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2012/02/09

『翁‐OKINA 秘帖・源氏物語 : 夢枕獏(著)』よんだ。

Okina

文庫本と単行本と電子書籍が同時発売という新しい試みがなされた新刊。ちょうど映画『源氏物語 千年の謎』の公開時期で俄かにモチベーションが高くなっていた頃であり、”光源氏”繋がりと言うだけじゃなく、『陰陽師』シリーズでも人気の高い”蘆屋道萬”が登場するとなればこれは即効買いだよ買いってね。
2つは時代背景こそ近いものがあれど、創作と創作のコラボレーション。一体どんなことになるのやらと思いきや、見事に融合するものだね。”源氏物語”の世界に道萬が乱入した風ではあるけれど、清明風の光君と蘆屋道萬が並んで歩く風景は新鮮で面白かったかも。

ベースは「夕顔」と「葵」で、身籠っている葵上にとり憑いたのが六条御息所の生霊だけではなく、様々な”神”(物の怪)が取り付いているという設定から、祓っても祓ってもしぶとく離れない”モノ”の対策に、闇でも邪道でも構わないと、光君が蘆屋道萬を招聘するという流れになっている。(もちろん惟光が探し出すんだけど)。
最初は依頼を断る道萬も、妖を見る目を持つ光君の特異体質に興味を抱いたことで”条件付き”で依頼を受けることになり、葵上に憑いた”モノ”も、意味不明な「ナゾナゾ」を出題するなど、敵も味方もなかなか厄介な奴らばかりであり、”謎解き”風に話は進んでいくところが巧くできている。
基本的に光君も常人離れしたお方でひと癖ある性格なのだが、その割に道萬に対しては従順に対応する感じで駆け引きしたりもせず、また曲者の道萬が手の打ちの見せないところに苛立つようなこともなく、のらりくらり関係を保っているのが光君の器の大きさを感じるところで、そのお陰かいつも腹黒さを感じさせる道萬が、今回はどことなく紳士的に見えてくるところが面白い。
途中までは「六条御息所の生霊」がフェイクになっているところも巧みだし、異国の神と日本の歴史の蘊蓄を絡ませつつ、結論として当たり前のようなそう来たかというオチには笑っちゃうところで、なかなか楽しませてもらえるオリジナル”源氏物語”を読ませてもらった感じ。

エログロ無しでライトノベル風にサクッと読めてしまうし、本家『源氏物語』を知らなくても楽しめる小説なんじゃないかな?

「あとがき」は獏さんのお楽しみページだが、「これまで源氏物語を読んだことがなかった」と暴露された獏さんが最終的に参考にしたのが『あさきゆめみし』というところに親近感を覚えたり。
私も教科書で習ったところ以外では、『あさきゆめみし』が『源氏物語』のバイブルだったもんね。今でも全巻持ってるしhappy02

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