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2012/03/31

「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」みた。

The_help

1960年代前半のアメリカ南部を舞台に、黒人差別の実態を赤裸々に扱った作品。
小説が原作とのことで実話ではないようだが、ほとんど実話に近い物語なのではないかと思えるもので、その時代を思うとなんとも言えない気分になってくる。
人間が誕生して以来、決して消えることなく続いている”差別”やイジメ・村八分という黒歴史。心の痛みとちょっぴりの救済で泣ける映画だった。

白人が黒人を蔑む風習はいつどこで生まれたのか?・・なんていっても始まらないのだが、1960年代のアメリカ南部ミシシッピ州では「人種隔離政策」が採られ、黒人差別は当たり前のことであり、上流階級と言われる白人の家ではパッキリと線引きした上で黒人メイドを低賃金で雇い、こき使うのが常識だったらしい。
家事全般を任せているくせに本人はバイ菌扱い。そしてトイレの共用を拒絶する。そんな黒人メイドに育てられた白人の家の子供も、やがては当然のように乳母同然の黒人メイドを足蹴にして差別するようになるという。実の親の愛情に飢えた子どもの副作用とでもいうように、子供は「そういうものだ」と親の真似をするからだろうが、まずなんら疑問も持たずに「そういうものだ」を受け入れてしまうっていうのが理解できないところで、もはや終わってる(閉じた)世界だと感じた。
そんな中、白人でありながら自分を愛しみ育ててくれた黒人メイドを養母として慕い、自分の暮らす町が如何に馬鹿げているかを知る小説家志望の女性が、黒人メイドの協力のもと所謂”暴露本”を出版、社会に一石を投じることになる。
その内容は、黒人メイドが語る「白人のむごい仕打ち」あれこれがメインであり、報復で一矢報いたエピソードも含まれた。また「白人でも良い人(ご主人様)」がいたという話もわずかながらに盛り込まれたようだ。
仮名とはいえ小説に書かれた身に覚えある白人たちは屈辱に震える。悔い改めるどころか、制裁として仕返しすることしか考えられない哀れな者たち。故に、覚悟の上とはいえ出版に関わった人々の何人かは何かしらを失う結果となった。(逆に同胞からそれ以上のモノを得ることにもなったが)。

根深い社会問題なだけに高々暴露本の1冊や2冊で世の中が一変するはずもないが、泣き寝入りを是としない姿勢を見せた第一歩には胸のすく思いがし、そうした積み重ねから、ようやく今のような世の中に至っているのだなぁとしみじみ思う映画だった。

しかし現代に至っても人種だけでなく、障害や病気などなど差別の対象となる事由はいくつでもある。せめて私も理不尽と闘う勇気だけは持ちたいものだと思うのだが。。。

好感度:★★★++

「パイ」の報復はちょっとやりすぎで笑えなかった。「クソくらえ」のハッタリで”呪”をかけて真実にするくらいでも良かったような?そうさせるだけ憎しみが積み重なった結果なのだと思うとますます哀くなるが、それが現実なのか?「汝の敵を愛する」のは難しいものだ。

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コメント

チョコパイ復讐大作戦は女性の復讐心の恐ろしさを考えればあれもありかな?と。
でも当時はそんな復讐を誰もがしたくなるほど差別が酷かったのでしょうね。
今はイジメという形で全世界に蔓延っているのが何とも悲しいことですが。

投稿: にゃむばなな | 2012/04/02 22:04

■にゃむばななさん、こんにちはsun
実行してしまうくらいの憎悪ですかねぇ、やっぱ。
というか、そもそもミニーは特に気性が荒そうでしたし、自宅でもDVでは心のササクレは想像以上なのかも。

差別とかは決してなくならないだろうし、それがイジメのもとにもなっていると思うと本当に悲しいですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/04/02 23:06

こうした積み重ねが、アメリカの今に至ってるんですね。
にしても、世界中でイジメや偏見がなくならないのは、本当に悲しいことです…。

チョコパイはミニーもやり過ぎと後悔してるようでしたけど、そんな目に合わされても気の毒と思えなかったヒリーの醜悪ぶりでした(笑)

投稿: オリーブリー | 2012/04/03 02:21

■オリーブリーさん、こんにちはsun
人種のルツボですもんね、アメリカは。西洋人が黒人を奴隷のようにして連れてきたからなのかな?
なんであれ、アメリカは歴史が浅い割に負の歴史をいっぱい持っている気がします。

