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2011/09/27

『おおきく振りかぶって(17)』を読んで。

Oofuri17

17巻も16巻に引き続き、『武蔵野第一対春日部市立』の試合が1/3くらいをしめていた。他校の状況把握も大切なこととは言え、ひと夏が数年に及ぶとなるとだんだん疲れてきたりも。
とはいえ、私としては来年の夏大の決勝戦は「西浦」対「武蔵野第一」になるものと予想しているし、17巻は読み進むと、試合を通して「榛名と阿部と三橋」の微妙な三角関係というか、阿部の深層心理に一歩踏み込むような展開に繋がっているように感じられ、阿部の自覚いかんでは、阿部と三橋の今後の関係改善に大きく影響してくるんじゃないかと期待しちゃったりするもので、相変わらずほとんど進展は見られないものの、じっくり読んでしまう17巻だった。(以下若干内容に触れているのでご注意を)。

結局のところ「武蔵野第一対春日部市立」は延長の末、辛くも武蔵野第一の勝利となる。榛名が投げて榛名が打って勝ち得たといった展開で”榛名のワンマンチーム”をより強調させるものとなったが、もう少し楽に勝利できたのではないか?という印象が残るものだった。”神の目線”で見ている読者だから感じることかもしれないが、どうみても榛名の持ち味が生かしきれておらず、ゆえにいらぬ得点を献上してしまったような。阿部と三橋も「武蔵野第一対春日部市立」の試合結果とスコアを確認し、それぞれに思うところがあったようだ。
この事では、ぶっ飛ばした思考回路による三橋の迂闊な発言にキレてしまう阿部となる。ケガと三橋の両方にストレスを感じている阿部にとって、理解不能な三橋の言動は疲れるばかりなのだね。「どうしてそこまで考えるんだよ。ありえねぇだろ。」って。
だけど、榛名がらみの事なだけに、三橋くんの心配も解らなくはない今回かなと思う。少しずつ変わってきているもののまだまだ自分に自信を持てていない三橋くんで、結局のところは自分を心配しているお子様な三橋くんなのだけど、それだけに「阿部くんは、本当は榛名さんが大好きで、ずっと組んでいたかったんだ」という三橋くんの直感は(というか、完全にそうだと信じ込んでいる感じだけど)あながち間違ってない感じがするしね。だからといって、(動機はどうであれ)西浦を選んで、現在進行形で三橋と組んで、西浦として必死に甲子園を目指している事までを疑っては確かに酷というもので、阿部くんに対して失礼なことだと三橋くんは知らなくちゃいけないところとは思う。
・・とはいうものの、武蔵野第一対ARC学園の準決勝を観戦する阿部が、「俺ならもっと別の配球で榛名を活かすことが出来る」と知らず知らずに苛立っており、三橋の杞憂が現実味を帯びることになるから微妙にややこしいのだけど。
今のところこのバッテリーはまだまだ自分本位なガキ同志だということで、その為に思わぬすれ違いを起こしているようなもの。互いの理解を深めるにはもっと話し合わなくちゃだろうし、もう少し時間と経験が必要ってことになるんだろうなぁ。
ちなみに、17巻の終わり間近に捕手が秋丸に交代したことで榛名が本領を発揮し始めている。それによって阿部の心中がどう変化していくのか、どんな葛藤が見られるのか、何に気が付くのかが18巻の楽しみとなった。

最後に、他校の試合がページの半数をしめてしまっていることから西浦ナインの存在感の薄さがやっぱり気になると言っておく。辛うじてピッチャー予備軍の花井&沖と阿部とで三橋についての長めの雑談があるものの、田島くんでさえ下ネタでのわずか数カットのみってどーよ。栄口くんに至っては「どこに居た?」ってくらいに記憶にない。全部まとめて”おおふり”なのは分かるのだけど、トコトン描きたい作者の熱意と愛情もわかるのだけど、前置きが長すぎるのは逆効果になり兼ねないんじゃないかな?って懸念するところでもあるのよね。

あと、内容とは関係ないけれど、マンガの会話が今の子供たちの中途半端なしゃべり言葉のまんまなっているのが気になってしまうのは年のせいかなぁ。言葉というより音そのもの。それが当たり前のような大人になっては困るんだけどなぁ。

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