「必死剣 鳥刺し」みた。
原作は未読だけど、シリアスな時代劇はいいやね。武家の物腰など所作一つ一つに品があって、時代劇ならではの静謐さが実に心地よい。時代劇だけに色々なところでお約束なのだけど、”正義が勝つとは限らない”理不尽が盛り込まれているだけに真剣に見入ってしまうところがある。
決して幸せとは言えない物語だが、最後の最後まで己を貫く姿勢とその結末に清々しいものが感じられる作品だった。
愚かな君主を持つことほど不幸なことはない。また、女が国を滅ぼすとは良く言ったものでこの映画もそんな世界の物語。少し違うのは、女が完全に国を傾けてしまう前に女を排除した男が居たというところ。そして君主の側室を害した男は即刻打ち首となるところを、改心した君主の温情によって減刑され、数年後には君主の傍近くに仕える役目を賜るという、美談のような展開が待ってた。しかし、見るからに改心するような君主ではなく、誰もが腑に落ちない寛大な措置には何か裏があるだろうと察するとおり、男には卑劣なワナが仕掛けられていた。
暴君だろうが君主は君主。現実的に正しいと思われるクーデターだとしても、男が守るべきは君主となる。男はそうした不条理を噛みしめながら尊敬に値する人物と剣を交える事になり、観客はその成り行きをただただ見守ることになる。そして最終的にはどっちに転んでも良い周到なワナに唖然とさせられることになる。
怒り心頭のラスト15分の殺陣シーンは男の生き様が凝縮されていて圧巻といえる。そして最後は”隠し剣”の名のとおり見事な必殺技が炸裂!
さすがに勧善懲悪の娯楽時代劇のようには行かないまでも、溜飲を下げる一撃はやっぱり時代劇だ。(予想が付くところも含めて)悲劇ながらも爽快な気分を味わせてくれる、王道作品は良いものだと改めて思う私だ。
やや掛け足感があり、上の命令に従っても背いても不幸にしかならないその他大勢の本音であり、戸惑いや葛藤等がもう少し描かれていたならば尚良かったように思うが、全体的に役者が揃っていたし、重過ぎず軽過ぎず、まずまずといったところと思う。
総評:★★★++ 好き度:★★★++ オススメ度:★★★++
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受信: 2010/07/12 23:37
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読売新聞7月9日夕刊の映画評でベタ褒めしてたので、即観たくなっちゃいました(^。^:)
公式サイト⇒http://www.torisashi.com/
【あらすじ】
舞台は東北、海坂藩。主人公の兼見三佐ェ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾で失政の元凶となっていた連子(関めぐみ)を城中で刺殺。
三佐ェ門は斬首も覚悟で凶行に及んだが、意外にも寛大な処分が下され一年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。
腑に落ちない想いを抱きつつも、藩士として分をわきまえ、己を抑えて生きる三佐... [続きを読む]
受信: 2010/07/13 10:37
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□作品オフィシャルサイト 「必死剣鳥刺し」□監督 平山秀幸 □脚本 伊藤秀裕、江良至□原作 藤沢周平(「必死剣鳥刺し」)□キャスト 豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、戸田菜穂、村上淳、関めぐみ、小日向文世、岸部一徳■鑑賞日 7月10日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 「必死剣鳥刺し」とは、究極の、さらに究極の剣。 それはたった一度しか使うことの出来ない秘剣・・・。 一連の藤沢周平作品である「隠し剣」シリーズ。 今回は... [続きを読む]
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» 必死剣鳥刺し [ダイターンクラッシュ!!]
