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2011/11/26

「ゴーストライター」みた。

Theghostwriter

ロマン・ポランスキー監督の本格派ミステリーが地元でもやっと公開。
ユアン・マクレガーが主人公ということで、特に楽しみにしていた作品のひとつ。またピアーズ・ブロスナンほか脇役陣も豪華。政治要素が強くシリアスながらも、ヒッチコック風のスリラーや英国風ユーモアが盛り込まれており、「さすが巨匠!」といった貫禄が感じられる映画だった。

ユアンが主人公と言っても、この作品の主人公には名前が無い。観ている途中にアレ?と思ったのだが、エンドクレジットで「Ghost writer」となっているのを確認するまでは、聞き落し(見落とし)かとも思い、確信が持てなかった私だったが。
そのまんま”ゴーストライター”としたセンスは好き。”ゴーストライター”以上でも以下でもない彼ということでもあり、自ら事件に首を突っ込むといった積極的な関わり方をするわけではなく、あくまで”巻き込まれ型”の主人公で、ちょっぴりヘタレたところもあるしね。

ストーリーは割と単純。元英国首相:アダム:ラングの自叙伝執筆の最初のゴーストライターが不可解な死を遂げたことから、突然主人公が後任に抜擢されることになる。短期間での執筆を要請されたことから、主人公はラングの滞在する島に赴き、取材と執筆を余儀なくされるのだが、物々しい警備や警戒、前任者の原稿に違和感を持ち始め、更に前任者の残した資料を見つけたことで、その死に疑問を抱きはじめる。そして、遂に主人公は事の真相に行き着くのだが・・・といったもの。

前半は、不穏な空気が感じられる程度で淡々と話が進んでいくため、うっかりすると眠気をもよおしそうな感じなのだが、前任者の資料を見つけ、メモしてあった電話に出た意外な相手(名前)が誰か判った辺りから俄然面白くなってくる。そして主人公が好奇心にかられ、大胆な行動に出ることで黒幕が登場してからはスリリングな映像に目が離せなくなる。

黒幕はちゃんと黒幕だし、怪しげな言動をしていた人物もやっぱり黒幕と繋がっていたりでフェア過ぎるミステリーとは思うが、想像に任せるオチは美しく、事の真相やピアーズをラングに起用するところなどたっぷり皮肉が込められていて、後味はもわんといった感じに思う。でも、嫌なモヤモヤは残らない。
『知りすぎていた男』ならぬ、『知りすぎた、男(ゴースト)―。』というキャッチはなかなかいいんじゃない?

総評:★★★★  好き度:★★★++  オススメ度:★★★++

しかし、なんであんな挑発しちゃったのか。前任者の例からして結果は見えてるのに。

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コメント

とことんゴーストだったんですよね。
なるほどと頷ける部分でした。
個人的にはちと突っ込みどころが多くていま一つだと
思っているのですが、それにしてもこの陰鬱とした雰囲
気はそれだけで上手い演出だと思います。

投稿: KLY | 2011/11/28 00:41

■KLYさん、こんにちは
確信的に狙っているというか、リスペクトしたものだと思うのだけど、ヒッチコック風なブラックスリラー加減が私はとても気に入ってます。

ユアンがあくまでも翻弄されるだけの冴えない一般人ってところも好きでした。

投稿: たいむ(管理人) | 2011/11/28 15:12

たいむさん、こんにちは!

島の荒寥とした感じ、どんよりとした天気などが、事件が見えないながらもなにか重苦しいものがあるというのを出してました。
このあたりの演出は良かったですよね。
主人公はけっきょく真相を誰も伝えることなく消えてしまったわけで、まさにゴーストという結果になってしまったということですね。

投稿: はらやん | 2011/12/04 07:11

■はらやんさん、こんにちは
終始どよ~んとした雰囲気が良く出てて効果的でしたね。
そして本当に「ゴースト」とは良く言ったものでライターと本物のそれとかけてあるセンスが光ってて、飛び散る原稿で表現しただけのところも気に入ってますw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/12/04 13:33

遅れても公開されたら嬉しいですよね!
ユアンの美尻も拝めたでしょう~良かったです(爆)

雰囲気が好きでした♪
あと、ラストもビックリ!
チョイ役のイーライ・ウォラックが、まさか殺されたりするんだろうか?と気になっちゃって(汗)

投稿: オリーブリー | 2011/12/07 19:48

■オリーブリーさん、こんにちは
地方在住者は時折置いてきぼりをくらって、お仲間と語り合う機会を逸してしまうことも多いのだけど、映画は先を競ってみるものでも、見たから終わりというわけでもないですもんね。心情的にいち早く見たい!って作品も確かにあるんだけど。

>ユアンの美尻
ええ♪どことなく笑えるベットシーンでしたw
それにしても「フィリップ・・」以来、何をしてもユアンがかわゆく見えちゃうんですよねー
特に今回はフツーのひとだったし。

ヒッチコックを意識したような作りが私も好きです。
ダークなラストも良いですよねw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/12/08 15:46

たいむさん、お久しぶりです。
私もこの映画は予告編を見て以来ずっと楽しみで仕方なかったので、私の地元で公開になった初日に観てまいりました。
淡々と話が進んでいく(ストーリー的には)華のない流れのわりに、気がつくとぐいぐい引き込まれていくものがありましたね~。
ちなみに今回のラスト、私的にはかなり好き。あからさまに出すわけではなく、あくまでも「匂わせる」感じが観賞後の余韻が残ってよかったです
思わずブルーレイも早々と予約してしまいましたヽ(´▽`)/

投稿: 五郎太 | 2011/12/16 13:19

■五郎太さん、こんにちは
私も好きです、こういう感じ。
もともとヒッチコック好きなのも有るけれど、英国風の品とユーモアって良いです。

敢えて見せない、チラ見せの効果って絶大ですよね。
けれど、ご想像にお任せしますだけの丸投げではなく、ちゃんと誘導されていて、それで余韻からアレコレ考えちゃうところが絶妙。

結末を知りつつ、最初から見直すとスルメの如く味わえそうですよね。
リリースが楽しみですねw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/12/17 16:45

こんにちは♪
この映画面白かったです。

>しかし、なんであんな挑発しちゃったのか。前任者の例からして結果は見えてるのに

本当にそう思いました。もーーー危ないよ~君!!って思いながら見ておりました。

投稿: Nakaji | 2012/02/09 15:00

■Nakajiさん、こんにちは
ユアン好きなので、すっごく楽しめた映画でした。
けど、最後の迂闊は「えー」ってなりますよね。
見せないという余韻が良かったりもするんだけど。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/02/09 17:32

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