「日輪の遺産」みた。
原作は未読。どんな内容なのか予告編を見てもよく分からなかったのだが、小説とはいえ、終戦を間近にした最前線ではない戦争映画ということで、また別の視点から戦争を知る機会にもなろうかと公開を楽しみにしていた。 ・・・と真面目ぶっては見たけれど、それ以前にキャストが堺雅人さんに福士誠治くんとくれば、鑑賞はもはや最初から決定していたようなものだったりして。
「マッカーサーの財宝200兆円を隠匿せよ――。」 それが真柴少佐と小泉中尉が受けた極秘任務。そして2人を補佐する曹長も、上の命令のなんたるかを知らぬまま運命を共にする。更に選ばれし20人の少女と引率する教師は、己が何の作業をしているのか知ることもなくひたすらすべきことを全うする。少女たちはすべてを知った時も自らの使命を果たさんとする。そんな少女たちの覚悟を目の当たりにした男たちは、運命を享受して生涯命令に忠実に生きる男たちとなった。
主には20人の少女の内ひとり生き残った久枝から、66年後の今初めてその時の秘密が明かされるという形で話が進むのだが、同時に米軍サイドから久枝と同じく66年間経過をずっと見守っていたマッカーサー元帥の元通訳による別角度での補足が挟まれており、ある部分ではそれが謎解きの役割を果たしていたりして、相乗効果を齎していたように思う。(日系人の元通訳も関わるともなく関わってしまった当事者の一人みたいなものだったから)。
ラスト、久枝だけではなく皆に見えていたのだと判った時、「浅田次郎の原作だったんだっけ」と思わず納得。好きだよね、こういう感じが。でも全体を振り返ってみても浅田作品だったなと更に納得。マッカーサーに「コイツらは鋼鉄の心を持っているのか?」と言わしめるだけの彼らであり、携わった誰もがそれぞれに持つ芯を貫き通すといった感じ。それで何がってこともないのだけれど彼らにとっての当たり前の言動に、自然と涙を浮かべてポロポロとこぼしていた私だった。 ドンパチの最前線だけが戦場ではない。そんな戦争映画のひとつとして見応えのある作品だった。
総評:★★★★ 好き度:★★★★ オススメ度:★★★★
| 固定リンク | 0
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「日輪の遺産」みた。 :
» 日輪の遺産 [小泉寝具 ☆ Cosmic Thing]
日本
監督:佐々部清
出演:堺雅人
中村獅童
福士誠治
ユースケ・サンタマリア
【物語】
昭和20年8月10日、帝国陸軍の真柴少佐は、 ... [続きを読む]
受信: 2011/08/28 15:28
» *日輪の遺産* [Cartouche]
終戦間近の昭和20年8月10日。帝国陸軍の真柴少佐は、阿南陸軍大臣ら軍トップに呼集され、ある重大な密命を帯びる。山下将軍が奪取した900億円(現在の貨幣価値で約200兆円)ものマッカーサーの財宝を、秘密裡に陸軍工場へ移送し隠匿せよ……。その財宝は、敗戦を悟った阿南らが祖国復興を託した軍資金であった。真柴は、小泉中尉、望月曹長と共に極秘任務を遂行。勤労動員として20名の少女たちが呼集される。御国のため、それとは知らず財宝隠しに加担するが、任務の終..... [続きを読む]
受信: 2011/08/28 21:26
» 日輪の遺産 [新・映画鑑賞★日記・・・]
2011/08/27公開 日本 134分監督:佐々部清出演:堺雅人、中村獅童、福士誠治、ユースケ・サンタマリア、八千草薫、麿赤兒、麻生久美子、塩谷瞬、北見敏之、ミッキー・カーチス、八名信夫
いつか、この国が生まれかわるために
久々に映画好きの友人と鑑賞。ユアンの『...... [続きを読む]
受信: 2011/08/28 22:49
» 映画『日輪の遺産 THE LEGACY OF THE SUN』 [闘争と逃走の道程]
『鉄道員』『地下鉄に乗って』など、数々の作品が映画化されている人気作家、浅田次郎氏の初期の傑作を映画化。『THE LEGACY OF THE SUN』という英題がめちゃ格好いい。
日輪の遺産 (講談社文庫)浅田 次郎 ...... [続きを読む]
受信: 2011/08/28 23:52
» 日輪の遺産 [勝手に映画評]
浅田次郎の同名の小説の映画化。著者本人が映画化を熱望してきたと言われており、ようやく、その願いが叶ったと言う事になります。
山下財宝なら知っていますし、有名ですが、マッカーサーの財宝って、M資金??? と言う感じになりますね。でも、マッカーサーが非常に...... [続きを読む]
受信: 2011/08/29 17:46
» 日輪の遺産 [花ごよみ]
時代は太平洋戦争が終わる寸前の夏。
マッカーサーが、
フィリッピン撤退の際に、
隠した財宝を日本が奪い、
