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2011/08/30

文庫版『別冊 図書館戦争Ⅱ』 有川 浩 〔著〕

Betu2

文庫版「図書館戦争」シリーズもいよいよ最終巻。今回収録された短編はアニメDVDでも最終巻に収録された『ウェイティング・ハピネス』。ピシッと〆るならやはりこの方々が適任だ。
本編では、意地っぱりが祟ってタイミングを掴み損ねていたために進展出来なかった柴崎と手塚の恋の行方が中心になっているが、堂上と小牧が出会った頃の話や良化隊から鞍替えして図書隊に入隊した緒方の悲しい過去が明かされるなど、全体的にシブくも切ない話でまとまった別冊Ⅱと思う。けれど、最後はみんなシアワセを予感させるものばかり。心置きなく終えることができる最終巻だと思う。

今回も感想は以前にアップ済みなので省略。そちらを参考にしてもらいたい。また『ウェイティング・ハピネス』は、若いものを見送ってばかりで自分はすっかり取り残されてしまった最後のカップルの背中を押すようなお話だが、こちらもDVD5巻の感想を参考にして欲しい。
恒例となっていた文庫版あとがきは、「別冊Ⅱ」のものとういよりは総括といった風だった。「図書館戦争シリーズ」が、これほどまでの長編シリーズになる予定はなかったと事あるごとに言われてきたが、「戦争」が「内乱」を生み、更に「危機」につながって「革命」に辿り着き、そして別冊の展開に至ったのだと、ひとつひとつの完成が次なるモチベーションの根拠になり、現在「図書館戦争シリーズ」は大黒柱のような、指標のような位置づけになっているといったことが語られていた。

最後、文庫化の特別インタビューも全体を締めくくるようなお話だった。その中でも【図書館戦争は言葉が必殺技】というテーマでの対談から、言葉とは精神的なものを表現するために唯一有効な手段であり武器でもあるとして、言葉は人を優しくするものであると同時に刃物のごとき凶器になりうるものであること、言葉によって「表現の自由」を主張する権利があると同時に義務もあること、そんなものを「図書館戦争シリーズ」から考えてもらえたら嬉しいとされていた。
けれど、それは有川先生がシリーズに込めたメッセージと言うわけでもなく、そこで何か得られたものがあるとしたら、それは本が与えた影響なんてものではなく、全ては読み手次第なのだと言われており、そこには私も大きく頷いうなづいた。簡単に言えば、読みっぱなしにしているかそうでないかってところで違ってくるんだよ、ってこと。ただ「本の影響ではない」というのは小説家たる有川先生の謙遜であって、一冊の本との出会いが転機になったなんて話は良く聞くことで、実際に考えて変わったのはその人の努力によるものだとしても、切っ掛けを齎したものとして「時に本は影響を及ぼす」と豪語したって誰も反論なんてしないんじゃないかとは思っている。
私自身にも確かに目から鱗を落としてくれた本があった。そしてブログで映画や書籍ほかアニメのレヴューなんかも書くようになって、読みっぱなし見っぱなしだった頃とは明らかに何かが変わったと実感している。なにせ記事にするにはそれなりに読み込んだり、考えたりしなくちゃ書けないものだからね。あらすじだけをなぞったって何の意味もないわけだから。そうして深く考察して咀嚼することで、はじめて気が付くことがあったり、思考を論理的に再構築することで見えなかったものが見えてくるようになったりしはじめて、実生活では意識改革になり、触れた作品はより楽しめるようになったと感じている。小まめなブログ記事のアップは、一種の訓練になっていたようで、全般的に読解力が上がったんじゃないかな?なんて思っているのは自画自賛かもだけど。(表現力はちっとも向上しないのだけど)。

これで小説の「図書館戦争」関連は出揃ったことになる。でも、コミックス(「図書館戦争 LOVE&WAR」:弓きいろ作)はようやく半ばとといったところだし、アニメの映画化企画も進行中とのこと。まだまだ全完にはならないようで、これからもそれぞれ進展がある毎に触れていけたらと思っている。

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