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2011/03/03

「唐山大地震-想い続けた32年-」(吹替版・試写会)みた。

Touzan

試写会により日本語吹替版で鑑賞。だけど出来ればオリジナル音声と字幕で見たかったかも。
一種の偏見とは思うけれど、私は中国人の国民性とか性格とかにどうも馴染めないところがあって、それなのに流暢な日本語で会話されるとストレートに頭に入ってきて嫌悪感が先に立ってしまうんだよね。だから、中国語だったら中国と中国人の話として流せるのにってね思うのね。
中国では、オープニング成績では『アバター』や『レッドクリフ』を抜き、堂々歴代最高興収記録を樹立した映画とのことで、「催涙弾映画」と言われるほどの感動作って触れ込みだけど、私個人的にはやっぱり肌に合わなくて好きな感じではなかった。
(以下、内容に触れているのご注意を)。

時期的にどうしてもニュージーランドの地震を彷彿しながらの鑑賞となった。地震に直接関係なくとも、思いのほかたくさんの日本人が巻き込まれているというニュースを今現在知らない日本人はほとんどいないだろうしね。とにかく、TVのLIVE映像で見たばかりの古いレンガの建造物が無残にも崩壊した様相であり、崩落した瓦礫に身体の一部を挟まれて身動きがとれなくなった人を救出する為の処置など、本当にリアルにリンクするところがあり、また日本でも阪神大震災や新潟の中越地震・中越沖地震など大地震経験者が多数いることから、多くの人が共感することになるのではないかと思う。

この映画は1976年の河北省唐山地震によって夫を失い、”我が子の命の選択”という究極の選択を迫られた母親の決断から罪悪感にさいなまれ続けた32年間と、見捨てられた娘の苦悩の32年間、そして母親に選ばれた命として縛られている息子の32年間が同時進行で描かれている。
事の発端は地震で崩壊した建物の巨大な瓦礫の両端に2人の子供がそれぞれ挟まれてしまったことで、ギリギリの空間では瓦礫の片側を持ち上げて子供を引っ張る出すことしか出来ない状態になっていたことだった。つまりは片方を引き出そうとするともう片方が潰されてしまうということになる。そこで母親は「今すぐどちらかを選べ」と迫られるわけだ。母親は何度も「2人とも助けて」と訴え続けるが、それは事実上不可能なことで急がなければ2人とも失ってしまう危険もあり、母親はとうとう苦渋の選択を口にする。でも、この時点で息子も娘もわずかながらにも意識があり、娘は「息子を・・」という母親の言葉を聞き、絶望を味わうことになってしまう。
結局そのとおりに救出され、母親は虫の息の息子を背負って病院へ向い、娘は既に亡くなっていた父親の脇に(とりあえず)安置されることになる。けれど、奇跡的(本当にどうして助かったのかは説明なし。外傷らしい外傷がないものヘンだし)に息を吹き返し、家族を探してさまよっているところを善良な人に助けられ、その後子供のいない夫婦のもとに引き取られることになる。
そこでこの映画の本筋になるのだが、母親は救えなかった娘に対して一生の消えない罪悪観を背負って頑なに生き続けることになり、娘は自分を見捨てた母親に対してわだかまりを拭うことができず、生存すら連絡せずに32年間を過ごしてしまう。
私としては、娘が家族を探そうとしなかった気持ちは解らないではないところ。それでも2008年に(まさに)運命的に弟と出会ったことから、母娘が32年ぶりに再会を果たすことになる。だけど、母親は「あなたに謝らなきゃ」と言いながらちゃんと「ごめんなさい」って言わないんだよね。逆に「なんで連絡しないの」みたいな責め事をいうし。(もしかしたら翻訳がヘンなのかもしれないし、中国では膝を付くことが最大の謝罪の意だとか、親が絶対優位だとかいう風習なら納得できるけれど)。確かに何を言っても言い訳にしかならないと思えば生存だけを冷静に喜ぶような態度も理解できる気がするけど、娘としては何か言って欲しいって思っちゃうところだったなと。

登場人物で好感が持てたのは娘の養父くらいなもので、あとは母親の息子に対する態度であり息子の母親や妻に対する態度であり、まったくもって馴染めなかったので全編冷めた目線で見ることになったが、唯一最後の最後にはハッさせられた。
娘は弟の為に自分を犠牲にした母親を恨み、弟を妬む気持ちを少なからずもっていたけれど、自分の墓石を前にして「もしも逆だったら」を思い、「大切な弟を失いたくない」という気持ちは自分も同じだと初めて気が付き、そんな自分を恥じることになる。
恥ずかしながら、私も娘がわだかまりを拭えないのも仕方がない位にしか思ってなかったのだけど、確かにそのとおりなんだよね。(それで娘が母親に謝り、母親が娘に詫びない理由にはならないけれど)。
少なくとも、自分本位に考えていると見えなくなるものがあるということを、このような形で再認識できたところは良かったと思う。

今からほんの30年前の出来事からほとんどリアルタイムに現代を描いている映画だというのに、なにやら日本の戦後を見ているような感覚に陥る人々の暮らしぶり。中国という国の広さであり、格差が非常に感じられる映画でもあり、肩腕を失い大学にもいかなかった息子が突然旅行会社の社長となり裕福な暮らしをしていたり、大学中退で未婚の母となった娘が英語ペラペラになっていたりなど都合良すぎる展開も含めて、ちょっと誇大広告じゃない?って思う映画だった。(やっぱり偏見かもだけど)。

総評:★★★+  好き度:★★★  オススメ度:★★★++

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