その財宝を戦後の復興のために役立たせようと、
隠匿する命を受けた帝国陸軍将校。
そのために勤労動員された20名の少女。
浅田次郎作の同名小説が原作。
主...... [続きを読む]
受信: 2011/08/29 23:49
» 『日輪の遺産』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「日輪の遺産」□監督 佐々部 清 □脚本 青島 武 □原作 浅田次郎□キャスト 堺 雅人、中村獅童、福士誠治、ユースケ・サンタマリア、八千草 薫、森迫永依、 土屋太鳳、金児憲史、柴 俊夫、串田和美、山田明郷、野添義弘、麿 ...... [続きを読む]
受信: 2011/09/01 08:28
» 日輪の遺産 [だらだら無気力ブログ]
ベストセラー作家・浅田次郎の同名小説を「半落ち」「出口のない海」の 佐々部清監督が映画化。 敗戦を目前にして、マッカーサーから奪った200兆円相当の財宝を後の 祖国復興の資金にすべく隠匿するという極秘作戦に関わった4人の男と 20人の少女たちの運命を、端正な筆…... [続きを読む]
受信: 2011/09/01 14:52
» 命より大切なもんてないんちゃうん?〜「日輪の遺産」〜 [ペパーミントの魔術師]
昭和20年8月10日・・・ってことはもうホントに終戦間近の話。
帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)は、軍トップに呼集され、ある重大な密命を下された。
それは現在の価値で約200兆円のマッカーサーの財宝を隠すというものだった・・・。
結末のわかっている話をなんでそうな...... [続きを読む]
受信: 2011/09/02 01:49
» 『日輪の遺産』 [こねたみっくす]
この映画の製作陣に戦争で命を落とした先人を敬う気持ちはあるのでしょうか。
こんなヌルい映画で亡くなった19人の少女と野口教諭の想いを語れると思っているのでしょうか。
浅田 ... [続きを読む]
受信: 2011/09/02 21:18
» 少女たちの笑顔「日輪の遺産」 [茅kaya日記]
nbsp;続けて戦争映画…なのだが、こちらも戦争映画らしくない1本。
戦争映画らしくないと言うのはちょっと語弊があるかもしれないが鬼のような上官が兵士を叩く、空襲で血まみれになって泣き叫ぶ人々、そんな映画ではないし、なにしろ、日本人はもちろん、アメリカ人も善人しか出てこない。... [続きを読む]
受信: 2011/09/06 12:15
» 日輪の遺産 [だらだら無気力ブログ!]
ベストセラー作家・浅田次郎の同名小説を「半落ち」「出口のない海」の佐々部清監督が映画化。敗戦を目前にして、マッカーサーから奪った200兆円相当の財宝を後の祖国復興の資金にすべく隠匿するという極秘作戦に関わった4人の男と 20人の少女たちの運命を、端正な筆致...... [続きを読む]
受信: 2011/09/11 17:52
» 日輪の遺産【映画】 [as soon as]
この遺産とは
マッカーサーの隠し財産を指すのではなく
日本に息づく精神
それを指している
マッカーサーを相手に最後に投げかけた言葉
日本は敗戦から立ち上がり、
勤勉な性質と精神力で
世界を...... [続きを読む]
受信: 2011/09/12 13:56
» 日輪の遺産 [映画的・絵画的・音楽的]
『日輪の遺産』を角川シネマ新宿で見てきました。
(1)ベストセラー作家・浅田次郎氏の作品が原作でもあり、また評判もよさそうなので映画館に行ってみたのですが、客の入りはイマイチでした。
物語は、終戦直前、日本軍によって秘匿されていた財宝を占領軍の手から...... [続きを読む]
受信: 2011/09/17 06:30
» 映画「日輪の遺産」 [FREE TIME]
今月の上旬に鑑賞した映画「日輪の遺産」をレビューします。 [続きを読む]
受信: 2011/09/19 19:19
» 愛国心が導いた生と死。『日輪の遺産』 [水曜日のシネマ日記]
太平洋戦争終結間近の日本で祖国の復興を願いGHQ最高司令官マッカーサーの財宝を盗み出した帝国陸軍将校たちと20名の少女たちの物語です。 [続きを読む]
受信: 2011/09/20 22:15
コメント
こんにちは♪
たかだか12~3歳の子供に壮絶な決意をさせてしまう戦
争と言うものを改めて考えさせられるものがありました。
マツさんの「武器を置くことは決して恥ずべきでない」
の子供とは思えないセリフも響きましたね。
マッカーサーの「日本人は鋼鉄の心を持っているのか?」
のセリフがとても胸に響くと同時に少なからず自分の中
にもこの鋼鉄の心を受け継いでいることを思うととても
