文庫版『図書館革命』 有川 浩 〔著〕
本編の感想は今回も割愛。(※参考記事) とにかくここまで来ると、もどかしい2人には「早く収まるところに収まっておくれよ~」と思うばかりで、漸く弾みがつく事件が起こってくれたよと安堵する「革命」と思う。本当のところ、今度のミッションは非常に危険なもので、内容も実にシビアで複雑なのだけど、どうもこの2人が絡むとラブコメに変わってしまうのだね。よってテンポも良く、勢いで読める作品になっている。また、まだアニメ化されていない「革命」であることからも、「単行本は――」と思っていた方にも、文庫化で読みやすくなったのでは?とお薦めしたい作品と思う。
ところで、”まだ”とは書いたが、劇場版企画が進行中とのこと。「応援してね」ということは決定でもない?アニメ終了時にも声優陣は「まだ革命が残ってるし」という発言があったし、実現したらよいなと思う。
短編「プリティ・ドリンカー」の内容も、簡単ではあるが既にアップ済みなので割愛。(※『図書館戦争(2)』参照)
これは柴崎と手塚の話だし『別冊Ⅱ』に収録でも良さそうだったが、やはり〆は時系列的にも「ウェイティング・ハピネス」が妥当なようだ。まぁ『別冊Ⅱ』の伏線くらいに考えておけば、より『別冊Ⅱ』が楽しめるかな、と。
児玉さんとの対談は、「小説を書く」ことについて。
有川先生曰く、「作家にとって一番大事な作業は、膨大に調べて膨大に捨てること」だそうだ。有川作品は実際(現実)の出来事や風景が盛り込まれていることが多々あり、小説を読むと登場していた”聖地”を訪れて見たくなるような気持ちになることがよくある。(「阪急電車」しかり、「県庁おもてなし課」しかり)。けれど小説に書かれているリアルに合致する部分がすべてが事実と言うわけでもなく、フィクションとノンフィクションの融合が実に巧みだからなのだね。9割のフィクションの中に1割の本物が仕込んであるから、あとは読み手が勝手に解釈するのみ。そんな1割の選択が有川先生はとても上手い。必要な1割を選び出す審美眼というのかな。
私自身、映画や書籍等のレビューをこのブログで書いているが、レビューを簡潔に書くためにかなり苦労している。あらすじを全部書きながら感想を挿入していたら膨大な記事になってしまうからね。かといって感想だけでは観ていない(読んでいない)人にはさっぱり分からないものになってしまうし、後に自分で読み返したときに内容が思い出せないのでは意味がない。あらすじだけでも感想だけでもダメ。今、この文章を書いていても、あと何を足そうか、何を削ろうかと行きつ戻りつだったりする。
いや~、とても物書きにはなれそうもない私だ。
さて、話を戻すが、有川作品では特定のモデルを設定することはほとんどないとのことだが、稲嶺司令は児玉さんがモデルだったとのこと。そう言われてみれば雰囲気があるかも?先日も「児玉清さんを偲んで・・・」みたいな特集がTVで放送されていたが、本当に残念なことと思う。以後、「図書館戦争」シリーズを読み返すたびに稲嶺司令は児玉さんで読んでしまいそうだ。
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