「蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH」みた。
秋に冲方丁氏の『マルドゥック・スクランブル(圧縮)』のアニメが劇場公開され、その絡みからバンダイチャンネルで5話までが無料配信されたのを切っ掛けにTVシリーズ『蒼穹のファフナー Dead Aggressor』を一気見することになった私。そして前日譚のTVスペシャル『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』もDVDで視聴。あまりに救いのない、あまりに切なすぎる内容に何度も打ちのめされながらも、希望を求めて見続けてしまうような作品で、劇場版で後日談が公開されると知って楽しみにていた。
一応ハッピーな形で終わっていたTVシリーズだが、残された約束がひとつ。この劇場版では、その約束が果たされるのか・・・がポイントのひとつとなっている。
「蒼穹作戦」より2年。多大な犠牲と甚大な被害の上にようやく取り戻した平和だったが、それをたったの2年でブチ壊しにしたのは皮肉なことにまたしても人間(人類軍)という、人間の器量の小ささとか愚かしさをまず痛感する話になっている。そしてそれは最後の最後まで・・・となるのだがそれはさておき、竜宮島では大人も子供も、島のコアも先の戦いでは多くを学んで成長していた。それぞれがそれぞれの「存在意義」を自覚し、在り続けることを望んだ前作。今回は更にその為の選択肢を自らが決定することが突きつけられることになる。
とはいっても、進化したフェストゥムの再襲来から”使者”によって齎させた「和平交渉」という名の「無条件降伏」をアルヴィス(竜宮島)は固く拒絶、早々にあくまでも対話で解決する道を選択しており、今回選択とその決定を突きつけられたのは、フェストゥム側の使者として”ヒト型”に生まれ、便宜上”来主操”と名乗る少年だった。
実は操を使者として島に送り込んだのは総士だった。操は人類軍の核攻撃から総士を守り、それ以来まだカタチの無い総士とずっと共に在ったことから多くの事を総士から学び、「空がきれい」だと人間に近い感覚すら芽生えさせていた。総士はそんな操に賭けたのだ。けれど、操はミールの使者といっても、あくまでも末端でしかなくミールの指示は絶対だと言う。よって棘の道から消えゆく運命を選択しようとしている竜宮島の人々をまだ理解できない操は苦しみ、必死に「無条件降伏」と唱え続けることになる。
さらに総士は「蒼穹作戦」以来ずっと一騎の深層の部分とクロッシングを保っており、使者を送ることを事前に一騎に伝えていた。一騎はそこで総士が戻ってくると期待していただけに一旦は失望を見せるものの、総士に操との対話を促され、操の望む世界をミールに伝え、戦いを止めさせるように説得を始める。
もちろんアルヴィスも無策での無謀を選択したのではなく、”日野美羽”という新たなる希望を手にしており、彼女を通して対話を試みようとしていた。そして叶えば戦いは終わると信じ、「第二次蒼穹作戦」として最後の戦いに挑んだのだった。
ちなみに補充されたファフナーパイロット達の不協和音や、進む一騎の同化現象、コアが成長期に入ったことによる島の防御システムの不安定化と人的副作用など、これまで以上の二重苦三重苦の状態に陥る竜宮島で、様々な人間ドラマも並行して進んでいくことになる。とにかく「これでもか!これでもか!」って繰り返しに切なくなり、島は最大の苦難を乗り越えられるのか、最後までハラハラすることになる。
特に完結編とうたっていない劇場版。人間がこの世にいる限り”戦い”に終わりはないと確信するところだけれど、一騎と総士、そして乙姫の物語はこれですっきり完結したと思ってよさそうだ。力の入った脚本と作画により、TVスペシャルから劇場版に変更された本作とのことで、確かに綺麗に纏めあげられた納得の行く作品だったと思う。ますます冲方作品が好きになりそうだ。
総評:★★★★ 好き度:★★★★ オススメ度:★★★++
完全にTVシリーズありきの作りのため、初心者には意味不明が多すぎると思う。けれど奥深い作品なだけに、劇場版で意味不明を味わった後、補完の為にすべてを遡り、再び劇場版に戻って納得する、というのは(この手の雰囲気が好きな人には)アリと思う。
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コメント
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいします!!
ドラマティックな展開、緻密なSF設定と、沖方丁の手腕が存分に活かされていましたね。劇場版でも脚本を担当すると知った時から本作の成功を確信していましたが、期待通りの面白さでした。
リアルタイム放送からのファンだったので、愛着のあるキャラクター達の元気な姿が観られただけで、もう満足です。多くの犠牲を払ってきた物語である分、そういう気持ちが一層強くなってましたね。さくらとけんじが幸せになってホントによかった(笑)。
投稿: えめきん | 2011/01/05 10:46
■えきめんさん、こんにちは
私はほんとにわか視聴者なのでとても批評なんてできませんが、冲方作品にはすっかりハマりそうです。
どんだけ犠牲の上に出来ているんだか~って作品ですし、人間という魔物の恐ろしさが身に沁みる作品ですけど、「それでも」と闘う島の人々に感銘を受けます。
さくらとけんじも一騎に引けを取らないくらい成長していましたね。哀しい結末にならなくてホント良かったです(^^;
諦めていた『マルドゥック・スクランブル(圧縮)』も週末から地元で公開されると知ってウキウキしているところです。
投稿: たいむ(管理人) | 2011/01/05 19:16
私はファフナーの映画を見ることができません。
映画が、公開されてない場所なので。感想を見た瞬間「いいな、見てみたいな」そんな言葉が私の頭を飛び回っています。
私も見れるよう努力したいです。
投稿: パレット | 2011/01/11 17:33
■パレットさん、こんにちは
劇場版の公開劇場はとても少ないですよね。順次拡大していくものと思いますが、おそらく私の地元も来ないかと。もともとTV放送していない地域ですし。
私はたまたま首都圏で見る事が出来ましたが、2度3度見直したい気分で、今からDVDになる日を楽しみにしています。
お互い首を長くして待つことになりそうですが、めげずに堪えましょうね(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2011/01/11 20:29
返事ありがとうございます。
私も首を長くして待っています!
本当にありがとうございます。
投稿: パレット | 2011/01/12 17:48
■パレットさん、こんにちは
わざわざレスにお礼なんていらないですよ(^^)
半年先かもしれませんが、ご覧になった際にでも感想を聞かせてください(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2011/01/12 20:34