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2011/08/19

『殺してもいい命 - 刑事 雪平夏見』 秦建日子(著)

Korositemoiiinoti

9月に、篠原涼子主演のドラマ「アンフェア」の劇場版第2弾『アンフェア the answer』が公開される。2007年3月公開の第1弾では、事件は解決したものの、結局大黒幕ほか多くの謎を残したまま終わってしまっており、解決編を待ち望んでいたシリーズの1つだ。
『殺してもいい命』はその原作シリーズの第3弾である。けれどドラマは2/3以上がオリジナル要素で占められており、スペシャル版&劇場版は完全にオリジナルな展開になっているので、“原作”といってもほとんど無関係に等しい。
さまざまな尾ヒレが付いた分、ドラマの方がドロドロに濃くなってしまってはいるが、小説も思わぬドンデン返しが潜んだ読み応えのある内容で面白かった。映画のおさらいついでにでも、いつかの事件として試しに読んでみるもの良いように思う。

本当にだいぶかけ離れてしまっているので、小説では安藤は現在。一人の女性として雪平に好意を持ち始めていることもしっかり自覚しつつ、刑事としては雪平の相棒として板についてきた頃で、未だ彼女の言動の奥にあるものまでは読み切れないものの、察するところでは両方の意味で出過ぎるようなマネはせず、最大限のバックアップに努めるといったところだ。(小説において、安藤の扱いをドラマの結末ありきで考えて良いものか迷うところだか、基本イイ奴なのは共通なのでそうしておく)。
逆に小説では雪平の元夫:佐藤和夫があっさり殺されてしまう。しかも和夫の口には「殺人を格安で引き受けます」的な広告が詰め込まれているという奇怪な事件でもあり、この犯行予告ともつかない広告に警察は翻弄させられることになる。一応捜査はいくつかの可能性を考慮しつつも、主に雪平に対する怨恨の線で進められていくが、まったく手がかりがないまま第2第3の殺人事件は起こる。

ほかにもいくつか同時進行しているアレコレがあるのだが、個々のそれらか徐々に絡みだし、やがてピースがつながり始めたとき、残りを一気読みさせるだけの魅力を感じさせるものだった。何より、小説では登場人物それぞれの心中が描かれているので感情移入しやすくなっている。
ただ読み終えてみると、「そうきたか!」というどんでん返しもヤラレタ感より、あえて素通りされていたような違和感の理由が判明したスッキリ感に近い気がしないこともない。けれど、展開としては納得の行くものだし、悪くはない。

美央は?雪平は?と、明確にしないままフェードアウトしてしまうラストは、続編のための布石なのかどうか。ドラマは今度の劇場版が最後のように思うが、小説は息の長いシリーズになってくれたら嬉しく思う。

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コメント

秦建日子さんはこのまま走り続けるのか?

聞いたことあるドラマを数多く手がけてらっしゃるんですよね。
すごいと思いますし、作家さんとしても活躍されているので、
本当に才能の固まりなんじゃないかと思うくらいです。

アンフェアはドラマ見てましたけど、息つく暇がない、
それこそ視聴者からしてみたら、アンフェアなくらい。

なんでこんなにすごい才能持ってるんだろ、そう思ってたら
http://www.birthday-energy.co.jp
ってサイトに才能を分析した記事が載ってました。

今後、身を削って得たものはとてつもない奉仕が必要、
なんですって。
一体どんなことになるのか。アンフェアじゃ終わらないように
なってるって事ですかね。

投稿: やすゆ | 2012/01/14 21:29

■やすゆさん、こんにちはsun
はじめまして。
監督とは違ってあまり脚光を浴びない脚本家でありながらヒット作から名前が売れた方は秦建日子さん意外にも何人もいますね。
私の印象ではそうした方々は、もはやそれで商品に付加価値を付けてしまうので良いように使われることもあるだろうし、当然いい加減な仕事は出来ない。本人も完璧な仕事を目指してしまうのではないかと思います。

あとはそうした方々のモチベーションなのではないかと思います。100人中100人に絶賛される作品なんて世の中にないわけで、どう仕事と折り合いをつけるかではないでしょうか?

秦さんも、おとなの事情を逆手とるくらい頑張って欲しいものです。

投稿: たいむ(管理人) | 2012/01/15 10:48

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