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2010/05/22

「パーマネント野ばら」みた。

004

西原理恵子原作と言うよりは、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など細田守アニメで脚本を担当した奥寺佐渡子さんの脚本だというところに期待して鑑賞。(というか、西原理恵子原作だと知らずに鑑賞していた)。
海と、山と、狭い世間と、そこだけ時間の流れが違うんじゃないかと思うような田舎の空間。
爽快感はないけれど、優しさが心に染みる物語、かな?

実は、貧乏とろくでなしの男と健気な女が織り成す西原理恵子作品はあまり好みではない。だから、ストーリーが見えてきたときには、「これってもしや?」となった私だった。(予告も何度も観たしチラシも持っていたのに、なぜ気がつかなかったか、ってところなんだけど)。
この作品も懸命生きている女たちがたくさん登場し、誰もかれもがどこか痛々しく感じられる。みんな前向きに生きているように見えるのに何でだろう? 不幸とまでは言わないまでも、どこか小さな幸せに必死になってしがみ付くような印象を受けてしまう。(といったら失礼かもしれないけれど)。

この映画は、主演こそ菅野美穂さんになっているけれど、母親役の夏木マリさん、同級生役の小池栄子さん・池脇千鶴さん、そして美容院の常連客も含めてすべての女たちが同列で主演しているような感じで、それぞれに「恋している」=「生きている」というドラマが描かれていたように思う。でもそのどれにも共感できない私ではやっぱりダメなようだ。
それでも互いを思いやる心はとても「優しいな」って思う。最後の最後、「海でデート」というキーワードに全員が一瞬固まったシーンにはぐっと来るものがあった。また、ずっと持っていた奇妙な違和感の理由が分かったのが、なおこがともちゃんに秘密を打ち明けるところだったので、制作側の思惑にはすっかりハマっていたことになりそうで、そういう部分では巧かったと思っている。(驚愕の事実とまでは思わないけど)。

総評:★★★++    好き度:★★★+   オススメ度:★★★+

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コメント

私は逆に細田さん脚本だって全く知らないで観てました。西原ファンなもんで。(笑)
たいむさんの言うとおり、全てを解ってなおこを見守る女性たち全員がいいんです。あのシーン、じーんときましたもん。はにかむ菅野美穂さんがたまらなく魅力的でした^^

投稿: KLY | 2010/05/22 21:43

■KLYさん、こんにちは
KLYさんは西原さんファンですか。
私はあまり得意じゃないなぁ。なんであんなに貧乏とか男運がない話ばかりなんだろう?って思いますし。
残念ながら、ダメ男に殴られながら「それでも愛してる」って気持ちに、少なくとも私はなれませんし、そういう友達に同情もできないので。

>全てを解ってなおこを見守る女性たち全員がいいんです
優しさは分かるしいいなって思うけれど、でも、あれって忘れなければ生きているってことで、現実逃避の容認なんじゃないかな?って思うんですよね。
そこのところはちょっと違うんじゃないかな?って思ったりもしています。
女性と男性の視点の違いかしらね?

投稿: たいむ(管理人) | 2010/05/22 22:14

何時もお世話になっております。

ドラマではよく菅野作品を視聴しているので映画ではさくらん以来の出演、主演はドールズ以来なのでもっと映画に出てほしい人なんですけれどね。
最後のあのシーンがあるのならどうしてチェーンソーで電柱切る演出がいるのかな・・・という感じです。
変わり者ばかりが登場するにしてもみっちゃんのあの嫉妬心から来るあの行為は100歩譲ってまだ理解できるし、カズオが別の女の元へ行ってしまったのは理解可能としても、どう考えればチェーンソーで金稼ぎなんていう発想が出るのか・・・これだけがサッパリ・・・
共感する必要はないとは思いますけれど、物事理解という点で考えると男運の悪さは女運の悪さと対比するのでまだしも、チェーンソーで電柱切りだけが理解不能だったんですよね・・・これをどう解釈して良いのか原作者の説明が必要という感じでした。

投稿: PGM21 | 2010/05/22 23:48

■PGM21さん、こんにちは
チェンソーはもしかしたらどっかの実話では?
西原作品はそんなのが時々当たり前みたいに出てきちゃうので、深く考えないのが良いかと。
私はほとんど理解も共感も、必要どころか最初から出来ないクチなのでわかりませんし、考えようともしてませんが。

投稿: たいむ(管理人) | 2010/05/22 23:59

私も見てきました。
ブログ書けてないけど(苦笑)

「海でデート」に固まったのは、みんな気にかけてるんだ、なんて。あの放送禁止用語を連呼するおばちゃんたちすら「ええ人たちやん」って思いました。

ただ確かに、生きる=恋する になってるのはちょっと違う気がしますね。個人的には「恋愛だけが人生の喜びじゃないよ〜」なんて、少なくともアリスよりは考えさせられました(毒ww)

投稿: GAKU | 2010/05/25 00:11

■GAKUさん、こんにちは
>「ええ人たちやん」
この映画、ここですよね。
というか、これがなければ「何?」になりかねない感じ?
私もね、「恋してなきゃ」って思ってないし、喜びも幸せもソコカシコに溢れてるって思いますよ。

そういうトコがちょっと相性悪いかなって思います。

投稿: たいむ(管理人) | 2010/05/26 19:49

どんな恋でもないよりはまし。
・・・それにつきる映画だったような気がします。
そこに住んでいるひとには大変失礼なコメントですが
なあんにもオモロイものも楽しいこともない町で
それでもそこに住む理由があるとすれば
誰かそういう人がおるから。
あるいは、そういう誰かがおってくれたら
どんな辛い事も乗り越えられると。
・・・もっともココに出てくるのは
その恋そのものに散々なめにあう女ばっかなんですけどね。
オトコもオトコならオンナもオンナで
恋することをやめない懲りない面々というか・・・。


ホント、あの
「海でデート」に固まるシーンがなかったら
なんやねん、コレになりかねない話で
それひとことで感動もんへひっくり返す
すごい作品でした・・・。

投稿: Ageha | 2010/06/02 01:44

■Agehaさん、こんにちは
>恋することをやめない懲りない面々というか・・・。
「恋してる」って楽しいし素敵な事だと分かるけど、ここの人たちって「幸せ」っていうよりはなんか痛々しく見えるのはなんででしょうね?
私はダメですねー。彼女たちには付いていけないみたいです。

>「海でデート」に固まるシーンがなかったら
まさしく!
正直、痛々しさが苦痛でもあったので、最後に救われた感じでした。(「シャッターアイランド」と一緒だわw)

投稿: たいむ(管理人) | 2010/06/02 20:10

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