身被災者ではないものの、一年半経った今でも濁流押し寄せる水攻めシーンではリアルタイムで見つめていた映像が脳裏によみがえった。だからまだ少し早いような気もしたのだが、この作品は極めて明るく、とにかく前向きで、結末も実に心地良い。震災の記憶を切り離すことは出来ないかもしれないが、エンターテインメント作品として観て損のない映画だと思う。

”水攻め”といってまず思い出すのは羽柴秀吉による”備中高松城の戦い”であり、実は勘違いしていた私だった。
この映画で描かれているのは石田光成の”忍城”における”水攻め”。本当に映画が始まって秀吉による”水攻め”があっさり終わってしまうまで気が付かなかったのだから、いやはや苦笑いである。けれど、自己弁護するなら勘違しても仕方が無いと言えるだけの理由はある。この物語で光成の”水攻め”に対応したのは成田長親だが、長親は、人となりこそ違えど、それこそ”備中高松城の戦い”において小舟で舞を踊り自害した清水宗治をモデルにしたような人物だ。そんなエピソードの断片を予告編で見せられたことで私はすっかり勘違いしてしまったのだが、この作品は史実に基いているようでいて実は創作色のほうが強いオリジナルストーリーである。後日談や史跡等は本物だが、ゆえに真実であると惑わされないようご注意願いたい。

ざっくりいえば「能ある鷹は爪を隠す」をそのまんま描いたような物語。武士としては全く使えず血筋だけで№2の座にあるような男ながら、その人柄から民百姓には絶大の人気を誇る成田長親の、独特な方法での一風変わった武勇伝といったところだろうか。
それもこれも、長親演じる野村萬斎の好演あってこそ。家臣も民も、味方も敵も、石田光成でさえ魅了してしまう”のぼう”っプリは見事としかいえない。『陰陽師』でも捉えどころのない安倍清明を飄々と演じていたが、長親もまたそうした人物であり「ハマり役」だった。(見せ場の”田楽踊り”はもっと良く見たかった)。

最初から反旗を翻すことが判っているのに、前置きがやや長すぎるように感じたが、「戦いまする」と宣言してからはまったく時間を感じることはなくなり、終わってみれば長丁場もあっという間だったという印象。
2012年の公開にあたってカットされたり、差し替えられたりしたものと思うけれど、EDもそんな感じで、実際に「忍城」があった埼玉県行田市の現在の風景が映し出されており、数百年後の世とはいえ水没によって何もかもが失われた地の”再生”であり、“再起”といった人々の不撓不屈の精神のようなものを感じられてとても良かった。

面白かった!

好感度:★★★★+

公開のズレは子役を見ると顕著。愛菜ちゃん全盛の頃の可愛らしさが懐かしい!

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コメント

野村萬斎さんが好演してましたよね。
セリフ回しといい、立ち振る舞いと言い…
非常に素晴らしかったです。

たしかに2時間25分もの上映時間があっという間でした。

投稿: BROOK | 2012/11/03 06:06

前半がやや冗長に思えましたが、
開戦後は前向きな力強さいっぱいで楽しかった!

野村萬斎ハマり役ですね〜

終盤が良い!

投稿: AKIRA | 2012/11/03 21:11

■BROOKさん、こんにちはsun
野村萬斎さんの所作の美しさとか発声とかとても好きなんですけど、時代劇には良く合いますよね。
のぼう役にぴったりでしたねw

こんなに長かったのに、最後のほうではまだ何かしでかすのかとワクワクしてしまいましたw

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/04 13:34

■AKIRAさん、こんにちはsun
前半はのぼうの人となりを見せるのは良いとしても、決起までが長かったですね。
けど、後半から終盤、エンディングも含めて時間を忘れるくらい良かったと私も思います。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/04 13:36

こんにちは♪

先の震災を思えば公開延期は賢明な判断だったし、
今、こうしてまた当たり前のように劇場で映画を
観れることに感謝ってぇところですよね。

>史実に基いているようでいて実は創作色のほう
 が強い

そうなんすよね、歴史的事実は事実として、長親
をはじめその家臣団の人物像なんかは極めて資料
の少ないだけにいかようにも料理できるところが
ありますからね。
まぁ、その辺はどの歴史ものでもそうなんすけど
ね…。

何にせよいち大きく歴史を歪曲したものではなく、
史実を基にオモシロくダイナミックに描いた本作
は戦国好きとして、大満足の作品でした♪
(゚▽゚)v

投稿: 風情♪ | 2012/11/05 22:04

■風情♪さん、こんにちはsun
そうですね、延期は妥当だったと私も思います。
被災地の復興具合は格差がありますが、それでも、日常が戻ってきており、普通に暮らせることに感謝ですよね。

なかなか自由度の高い歴史モノでした。
誇大な表現もこういうのならばアリだしねw
それでいて、歴史に沿っているように見せかけるのがとてもうまくって、本当に事実だと信じちゃうひとがいるのではないかと心配になってしまう感じでした。

>戦国好きとして、大満足
やっぱり?
なんとなく風情♪さんは好きな感じではないかと思っていましたw

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/06 14:45

たいむさん、こんにちは!

