『おおきく振りかぶって(15)』を読んで。
DVD『おおきく振りかぶって ~夏の大会編~』第1巻の発売に合わせて、原作15巻とオリジナルサウンドトラックが本日発売。DVDは一足先に昨日到着していたのだけど、色んなところに時間を割いているため見る暇がない~ (アニメ『夏の大会編』は毎週見ているし、原作も読み終わっているから後回しで十分なのだけど) 。
原作15巻はアニメ終了直後にあたる西浦高校の再スタート(その後)が描かれている。14巻から2ヶ月での新刊発売はこれまでにない早さ。25日に最終回を迎えるアニメから「続きが知りたい人は原作で♪」ってことで発売を急いたものと思うけれど、あからさまな大人の事情がバレバレだよね (以下、ネタバレしているのでご注意を。しかも長文)。
結果的に言えば、美丞大狭山に惨敗した西浦高校。それでも新設の1年チームがベスト16まで残ったことは快挙であり、記者のインタヴューを受ける花井と田島だ。すでにモモカンの喝が入っていたこともあり、まったく凹んだ様子を見せずに受け答えする2人だったが、それはすっかり気持ちを切り替えたからというよりも、真実ベコベコに凹んでいない自分だと自覚していた2人だったから。
「(全体的に)必死さが足りなかった」と言う田島。その言葉に花井も自分が落ち込んでいない理由は「必死じゃなかった」からと認める。
・・「まだ1年」。そして全員が1年であることから、みんなどこかでそんな風に思っていたのだろうなぁ。「ダメでもともと」「チャンスはあと2回ある」なんて思いがきっとあったはず。先輩がいない、レギュラー争いが無いというのは、選手にとっては実はマイナス要素でしかない。入学からほんの3ヶ月。チーム作りでいっぱいいっぱいだった西浦だから、夏大に間に合わせるために”がむしゃら”ではあったけれど、何が何でもという”必死さ”はまでは芽生えないのだね。モモカンとしても、ようやく花井に”ライバル意識”を持たせるために動き始めたばかりだし、これから変わっていくと思うのだけど。
自分達に足りなかったものをしっかり自覚した田島と花井は、なんとなく”めざせ甲子園”だったものから、全員一致の確固たる”目標”を定めることを提案する。今、この瞬間の考えを全員に紙に書かせることにした花井。みんなの答えは、さすがに野球部員に”甲子園出場”を夢見ない者など1人もおらず、そこまでの答えは全員が一致していた。けれどその上をゆく答え”全国制覇”を書いた者が2名いた。田島と三橋。この2人の桁違いな目標に恐れおののく他の部員たち。意見交換の後とりあえず結論は翌日に持ち越し、各自で熟考し直すことになったが、結局のところ全員一致で”甲子園優勝”を目標にすることを決める西浦ナインとなった。
・・「”甲子園優勝”が西浦高校野球部の目標として成立するのか」というところがこの話の焦点。夏大の組み合わせ抽選会の時点では”大きすぎる目標(は目標にならない)”だったものが、それなりの結果を得たことからも、誰もが可能性を視野に入れることが出来るまでに成長したってことなんだろうね。モモカンもなんであれ目標に合わせた指導をすると言い切り、早速全員の意識改革を促す指導を開始した。とはいえ、甲子園は出場するのだって至難の業。その上優勝となると・・・。先は長いね。
あと2年といった期限付きではあるけれど、3ヶ月に何年もかかっている野球漫画だし、読者としても長期戦を覚悟しなくちゃならないようだ。
阿部の怪我は致命傷ではないため、2-3週間でそれなりに回復はするようだ。しかし完治までには最低でも2-3ヶ月を要するとの診断が下った。当然2週間後の新人戦には間に合わないし、2か月後の秋大会でギリギリ。けれどチームがギリギリなことも確か。よってここでも「何を重視するのか」が焦点となるわけだが、チームの目標が定まったこともあり、今は無理をする時ではないと判断、”完治”を優先させることにしたようだ。
