『xxxHOLiC16巻』より。
「侑子と再会できる日をこの店で待つ」と決めた四月一日。そのまま宝物庫で倒れているところを部屋に運んだのは百目鬼。気が付いた四月一日は思わず百目鬼に確認をする。「侑子さん、知っているか」…と。
「おう」と答えた百目鬼にひとまず安堵する四月一日だったが、消えてしまった事実は変わらず気持ちは沈んだまま。そこに突然マルとモロが姿を現す。懸命に店の結界をはり続けていたマルとモロ。侑子さんは消滅する刹那、最後の力で店の留め、そして行った。それをマルとモロも知っており、四月一日は改めて消えてしまった事実を痛感する。
部屋を出る百目鬼。百目鬼は四月一日にこそ言わないけれど、四月一日と分けた目の力で侑子さんが消えるところを垣間視ていた。使うことのなかった卵について、そして使い方をモコナに問う百目鬼。「何も産まれない」卵。使うのは一度きり。一度きりしか使えない卵。一度しか使う必要のない卵。
・・使う瞬間は百目鬼が決めることなのだそうだが、一体どんな瞬間に必要になるのか――の種明かしはまだ先のことになりそうだ。きっと、八方塞りとなってどうしようもない瞬間、とても過酷な選択ってことなのだろうと想像。百目鬼だから出来て百目鬼にしか出来ない、とか言いそうだし。
「百目鬼 おれは、この店を継ぐよ。」
侑子さんをずっと待つと決めた四月一日は選んだ。漸く清算の時が来ていたアヤカシを視る力を手放すのは止め、その力で「願いを叶えるミセ」を続けていくという。そのために四月一日は自分自身の「刻」を対価に支払い、再び逢えるまでミセの中で「刻」を止めたまま生きていくことを選んだ。だから店からは出られない。『籠』の中の四月一日だ。
・・その選択をどうにかする力が百目鬼の卵にはあったのかもしれない。でも使わなかった百目鬼だった。う~ん、いつどんな時に百目鬼が選ぶのか、まったく底も天井も視えない『xxxHOLiC』だなぁ。(『ツバサ』は終わったらしいのに)。
ここから先が新章『籠』のスタート。それから4年後の世界だという。百目鬼は大学で【民俗学】を専攻。少なからず・・というところだろうか。店から出られない四月一日のためにもこれまでどおりにミセに通い詰め、といった感じだ。
イキナリ4年後に飛んだだけにすっかり店主が板に付いたかの四月一日で、仕事もそれなりにあるらしい。すっかり”落ち着き”を身につけてボケとツッコミで愉しませてくれるようなことは一切なくなってしまったが、”四月一日らしさ”はやはり健在なようだ。
店を継いだ当初は怪我ばかりしていた四月一日だったとのこと。願いを叶えるにはそれ相当の対価がいる。それは四月一日も承知していたことだったが、どうしても少なく要求してしまい、その分のツケを四月一日自身が支払うことになっていたらしい。今では正当な対価が測れる位に成長し、仕事で怪我をすることは無くなったというが、周囲(小羽ちゃんや占い師のおばあちゃん、百目鬼にモコナにひまわりちゃん)はやはり四月一日なだけに心配でならない。(誰もがちょくちょく様子を見に来ているようだが)。
読者への四月一日の初仕事は、三味線になった猫(持ち主)の願いを叶えること。宝物庫に保管されていた三味線用の撥によってその願いを叶えてあげる四月一日だが、アヤカシが見える力のほかに、「夢で知りたい事を知る術」を習得していた四月一日。もちろん師匠は遙さん。ほかにもいくつかの技を伝授したようだ。
マルとモロとモコナと、毎日のようにやってくる百目鬼とでそれなりに暮らしているようだが、この4年の月日が四月一日にとって長かったのか短かかったのか、ふいに1人になれば思い出すのは侑子さんの事ばかり・・・といった風なのが心配だ。「刻」を止めるということは、「時間」で癒されることもない、ってことなのかな?
出口の見えない迷路に迷い込んだような『xxxHOLiC』。OAD『籠』でも、もはややんちゃな四月一日を見ることは出来そうにないが、原作の続きと共に、期待して発売を待ちたいと思う。
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