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2010/01/07

『笑う警官』 佐々木譲(著)

Warau 2009年11月に映画が公開。原作読者からは「随分違う」といった感想が多く、気になったので読んでみた。映画鑑賞後、割と直ぐに取りかかったのだけど、途中で他の本に浮気すること数冊。映画で観た作品の原作って(内容がわかっているから)どうしてもダラダラ読んでしまう傾向がある私で、なんだか随分と時間がかかってしまったなーcoldsweats01
映画は映画で私は結構楽しめたけど、本当に「全然ちがうじゃん!」というくらい違っていて「なんだかなぁ~」という印象。(どちらかというと映画の方に)。

組織的な非合法行為であり、不祥事を秘密裡に処理し続けてきた北海道警の闇。表沙汰になるとしたらほとんどが内部告発によるものというから恐ろしい話だ。現実に北海道警では幹部警察官が覚醒剤使用で逮捕され、更に裏金問題などで世間を賑わした過去がある。

この小説は、そうした組織の闇が白日のもとに曝されることを恐れた道警幹部による隠蔽工作と、そんな圧力には屈しず警察官としての使命を全うしようとする数名の警察官との攻防戦が描かれている。
”百条委員会(地方議会が地方公共団体事務の調査権を行使するため設ける委員会)”の開催と、”婦人警官殺し”を切っ掛けに事件は動き出す。どちらも由々しき問題とする道警幹部は保身と既得権益維持のために、”百条委員会”に招致された警察官(津久井巡査部長)に”殺人”の濡れ衣を着せた上で闇に葬るシナリオを作る。何も知らず踊らされる、あるいは自ら踊る大半の警察官たち。それでも「射殺命令」というあまりに性急で不自然な対応に疑問を持つ者もチラホラと現れ、数人の警察官が集まって独自の裏捜査を開始することになる。そして彼らは事件の真相と裏事情を暴きだし、津久井を無事に”委員会”へと送り届けるところまでが描かれるのだが、結論はあるような無いようなという終わり方になっていた。

映画も大筋は一緒だったけれど、観客の裏を掻くことで面白さを演出したかったのか、とにかくフェイクを多発(乱発?)。挙句、何が本当でどこからが真実なのかすらハッキリ判らず、執りとめがなくなってしまった印象だ。「何?あのスナイパーは」だし。(とにかく小説を読んで「そんなのないじゃん(居ないじゃん)」ばかりなのに驚いた次第)。
対して小説は単純明快ストレートで現実らしかった(小説はフィクションだが)。「警察官VS警察官」のやり難さ、それ以前に”警察官”としての使命とか正義とかモラルとか意識とかで揺れる部分が分かりやすく、特に警察官にとって「うたう」とはどういう意味を持つのかが興味深く感じられた。「正論」は確かに正しいけれど、必ずしも「正解」とは限らないし、優しくない場合も多く、何より貫くには相当の覚悟とか代償とかが必要で、善悪の狭間に頭がグチャグチャになるのも解る気がする。そこをパッキリ割り切っていたのが佐伯警部補なのかな?そもそも闇を浄化出来るとまでは思っていないところがなんか良かったな。

もともと難解な小説ではないこともあり、映画を補完するほどの追加情報はほとんどない。差異はわかるもののほぼ映画の後追いしているだけだったことが途中で脱線しまくった理由かもしれない。リアルとリンクするタイプの小説だから興味深くはあるけれど、最初でのめり込めなかっただけにあとのシリーズはどうしようかな~という感じかも。

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コメント

お読みになりましたか。佐々木氏の作品、確かにリアル感はあるかも。映画は、角川氏の良いようにアレンジされてしまっていて、残念なことになっていたと思っています。佐々木氏の作品は、いくつか読みましたが、少し冗長に感じられることもありますが、ぱっぱか読み飛ばしてしまいました。「警官の血」は、さすがにしんどかった。。。映画監督にしてもそうですが、作家のクセっていうの、あると思いませんか? (汗)

投稿: あかん隊 | 2010/01/09 13:05

■あかん隊さん、こんにちはsun
恥ずかしながらやっと読み終わりました。
サクサク読める感じではあったのだけど、相変わらず寝る前の10分を繰り返していたので、またしても1ヶ月かかっちゃいましたー(^^;;;

ほんと、物凄いアレンジでしたね。演出含め、皆さんの低評価を納得しました。

>作家のクセ
ありますねー。
私は作品より作風に惹かれての小説家ありきから本を選んでばかりです。だから一向に視野が広がらなくってね(^^;

今月は、獏さんの「陰陽師」新作と、京極さんの新刊が発売です♪
楽しみ楽しみ。

投稿: たいむ(管理人) | 2010/01/09 13:37

ほお! 京極さんの新作?
京極さんのって、ものすごく分厚い文庫本でも、楽しく読めてしまいます。(笑)
獏さんのは、文字数が少なくて、ページの白い部分がとても多いから、印刷インクが少なくて済みそうで。(爆) でも、新刊で購入するのは、ちょっと待つようになりました。案外、文庫になるの、早いみたいな気がする。>ご両人

ところで、かれこれ15年近くになるnifty やめようと思っていたのですが、すごく安いコースがあったのでそちらに変更して、ブログはそのまま続行することにしました。今年は、なるたけ更新します。(汗)
…ということで、よろしくデス。

投稿: あかん隊 | 2010/01/09 23:54

■あかん隊さん、こんにちはsun
はいはい「数えずの井戸」といいまして、いちまぁ~い、にまぁ~いのおきくさんです(違うかもしれないけど)
新聞で掲載されていたものの単行本化。2100円はさすがに京極さんで、厚さもきっと・・・なのだけど、私は買いです♪
獏さんは、おっしゃるとおりで(^^)
テンポのよい会話劇みたいなところがありますし、余白が多いですよねー。
文庫化は一昔前は4年かかりましたが、最近は2-3年みたいですね。ネットの影響かな?
でも私は待てないっす。

ニフの件は了解です。コース変更だけならアドレスはそのままですね(^^)
ブログもニフをやめなければベーシックコースに変えると無料になるはずですよ。

投稿: たいむ(管理人) | 2010/01/10 11:03

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