・・今回、やっと阿部と三橋の2人きりでこれまでのことを話し合う機会が持てたおかげから、より前向きな意識を持つようになっていく三橋君だ。阿部君に向かって「オレを頼ってくれ!」だもんね それでもやっぱり阿部君の不在はまだまだ三橋君には不安要素には違いなく。でもそこは田島君の気転で乗り切れそうな感じだ。「(阿部の為にも)新人戦で全勝して、秋大会のシード権を獲得する」という提案は今の目標としてはチームにとっても最適と思う。秋大のここぞって時での阿部君の復活が見られると良いね。その準備段階ではないだろうが、実戦でも練習でもしばらくお休みが続く阿部と三橋のバッテリーに対してモモカンには何か考えがあるようで、次巻の合宿中に2人の関係がより改善されていくと嬉しいな。
ちなみに阿部の怪我は本当に事故であり、美丞大狭山の(過去の)ラフプレイ(スタンドからサインを出す仲沢呂佳の反則)は結局明るみに出ないまま終わりそうだけど、この手の話は明るみに出ても後味が悪いばかりだし、岳史の決心で本当に終わってくれたらいいなって思う。
西浦の夏は終わったけれど、武蔵野第一は順調に勝ち進んでいる模様。一応榛名にももう一年あるが・・・、夏大の決着も楽しみだ。
15巻を一言でいうなら仕切り直しの巻。ひとつ終わり、ズレていたものにようやく修復の兆しが見え、それぞれに決意を固めて未来をイメージする、まさしく転機。まだまだ話を咀嚼するのも話をするのも不得手で、他人の顔色を伺ってしまうところも直っていない三橋君だけど、実は内に秘めている想いは田島君に匹敵するほどで、本来は自信家だったりするのが三橋君。無くしてしまった自信を少しずつ取り戻しはじめたことで、象徴するように笑顔が戻ってきている三橋君。とても良い傾向♪
なにやら雑誌の連載を休載していたようでもあり、16巻はさすがに直ぐってことはないだろうけれど、定期的に発刊されてくれれば十分満足なので、ひぐち先生には最後の最後まで西浦ナインを描いていって欲しいと思う。
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コメント
ごぶさたです!
こちらではアニメ放送が終了し、寂しいかぎりです。
とてもよい最終回でしたよ!
連載は2回くらい休載されましたが、そんなこと関係ないくらい、基本遅れてますからね(笑)
三橋たちが三年になるころ、私が何歳になるか楽しみですね(苦笑)
投稿: きりん | 2010/06/28 14:48
■きりんさん、こんにちは
こちらは先週阿部君が怪我しました(TT)
1クールってあっけないですね~
さすがに次はないと思うけれど、甲子園出場(優勝?)をアニメで見たいものですねー。
とはいえ、ほんと漫画は本当にいつまで続くか分からないくらいだし、気長にお付き合いしていこうと思ってます。
それはそうと、これできりんさんとの縁が切れないことを切に祈ります!
投稿: たいむ(管理人) | 2010/06/28 19:44
はじめまして。
海外に住んでいるのでなかなか単行本にも手がでないのですが、いつも適切な内容レビューのお世話になっています
一区切りついて、新しい出発とのこと。
これからも楽しみにしたいと思います♪
投稿: りん | 2010/07/01 10:17
■りんさん、こんにちは
はじめまして
海外からのアクセスとは!
ありがとうございます♪
時差はあれど、地球はみんな繋がっているって実感が持てますね(^^)
レヴューもお褒め?いただき恐縮です。
ネタばれ記事は賛否があるのですが、純粋にお役に立てているのだとしたら嬉しいです。
そうそう、西浦ナインは再出発ですよ♪
三橋君の成長ももちろんですが、初心者の西広君あたりが本当にどこまで化けるか楽しみだったりします。花井君もはやく田島君に追いついて欲しいし、泉君なんかもライバル意識で燃えてます。
とにかくみんなのポジティブ思考には頭が下がり、自分にフィードバックさせたい感じ。
漫画などの感想記事は発売に合わせた不定期ですが、続けて行ける限りは続けようと思っていますので、今後とも気長によろしくお願いしますね
投稿: たいむ(管理人) | 2010/07/01 18:47