「いばらの王-King of Thorn-」みた。
物語は、感染して発症すると身体が石化して必ず死に至ってしまう奇病(通称:メデューサ)が世界中に蔓延し始めたことから、選ばれた人間は治療法が見つかるまでコールドスリープでやり過ごすというプロジェクトが発動される。けれど、目覚めて見れば治療法どころかいばらの檻で閉じ込められた空間と、見たこともない怪物が横行する別世界になっていた。突然変異と思われる怪物がここまで進化するのに自分たちは一体どのくらい眠っていたのか?病気は?世界はどうなってしまった?自分を見送ってくれた家族は?・・・といった感じで、どっかで見たことがあるような、いろいろな作品を組み合わせたような近未来のお話となっている。そして数百人の人間がコールドスリープ施設に収容されたが最初の怪物の攻撃でほぼ全滅。生き残った老若男女それぞれにトラウマを持った7名が喧嘩をしたり助け合ったりしながら話が進められることになるのも定番だ。
主人公のカスミはただの女子高生。両親をメデューサで亡くして家族は双子の姉のシズクのみ。コールドスリープ適合者の選抜がどういう方法だったのかなどの説明はない。生き残った7名も統一性はなく、カスミのほかは犯罪者・警察官・政府の要人・研究所員・大人の女性・男の子だ。限られた人数しかコールドスリープ出来ないとなれば”金で権利を買う”というパターンが一般的と思うが、そうしたメンバーは一人だけで、金でもコネでもない人物が多数選抜されているところが妙に不自然に感じるところ。結局、思ったとおりで7名は残るべくして残ったという伏線になっていたけれど、伏線になるだけの理由・必要性における個々の過去が申し訳程度にしか描かれていないため、感情移入に至らないように思えて勿体なく感じた。
前半はミステリー要素に満ちていて、閉鎖された空間の中でも少しずつヒントを掴み、事実が明かされていく展開がなかなか面白く、次第に引き込まれていった。けれど中盤に入り謎だらけのまま八方塞がりに陥ったとたん、突然全てを知る人物が自ら乱入。事の発端から現在に至る経緯、そして現状といった”謎”の部分をベラベラと一気に語ってしまうのはいかがなものだろう?内容が複雑なだけにポイントを把握していないと終盤の展開についていけないから、率先して全てを語らせ周知を図ろうとする意図は(後になって)分かるものの、折角の”まさかな事態”も「そういうものだ」と押しつけられるだけになり、とっておきの”驚愕の事実”も、説明のし過ぎであまり”驚愕”じゃなくなっちゃった感じ。それでいて、説明し過ぎな割には全部を理解するには不十分で、最後もなんら問題が解決されていないように思われ、消化不良な感が否めない。
全体として悪くはなかったけれど、2時間に収めるには足りないような、でなければ配分がまずいのでは?かなと。
総評:★★★++ 好き度:★★★+ オススメ度:★★★+
基本、引っ込み思案系のウジウジ女の子キャラが非常に苦手な私。しかも花澤ボイスがイライラに拍車をかけてくれるので、最後までカスミに好感が持てなかったところで辛め評価になっていたりもする?
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コメント
こんにちは
やっぱりヒロインはきりっと敵に立ち向かい系のキャラが
好きだなぁ~っと思いました(笑)
でも、結構いじいじ系の主役の成長物語系って多いですよね。
つきつめればガンダムだってエヴァだってそんな感じ
あ、でも男の子なら許容範囲かなっと、ふと思ってしまいました。
投稿: にゃんこ | 2010/06/11 09:45
■にゃんこさん、こんにちは
ですよね。ヒロインは強い女の子が似合うって私も思うのだけど、「成長物語系」が多いとどうしてもスタートを低く設定する方が効果的なのかしらね?
>あ、でも男の子なら許容範囲かなっと
あ、それはあるかも。
男の子って実際にそういうところあるもんね。
投稿: たいむ(管理人) | 2010/06/11 23:34