2010年7月5日(月) 19:30~ 丸の内TOEI1 料金:0円(完成披露試写会) パンフレット:0円(売値不明。豪華なプレスかもしれない。) 『必死剣鳥刺し』公式サイト 初めて試写会に行きましたよ。しかも舞台挨拶付き。家に招待状が来ていて、どこで当たったんだろうと思ったが、どうやら「必死剣耳掻き」を調べた時に、公式サイトから申し込んだのが当たったようだ。残念ながら「必死剣耳掻き」は、貰えなかった。 登壇したのは、主役の豊川悦司、ヒロインの池脇千鶴、いい役の吉川晃司、殿役の村上淳、殿の側室... [続きを読む]
受信: 2010/07/15 03:25
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宮崎駿監督は、時代劇をやってみたいと云いつつ、悩んでいた。
「こればかりは難しい。どうしていいかわからないんですよね、ほんとのと... [続きを読む]
受信: 2010/07/16 00:55
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(1)冒頭、いきなり海坂藩の藩主の愛妾「連子」が、主人公の兼見三左エ門(豊川悦司)によって殺害されるというショッキングなシーンが映し出されると、もうこの映画の世界から逃れられなくなってしまいます。
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» 必死剣 鳥刺し [to Heart]
死ぬことさえ、許されない。
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製作年度 2010年
上映時間 114分
原作 藤沢周平『必死剣 鳥刺し』(文春文庫刊『隠し剣 孤影抄』所収)
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鶴岡まちなかキネマで鑑賞。前売り券はずいぶん前に購入済み。なにしろ羽黒支所の人 [続きを読む]
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コメント
トヨエツは相変わらず上手いですね。でもそれ以上に吉川さんがあんなにハマルとは思いもよらず。ラストの殺陣の良さは吉川さんの力が大きいと思いました。
そもそもこういっちゃなんですが、岸部さん普通に悪人だし。「お主もワルよのぉ、ふぉふぉふぉ!」って感じじゃありません?(笑)
「必死剣鳥刺し」の技自体は見ていれば解るのですが、その秘密を知りたかったところです。
投稿: KLY | 2010/07/13 00:29
■KLYさん、こんにちは
「椿三十郎」はあっという間にヤラレちゃったけど、今回のはこれぞ剣豪!って見せ場でしたね。
吉川くんは大河で織田信長をやっただけあるなってところで、ますます磨きがかかってますよね。
>岸部さん普通に悪人だし
あははははは。時代劇は配役で分かっちゃうところがありますね。でも時代劇は羊の皮をかぶったバレバレな狼が雰囲気を出すんですよねw
「必死剣鳥刺し」は何のために考えたのでしょうね?私もかなり唐突で強引な運びだったようには感じました。
投稿: たいむ(管理人) | 2010/07/13 21:08
おじゃまします、シェリル長沢といいます。
この作品、割に好評なようなので見に行きましたが、
残念、どーっちゅことなかったです。わたしには。
俳優のたたずまい、というか、キャストのかもし出す空気に厚み・重みがなく、時代劇のセリフのわりに普通っぽい表現が何度かありました。
時々、映画を見てて「くーー」と唸らされるいい脇役がいますが、本作ではそういうことはありませんでした。
ま、「宮仕えはつらいやね」ってことで。
で、当然、女は男のための生き物、ってことで。
トヨエツ、吉川のデカい二人が室内で真剣に斬りあうもんですかね? 昔の日本家屋では想定されてない身長ですよ。
謹慎明け後、風呂場で主人公が姪っ子から想いを打ち明けられてからの流れ、笑いませんでした?
「これだけそばにいて世話してくれてて、わからんかえ?」、そして、じっとしていないのはさすがトヨエツ!
気になるのはムラジュン、ここ数年しぼんでますよね。
何か、重い病気したんでしょうか。
そういう情報はうといもんで。
「死神の精度」のときも貧相でビックリ。
投稿: シェリル長沢 | 2010/07/24 12:11
■シェリル長沢さん、こんにちは
はじめまして。
そうですね、好評のようですが私も絶賛するほどのことはなかったです。おっしゃるとおり、唸らせてくれる脇役もいなかったですしね。
ちょんまげひとつとっても、実際とは大きくことなると思います。大ガラな御二方が室内で斬り合いは確かに屋敷の構造上無理があったかもしれませんが、映画ですしね。大目に見ませんか?(^^)
骨太時代劇は見応えがあるので好きですが、大河のようにはなかなかいかないものですね。
投稿: たいむ(管理人) | 2010/07/24 17:27