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2010/04/12

『3月のライオン(4)』 羽海野 チカ (作)

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誰かに頼っても良いのだとようやく気がついた零。ひたすら独りで闘っていた零も、島田八段の研究会に参加することになり、将棋も将棋以外のこともいろいろと学び始める零だ。
今回は川本3姉妹の出番は少なめ。島田八段の挑む獅子王戦や研究会の話が大半を占めているので、将棋に疎い私にはちょっとハードルの高い4巻だった。正直言って将棋の対局はちんぷんかんぷん。それでも、伝わってくる空気感が良いんだよね、この作品は。
以下、今回は正真正銘読んで思った感想のみ。読んでいない人には意味不明だろうし、読んだ人でも解釈の違いはあるものとしてご注意頂きたい。

田舎では神童と呼ばれ、その気になって出るところに出ると上には上がいることを知って愕然とする、というのはよくある話。それでダメになってしまうか、努力に努力を重ね歯を食いしばってしがみ付くかは本人次第。
島田八段も山形県出身のそうした類の人間。”将棋の駒まち 天童市”を持つ山形県。”故郷の星”として”名人”誕生を心待ちにしている故郷の期待を一身に背負っている。今度の獅子王戦は精進の末ようやく巡ってきたチャンス。なんとか一矢を報いて故郷での第六局に漕ぎつけようと日々奮闘している島田八段なのだが、周囲を気遣う性格からも、様々な要因から胃を壊してしまうのも道理というもの。相手が天才と呼ばれる宗谷名人なだけに何をどれだけやっても納得などできようはずがないのだが、零に宗谷名人との感覚的な共通項を見た島田は、体調不良をおしてまで時間の許す限り零との研究に明け暮れることになる。
相変わらず「変われない」自分に鬱々している零。それでも格上の島田との一対一での研究は零にとってはこれ以上もない勉強の機会。島田の体調を気遣いながらも島田の望み通り相手をし続ける。そして将棋を通して島田の執念を全身で感じることになった零は、終わりのない世界の壮絶さを知る。
零は逃げでプロの棋士になったようなもので、プロになるという目標を達成した零はこれまで次なる目標に対する執念や気迫の薄いところがあって、それは正面から将棋と向き合っている人間にはバレバレだったようだ。真っ向から零の態度が気に食わないと言い放った藤本棋竜の過激な発言も零にはグサっとくるものがあったはず。

何も考えていなかった自分自身の未熟さは零自身も自覚しているところだろうが、川本姉妹との交流から人として大切なことを学び、将棋と正面から向き合う面々と交流を深めることで、一皮むけるか、桐山零!という段階にきているように思った。
次巻では、また川本家がたくさん出てきて欲しいと思うが、なんであれ続きが楽しみな「3月ライオン」。5巻が待ち遠しい。

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