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2011/01/17

DVD「ニュース速報は流れた(1-5)」みた。

News

フジテレビは朝の情報番組『とくダネ!』のオープニングトークに度々登場することがあり、ずっと気になっていたドラマ『ニュース速報は流れた』をやっと見た。
ドラマはCSの「フジテレビNEXT」で2009年11月から放送されていたもので、一応全10話だが事実上10話は欠番扱いで最終回が11話になっているという、曰くありげなドラマである。
前日深夜に始まり、翌日朝までに起こった約8時間の出来事がほぼリアルタイムに進行してゆくサスペンス系のドラマ。『24』ファンな私なので、面白く観られたドラマだったけれど、「でも・・・」とどうしても言葉を濁したくなるようなドラマだった。

舞台は基本的に《東都テレビ》の報道部フロアのみ。東都TVはキー局のひとつで報道部門以外で「三冠王」を取るか取らないかの人気局という設定。(モデルはまんまフジテレビではないかと想像できる台詞もチラチラ垣間見られる)。そして、報道部に泊まりスタッフとして残った小林亮平(AD)、潮崎俊太郎(編集長)、仲村鷹彦(副編集長)、 向井徹(ディレクター)、江川均(政治部記者)に、同じくアナウンス部の泊まりで報道部を訪問していた柴田レイコ、そしてパソコン不具合の修理に来ていた子会社:東都システムのエンジニア古賀昭二、更に誤報が流れた後に局内の調査部門であるコンプライアンス部から派遣された相馬大輔と内田明恵の2人が加わり、総勢9名がドラマの核となってストーリーが展開して行く。
事の発端はAD小林の携帯電話に友人から送られた、『室蘭市に核ミサイルが落ちた』というメールだった。あまりの内容にはさすがにまさかと思いつつも、念のために確認しようとしたところが、室蘭市一帯の電話が通じないという事実に直面し、俄かに浮き足立ち始める報道フロアとなる。特に前日に大失態をしでかしていた江川は、あわや他局を出し抜く大スクープだと目の色を変え、裏付けも取れないまま《ニュース速報》のスーパーを作成し始め、あとは【送信】ボタンをタッチするだけという”スタンバイ状態”を設定してしまう。
結局、冷静に立ち戻って事実確認を行ったことで”見切り発車”は回避されることになるのだが、次の瞬間、報道フロアは凍りつく。中止したはずの誤ったニュース速報がそのまま全国に流されていたのだ。つまり、密かに誰かが【送信】ボタンを押したということになる。更に悪いことにその数分後、誤報から慌てて家を飛び出したと思われる室蘭市民が自動車に刎ねられて死亡する事故が発生する。事態を重く見た局側は即刻報道部にコンプライアンス部の社員を派遣し、状況報告を要求するのだが・・・といった感じでドラマは始まる。
そこからは「一体誰が誤報と知りつつ速報を流したのか?」が焦点となり、相馬・内田による事情聴取から犯人探しとなるのだが、当然誰も名乗り出ることは無く、だんだんと警察さながらの取調べとなって行き、プライバシーの暴露から複雑に絡み合った人間模様が浮き彫りにれていくことになる。
やがて、誰もが丸裸にされてしまう泥沼のカタチで速報を流した犯人とその動機が明らかになり事件は終わりを見せるが、実はそれは布石で、そこから波及しはじめたトンデモない事態こそが本番であり、最終的には取り返しの付かないところにまで行ってしまうというオチが待っているのだった。

ざっくり纏めるとこんなところで、ミステリックで奥深い雰囲気に好奇心がそそられることと思うが、事件に関わる9名全員がどこか胡散臭く妖し気で(ワザとそう見えるようにしているのだろうけど)、モヤモヤとハッキリしないやり取りが延々と続く進行に、過度な奇行の気色悪さが手伝ったりもして、私には”気持ち悪い”といった印象のほうが強いドラマだったように思う。嘘と偽りでできた人間の醜さがまざまざと見せられ、秘密を身ぐるみ剥がされて行く光景は見ていて愉快じゃないしね。(推理という観点だけでいえば、ソレがあるから止められない、最後まで見続けてしまうのも事実だが)。

何より極め付けなのが、やはり飛ばされた10話だろう。
ネタバレにもならないのでハッキリ書くが、このドラマには結論とか決着とかにあたる部分が無い。最終的に何が起こってどうなったのかさっぱり判らない。つまりそれが10話なのだ。
全てが終わり事後報告的な11話は、ほぼ関係者の錯綜した証言(警察による取調べ?)で構成されており、しかも情報が意図的に隠されいた。
私が一番分かりやすいと思った証言は(私的に一番マシな人間と思う)向井ディレクターの発言で、それは一連の事件のことではなく、このドラマは全てが「断片」で出来ており、どんなに「断片」をつなぎ合わせても全容を解き明かすことは不可能である・・ってことに繋がっている気がする、ということによるものだ。
要するにこの作品の結末は「皆さんの想像にお任せします」であり、「答えはひとつとは限らない」ということらしい。放送当時そうした作りに賛否論争がおこり、白熱した謎解き談義も醸されていたとのこと。確かに情報を端々まで収集すればある程度まで真相に近づくように思われ、私でさえ「なぜあの人は今になってそんな証言をしているのか?」と違和感を持つ人物がいないこともない。正否はともかくとしても確固たる事実が意図的に隠されるのは後味が悪すぎだし、消化不良は誰だって嫌なものと思い、答えは有った方が良いと考える。だから頂けない気持ち悪いドラマという感想が強くなってしまう。(でも、もはや真相を求める気力のない私なので、「まぁいいや」ってところではある。結局そこまではハマれなかった作品だったってことなのだろうね、多分)。

ただ、ドラマが向井の言うように「断片」で出来ているのだとしたら、実際にこの時点のこの素材だけではどうにでも転がすことが出来、どんな説明でも後付け出来る話だと言っているのと同義であり、逆に答えがないのは道理と言える。だから一概に「アンフェア」と避難する気はまったくない。また、糸のもつれ具合とか、思わぬ結びつきとか、偶然とも必然とも言える悲劇という計算された構成は見事と思うし、推理のヒントはそこかしこに埋め込まれていて(最終回以外は)インチキでもないので、複雑怪奇なものが好きで根性のある方にはオススメのドラマと思う。

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