「灼熱の魂」(ヒューマン・シネマ・フェスティバル2012 )みた。
私は時間に余裕が持てるようになった数年前から年間100本近く映画を見ている。必然的に社会派作品に触れる機会が増えたが、そこで自分がいかに“知らない”ということを思い知らされ、特にアフリカ大陸内で現在も続く戦争や内乱・内紛についてほとんど何も知らず、現実に打ちのめされてしまった。
自分を含め戦後70年になろうとしているいまの日本人の多くは“歴史”という上っ面な知識でしか“戦争”を知らない。隣国の侵略に脅かされにくい環境しかり、希薄な宗教観しかり、島国ゆえの利点と弊害の両方から齎された結果によるところが大きいと考えるが、自国の黒歴史ですらどれだけ知っているかと言えば、やはり知らないに等しい知識しか持たないとすれば、「平和ボケ日本」という皮肉を自覚し、無自覚無関心を修正していかなければならないと強く思うようになった。以後、「知る」ためにそうした映画は心掛けて観るようにしている私だ。
『灼熱の魂』は、民族紛争が貰らした二重三重の悲劇、母親の遺言からその子供たちが謎めく母親の数奇な人生を紐解き、驚愕の事実に真正面から向き合うことになる、という話。
唐突に体調を崩し急逝した母親の遺言は、内戦で死んだとされていた父親と、まったく存在すら知らされていなかった兄を探し出し、手紙を渡して欲しいという不可解なものだった。手掛かりもなく途方に暮れる姉弟だが、母親の経歴を手繰ることで情報の断片を集め、次第に点は線となり、やがて全容が見え始める。
とにかく「壮絶」としか言いようのない母親の人生。異教徒難民と愛し合い、子を身籠ったことで一族から弾圧を受け、恋人は射殺、赤ん坊は産んだ直後に孤児院へと送られ、母親も一族の目を逃れて親戚を頼り、ひとり故郷を後にする。その後内戦の勃発から或る出来事を切っ掛けに自らの意思で激化する戦いの渦中へと身を投じる。そして要人射殺の罪で十数年投獄されたのち、知人の援助から獄中で生んだ子供たちと共にカナダへと亡命、永眠する。母親は、民族間でのいがみ合いから親子の断絶、武力による襲撃と容赦のない殺戮、獄中における拷問(性的暴力)から出産という、悲劇の連鎖によって次から次へと非日常的な日常を余儀なくされていた。
ミステリー仕立てと役者の鬼気迫る演技に見る者は目が離せない。そしてあちらではそれら一つ一つが絵空事ではない身近なものだと知る。
ただ、この物語は“1+1=1”というあまりに悍ましい結論に行きつくことで逆に現実離れし、そんな衝撃的な事実に当事者の姉弟の感情面はアッサリと流され、母親の“愛憎”だけが美しく自己完結されるという、エンタメ要素の強い作品へと印象が変化することになった。
途中でオチが分かってしまい、実は”民族紛争の悲劇を扱った社会派作品というわけでもない”と気が付いてしまったので、”フェスティバル”の主旨から微妙なズレを感じてしまいやや否定的な表現になったが、単独で鑑賞していたならば個々の事実は「知るべきこと」とし、エンタメ要素はがフィクションとして評価していたものと思う。
これからも個人的に「知る」ための作品を意識的に鑑賞していくつもりだが、またこうした機会があるならば参加したいと思う。
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コメント
これが現実にありえない話ではないというのが、我々平和ボケの日本人からすれば驚きなんですよね。
ほんと、知ることは凄く大切ですね。
投稿: にゃむばなな | 2012/10/19 20:05
■にゃむばななさん、こんにちは
戦争とかの話に限らず、時に「無知は罪」ってつくづく思います。
領土問題から隣国と剣呑な雰囲気になりつつある日本。平和ボケから好戦意識が高まっても困るけれど、平和的解決も難しそうで・・・
とにかく、無縁ではないと言う自覚は国民全体が持つべきと思うこの頃です。
投稿: たいむ(管理人) | 2012/10/20 14:16
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投稿: gw2 gold | 2012/10/23 09:29
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投稿: たいむ(管理人) | 2012/10/23 13:44