>そんな目に合わされても気の毒と思えなかったヒリーの醜悪ぶり
確かに・・(^^;
同情する気にもならなかったですね。

しかし、どうしてかあーゆータイプの人間って必ずいるんですよね。悲しいことに。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/04/03 15:44

たいむさん、こんばんは☆彡
あら?思ったより評価が低かった(笑)
私は、重いテーマを、シリアスに描かなかったのが
(かといってふざけていたとか軽く描いていたわけでななく)見易くて好みでした。
笑って泣いて観ているうちに、人種差別問題を
痛感させられていたという感じかな・・・

>根深い社会問題なだけに高々暴露本の1冊や2冊で
世の中が一変するはずもないが、

そうなんですよね。そのくらいで一変するわけがないですもん。。。でも、映画ですから、いくらでも感動的に大ハッピーエンド(笑)にできたのに、そうはしなかったラストが好きでした。かと言って、後味が悪いラストでもなかったですしね(^_-)-☆

ミニーの文字通りのクソくらえ!には、ビックリでしたが、映画として観ているからかもですが、ヒリーいい気味~とか思ってしまいました(^_^;)

パイ事件は、やりすぎで笑えないって言うのは、いかにも、たいむさんらしいなあって気がします(^_-)-☆

投稿: ひろちゃん | 2012/04/04 23:46

■ひろちゃん、こんにちはsun
ラスト、良かったですよね。
嵌められて職を失ってしまうことになるけれど、まっすぐ前を見て力強く歩くエイビリンは希望を見出しているようでもあったし、ハッピーエンドとは言い難いのに清々しく思いました。

>ヒリーいい気味
そこのところはまったく同感です。
でもね、意趣返しとしては最悪な部類なわけで、ここぞとばかりにみんなで笑い者にするのが好きじゃないのね。
イジメと同じでそうしてターゲットが増えていくのと同じだなって思ってみてました。
まぁ、どうしてどうして、ヒリーはこりないつわものでしたが(^^;;;

投稿: たいむ(管理人) | 2012/04/05 20:08

たいむさん☆
なんだかお久しぶりです。
黒人を奴隷として連れてきて働かせていたアメリカ、植民地のインドから沢山のインド人を連れてきたイギリス、そして日本も朝鮮人をたくさん連れてきましたね。
今は黒人が大統領、インド人は世界的にも数学&ITで優秀、白人がぬくぬくとしている間に追い抜いていくといいですね。パイで復讐するのではなく。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2012/04/10 22:58

■ノルウェーまだ~むさん、こんにちはsun
こちらこそ、ご無沙汰しちゃってすみませんですw

黒人の身体能力の高さは、オリンピックなどスポーツ競技では一目瞭然で、理系頭脳に関してはアジアン系の快進撃が続いていますよね。
何を持って白人が優位だったのか・・・。
もはやそんなこと言わせないし、わからなくなっている時代に近づいていると思います。
稚拙なやり方でしかやり返せなかった過去の屈辱かもしれないけれど、今それを笑いのネタにしてなんになるのかなぁ~とか思ったりします。
もしかして、いまでも差別からそんなことしちゃってる人いるのかな??

投稿: たいむ(管理人) | 2012/04/11 15:41

パイの一件はともかく、差別される黒人の立場とか、これが60年代のことだと思うと、そんなに大昔でないことに驚きます。
まあ、現在のアメリカにほんとうの差別がないかどうかなんて、それは奇麗事すぎるってもんでしょうが。

ただ、白人のコミュの辛さも忘れちゃいけないと思います。あの嫌がらせやいじめは、現代社会と同じ。と言うかいつの時代にも(あの時代の黒人社会にもあったかもしれないです)あるものなのだから。。。

投稿: mariyon | 2012/04/12 20:59

■mariyonさん、こんにちはsun
本当にね、2世代前の話と書かれていたブログさんのところでも思いましたが、人間のそれなりに長い歴史において、まだほんの数十年まえの出来事だと思うと、まだまだでありつつも、頑張ったと思えることでした。

いずれにせよ、仲間はずれやいじめに関しては、人間である限り永遠の問題と思います。人間が3人以上人が集うと必ず起こり得る現象みたいなものですしね、残念なことに。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/04/13 13:37

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