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2011/08/15

「ツリー・オブ・ライフ」みた。

Tree_of_ilfe

まるで芸術作品のような映画。
この映画は、感想としてわかったような事を書きたくないと思う作品。ただひたすら自分が感じたことをモヤモヤと考えるだけで、その考えが纏まらないから書けないとも言える。とても簡単でとても難しい。
パルムドール受賞の肩書やブラット・ピットの名前だけで慣れない人が観に行くと、ただひたすら長く、痛い目に合うかもしれない作品と思う。

冒頭からほとんど台詞がなく(あえて聞こえないようにしてあったりものする)、役者の演技と目の前の映し出された光景から状況判断を迫られる。
「何事?」とあまりの説明不足に軽くイラッとするが、母親の切れ切れのコトバと揺れる光から、「ああ、これは産道なのだね」と感じた瞬間、やっと腑に落ちた。そして宇宙の創世から生命の誕生を見せられて確信する。この映画は覚悟を決めなくちゃならないのだと。
流れを理解すれば、あとは感じたままなのだと思う。
愛と憎しみが同居する父と息子の関係、母親の存在と立ち位置、兄弟の葛藤、環境の変化etc...
抽象的に見せながら、事実は見たまま、聞いたままでストレートに伝わってくる。
多少なり、どこかしらに自分自身を重ね合わせる部分があるから、理解してしまい、痛々しさに胸が詰まる。息苦しくて救いを求めたくなる。

作品として救いはあるため重いなりにも気分は悪くないが、受け止めるにはあまりに壮大で、さすがに疲労感は残った。
敗北宣言寸前、ギリギリ踏みとどまれたとは思うが、あまり考えず、分かった気になってやり過ごしてしまうのが私には丁度良いかもしれない。

総評:★★★★   好き度:★★★++  オススメ度:★★★++

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コメント

パルムドール作品をアカデミー受賞作品と同じタイプだと思っている中高年が鑑賞終了後、口々に「私たちには難しすぎるわ」と言っていたこの映画。

パルムドール作品の見方というものを知らないと、みんなそんな感想になるんだなと思いました。

特にこういう哲学的な映画は考えるよりも感じろですからね。

投稿: にゃむばなな | 2011/08/15 13:39

夏休みのお子様映画で劇場からすっかり足が遠のいていたので、普段はこういう映画はあまり見ない相方と一緒に初日に観たんですが、予告との違いに、1人で来なかったことをちょっと後悔。。。(笑)
ただ、半分くらい寝ていた(らしい)くせに、美しい映像で癒されて良かったと言ってました。
わたしも、途中、この映画はみて感じればよいと気がついてから、とてもゆったりと観ることができました。
いつも、ちょっとはらはらして見てしまうブラッドも気にならなかったです。
でも、たいむさんのおっしゃるように、予告はあれでよかったと思うし、ほかに作りようがなかったかもです。
もう一度、観てこなきゃと思ってます。

投稿: mariyon | 2011/08/15 16:10

「きゃーー!ブラピぃぃぃぃ」って観に行くとってなるかもしれませんね(笑)
そこはそれ、カンヌのパルムドールを舐めちゃいけないってことで…。
大人になってから人生の岐路だったりを振り返ることは誰しも経験があると思うんです。その意味で、この作品は難解そうながらも、思いのほか馴染み易いようにおもいました。

投稿: KLY | 2011/08/15 20:20

■にゃむばななさん、こんにちは
パルムドール作品をアカデミー受賞作品と同じタイプだと思っていなくても、私にはちと壮大すぎるテーマで・・・(^^;
哲学チックな作品に対する心得はなくはないつもりだけどーーー

投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/16 12:53

■mariyonさん、こんにちは
馴染まない人は寝ちゃいますよね(笑)
寝ないまでも、私の周りには「なげーなー」的空気が充満していて、EDに入った途端に席を立つ人の多いこと!
みんな我慢していたのね、みたいな(笑)

>ちょっとはらはらして見てしまうブラッド
それはmariyonさんのLove視点ですねw
なんだろう、あそこまで厳格じゃないにしても、父親って少なからずあーゆー一面があるし、ブラッドも「演じた」という感じではないように見えました。だからかな?

もう一度見ますか!
私は切なくってちょっとキツイかなぁ。
割り切るほどに悟れそうにないしw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/16 13:00

■KLYさん、こんにちは
>難解そうながらも、思いのほか馴染み易い
そう思います。
記事にも書きましたが、抽象的なイメージで感覚に訴える部分はともかく、展開自体は結構具体的でわかりやすく、親の視点、子の視点、客観的視点からもアルアル感でいっぱいだったように思います。

でも、慣れていないと好き嫌いでパッキリしそうですよねw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/16 13:13

たいむさん、こんばんは♪
ご存知のように?(笑)トランスフォーマーのような
エンタメ作品が大好きな私ですので、パルムドール受賞作品なんて、どうなんだろうと、どちらかと言うと
多分、ダメかもしれないと言う感じで観に行きましたσ(^◇^;)

あまりにも壮大なお話で、哲学的?宗教的?な感じがして、作品を理解したなどとは、言えませんが、
嫌いじゃない作品でした。

ジャックの出生からのドラマ部分で、自分の子供の頃
と自分が母親になった時と言う両方の視点で観れて
懐かしさや感慨深いものがありました。
いろいろな事を考えてしまいましたしσ(^◇^;)
観た後、不思議な気持ちになりました。
確かに、疲労感も、かなりありましたけど(笑)

投稿: ひろちゃん | 2011/08/17 23:26

こんにちは。

そうそう、「127時間」みたいな細い岩場から見上げる光とか、水中の部屋のドアから浮上する子供とか、何を連想させてるかは分かるんだけど、いさいさか壮大でちょっと疲れました(笑)
昔からパルムドールは合う合わないがはっきりと分かれるんですが、ブラピにペンとお馴染みな役者さんだと安心感が先になって期待が膨み過ぎたのかも…(苦笑)

投稿: オリーブリー | 2011/08/18 16:06

■ひろちゃん、こんにちは
なんとも宗教臭いというか、監督の自己満足と言うか、想いの詰まった作品でしたねー(^^;
けれど、確かに解るんですよね。
解るからどうなるかとかどうなって欲しいとかおもって最後まで見つめてしまう感じ。

半分役者目当てだったことから、ちょっと戸惑っちゃったけれど、まぁこれはコレとして良い作品と感じております(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/19 14:22

■オリーブリーさん、こんにちは
そう!「127時間」も「おお、神よ!」ってな感じで、壮大な宇宙を感じるところがあったけれど、こちらは別の意味でもっと壮大というか・・・。

エンタメを期待していたわけじゃないけれど、私も役者による期待度が別方向に向いていたようでしたw

投稿: たいむ(管理人) | 2011/08/19 14:25

おはようございます^^

高尚すぎて、ちょっと無理だったかも・・・
映像は美しく、見とれたけれど、ショーン・ペンの気持ちがよくわからなくて・・・

子役はとても良かった♪
ジャック役の子は上手だったし、次男役の子はブラピと親子かと思うぐらいそっくりで可愛らしかったわ♪

投稿: みすず | 2011/09/08 08:13

■みすずさん、こんにちは
感じる系の作品は、そう思ってみないとキツイですね。
キャストにつられて「うー」ってなったような、終わって苦笑いしている人をたくさん見かけましたよ(^^;

次男くんは本当に良く似てましたよね(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2011/09/09 10:51

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