野村萬斎さんは良かったですね。
原作をずいぶん前に読んでいたのですが、キャスティングを聞いた当初はイメージが違うなと思いました。
ですが、田楽踊りのシーンなどを見るとやはり萬斎さんでよかったなと。
飄々としたのぼうのらしさが出ていたと思います。
エンドロールは「再生」、なるほどですね。
たいへんなことがあっても自然と人の営みは時間をかけて再生していく、そういう感じがあるように思えてきました。

投稿: はらやん | 2012/11/10 09:10

公開の遅れとともに、原作を中途半端に投げてしまったのが敗因でした。
映画は面白かったし、なんと言っても、満斉さんがうまかった。
でも、期待しすぎはダメですね。
エンドロールは今の様子を流してて面白いと思いましたが、おっしゃるように、「再生」そして「再起」を願いたいです。

投稿: mariyon | 2012/11/11 11:07

■はらやんさん、こんにちはsun
オノナツメさんイラストの原作はそれだけで木になっていたのですが、結局読むことはなく映画が初めになりました。
田楽のシーンがあるから萬斎さんを起用したのか、原作者がイメージして書いたのか、とにかくよく合っていると感じました。

津波に何もかもを流された東北地方もいつか何事も無かったかのようになる時が来るでしょうか。そんな風にEDの風景を観ていました。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/11 17:11

■mariyonさん、こんにちはsun
何事も、期待し過ぎるとだめですね~
期待通り!って絶賛できるのって、10本に1本くらいかなって思うし。

EDは震災によって差し替えたものなのか。
私はそうしたメッセージのようなものを受け取りましたが。
神戸のあの時と今の対比とかも良く使われますよね。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/11 17:14

私は漫画の方をちょこっと読んだだけだし
田楽踊りは見ものだったし。
世界ふしぎ発見では史実の事はつたえられていました。
天候地の利など緻密に計算してのことだったようです。
実際の長親は、結構すごい人だったんじゃ。

投稿: ミント | 2012/11/22 11:31

■ミントさん、こんにちはsun
漫画どおりなのかな?
世界ふしぎ発見も見損ねました。

長親のようなリーダーが今の日本に欲しいもですねね。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/23 17:36

たいむさん、こんばんは^^
たいむさんは、日本史もお詳しいんですね~
日本史大好きな長男とほんと、気が合いそうです(笑)

さて、この作品ですが・・・
私は成田長親って知りませんでした(^_^;)
ですから、清水宗治なんてなおさらわかりません(苦笑)そんな私ですが、いい意味で軽いと言うか軽めの
時代劇、エンタメ作品でしたので楽しめました♪

萬斎さんの安倍清明も大好きだったので期待して観に行きましたが、やっぱり萬斎さんは良いですね(^_-)-☆田楽踊りは、私ももっともっと観ていたかったです!

PS.人生の~はもうご覧になって感想アップされたんですね。私はこれからアップなのですが、記事が書けたらまたお邪魔しま~す♪

投稿: ひろちゃん | 2012/11/24 22:04

■ひろちゃん、こんにちはsun
日本史専攻でしたから~
でも成田長親はよく知らないし、清水宗治の話は少し前にたまたま観ていたTV番組で特集やってたんですよね(笑)

>萬斎さんの安倍清明
おお、ひろちゃんもお好きですか。
原作も大好きで未だに読み続けていますが、博雅の伊藤君も含めて1.2共に好きな映画です。

今回のも萬斎さんあってこそであり、これまでとは一味違う時代劇が楽しめて良かったです。


投稿: たいむ(管理人) | 2012/11/25 20:48

こんばんは。
野村萬斎さんの好演がこの映画を引き立てていましたね。
水攻めのシーンでは、やはり昨年の事を思い出してしまいましたが、史実である以上は変に意識すべきではないとも思いました。

投稿: FREE TIME | 2012/12/03 00:48

■FREE TIMEさん、こんにちはsun
エンタメといえど、被災者に配慮するきもちは大切と思いますが、確かに、過剰に反応して作品が違ったものになるのは残念ですね。

今回はちょうど頃合い、萬斎さんの田楽で本当に全体の雰囲気が変わってしまうような、そんな映画だったと思います。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/12/03 15:19

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