誇らしく思えるものがありました♪ (゚▽゚)v
投稿: 風情♪ | 2011/08/28 15:27
こんばんは♪
これも戦争映画のひとつですね。
急に観ることになってどんな話なのか知らずに観たのですが良い作品でしたね。
最後のほうグッとくる所があって泣けましたよ~
投稿: yukarin | 2011/08/28 23:14
■風情♪さん、こんにちは
そうそう、あそこでのマツさんの発言には驚かされました。
あのマツさんがというのもあるけれど、発言内容があまりに理路整然と大人びていて、12.3歳の子供のものじゃないといいますか、今の私でも、あそこまでの発言ができるかどうか(^^;
あの時代の子供たちはいろいろ強くたくましく早熟だったと思うのでヘンではないけれど、今の子供と比較するとなんだか恐ろしくもあります。
私は鋼鉄のココロはどうかなぁ~。ハハハ
勤勉さは受け継いでると思うけど(^^;
投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/29 14:36
■yukarinさん、こんにちは
小説の域を出ていないけれど、戦争の真実が盛り込まれた作品ですよねw
私は気になっていた中尉のその後のところが特にグっときましたよ。
投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/29 14:44
どもども。残暑のなか、大学卒業のための課題に日々取り組んでいて、なかなか映画まで手が(?)回りません。
「日輪の遺産」は、浅田作品の中ではさほど目立たないような気もしますが、なかなかどうして読み応えあります。
何度か読み直しまして、映画になったというので、また読み直しました。(笑) まだ観てません。観に行くぞ!
投稿: あかん隊 | 2011/08/30 23:02
■あかん隊さん、こんにちは
ちゃんと目途がたつまでは、映画どころじゃないですよね。でも気分転換にもなるでしょうから、コレって思ったものは是非後悔のないように、時間作ってくださいませ(^^)
あかん隊さんは、浅田作品は殆ど読まれてますよね?
私は今のところ読む根性がないので、映画を見てからウィキでざざっと原作の内容を確認しましたが、読み応えありそうに思いましたよ。
映画は、現代で始まって、回想になって、途中また現代にもどって、また回想に戻って、最後に現代に戻る感じのつくりです。
ただ、現代も2か所展開でなかなか忙しいですが(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/31 15:17
最後、久枝の級友たちが久枝以外にも見えるのは浅田作品ではよくあることらしいですね。
個人的にはそういうのがあまり好きではないんですよね。
あのシーンは久枝おばあちゃんにだけ見えてほしかったですよ。
投稿: にゃむばなな | 2011/09/02 21:18
■にゃむばななさん、こんにちは
そうですね、「地下鉄に乗って」もそんな感じの賛否ありましたね。
私としては「あらら、見えてたのね・・^^;)ってな感じです。でもそれだけかな。
作者の好みですし、それについての賛否はありません。
投稿: たいむ(管理人) | 2011/09/05 19:27
こういう戦争映画も有だと思うし、泣かされても嫌な気分じゃない。良かったです。
(わたしも、堺さん目当て大)
たいむさんも書いてる通り、ラストの見えているところが浅田作品ですね。
マッカーサーが財宝をそのままにしたってのは、できすぎですが、ただただ少女たちの純粋さに泣かされました。
投稿: mariyon | 2011/09/06 12:15
■mariyonさん、こんにちは
あれ?涙が出てきちゃったなぁ~、っぽい泣かされ方で、私も悔しくないです(笑)
浅田作品は映画とかドラマでしか見ていないのだけど、クセみたいなのがあるように感じます。浅田氏自身の希望が微妙なところで強く反映しているみたいな?
純真な少女たち、ほとんどが台詞らしいもなかったのが嘘のようです。
投稿: たいむ(管理人) | 2011/09/07 14:27
こんばんは。
自分も鑑賞しましたが、やはり戦争は悲劇しかうまないものである事を実感しました。
戦争により悲劇は、戦場だけでない事も伝わる作品でした。
最後のシーンの締りが悪かったのが残念でしたが(汗)
投稿: FREE TIME | 2011/09/19 19:40
■FREE TIMEさん、こんにちは
最前線だけが戦場じゃないってね。
見えるには否定的な意見が多いみたいですが、それ以前に、現代のドラマは無くてもいいくらいと私も感じました。
投稿: たいむ(管理人) | 2011/09/19 22:01