« 祝☆アニメ『おおきく振りかぶって』セカンドシーズン! | トップページ | 「アバター」(3D・字幕)みた。 »

2009/12/22

『おおきく振りかぶって(13)』を読んで。

Oofuri13 半年ぶりの新刊。すこしはペースが上がったのかな?スポーツ漫画は時間の経過がリアルの何十?何百?分の1だったりするから、ちっとも進まない展開(試合)がまどろっこしくてしょうがない
県大会5回戦:美丞大狭山高校との試合も中盤戦の5回表。4回の裏で2点差にまで追い上げたが西浦高校だが、阿部がすっかり研究し尽くされたしまっているおかげで劣勢を覆せないまま試合は進んでいく。そしてついにトンデモないハプニングが西浦バッテリーに襲いかかる13巻。でも三橋くん!ほんの少しの間に立派に成長していたね
(以下、ネタバレしているのでご注意を。しかも長文)。

さすがに自分のリードが相手に読まれていることに気が付いた阿部は、三橋に首を振るサインを追加してその場をしのぐことに成功。だけどそれは目晦まし戦法でしかなく、結局阿部のリードパターンには変わりがなく、見破られるのは時間の問題といった一時しのぎでしかない。三橋と阿部の約束(力関係)を漸く把握したモモカンは、ここへ来て一気にツケが回ってきた事に愕然とするが、「お説教と課題の克服は試合の後で・・」とグッと堪えるところがさすがである。
追加点を許して5対2と、また3点差に離されはしたが攻撃面では上り調子の西浦ナイン。5回裏の攻撃は1番泉からで、美丞大狭山は速球派の投手への交代で流れをたち切る作戦にでる。しかし西浦ナインは毎度立ち上がりが不安定な投手:鹿島をうまく攻略し、泉・栄口・巣山・田島・花井によって2点を獲得、5対4にまで詰め寄る。替わって6回表は未だ首振り作戦が有効により三者凡退で切りぬける西浦バッテリーだったが、6回裏は下位打線の西浦で同じく三者凡退に終わる。そして魔の7回の表が始まる。
自分のラフプレイについて思考を巡らせる美丞大狭山の捕手:倉田。(どうやらこれまでのラフプレイにはコーチ:仲沢呂佳の黒い影が見え隠れ...といった風だが、その件に関しては次巻以降に持ち越しのようだ)。そのトップバッターの倉田は2塁打、次いで送りバント失敗とバントヒットから1死1・3塁のピンチを迎える西浦。当然スクイズ警戒の場面。美丞大狭山も警戒シフトを逆手に2盗を決めて1死2・3塁。そのままスクイズ警戒を続けるモモカンと西浦バッテリーだったがここで悲劇は起る。外した球をムリムリあてにいく打者。ボールは一塁線ギリギリを転がり、ダッシュして処理をする沖だったが、焦りからか阿部への送球が上にそれてしまう。ホーム上でボールに飛びつく阿部。そこへ走者の倉田が突っ込む。不安定な態勢の阿部はスライディングしてきた倉田に着地するのを避けようとするが、よけ切れず、結局倉田の腕に乗り上げて左膝を捻ってしまう。カクンとなって立ちあがれない阿部。やっとこ立ちあがっても立っているのがやっとの阿部。Ⅱ度の損傷から試合続行は不可能との診断が下される。(本人が大丈夫と言っても、モモカンが許すはずもなく)。
田島がマスクを被り、水谷がサード、西広がレフトへと守備交代。動揺する三橋。けれど三橋以上にビビっていたのがなんと田島。公式戦どころか三橋と試合で組むのが初めてでは、いくら田島でも当たり前だ。それでも三橋のコントロールが上手い田島。ビビリの三橋が強がって言った「頼って」に対して「頼らせてもらう」と持ちあげて、互いの動揺を相殺しようとするところは(天然であっても)巧みだ。
三橋と田島の即席バッテリーが誕生。ストライクとボールの指示はベンチからモモカンが出すことになった。でも配球は田島まかせ。紆余曲折しながら7回を2失点で抑え、8回は0点で凌ぐ2人。だが西浦の攻撃も8回9回の2回しか残されていない。既にベンチからの指示も敵にバレつつあり、さあどうなる?西浦1年目の夏はここまでか?というところで13巻は終了。

阿部が三橋に「3年間ケガも病気もしない」と約束した時から「ありえない」と懸念していた。三橋の正体(あの性格とコントロールの正確性)と2人の力関係を知れば、誰でも西浦バッテリーを攻略するには=阿部を攻略すれば良い、という簡単な公式を考えるだろう。手っ取り早い方法としては「阿部の退場」も考えた。(桐青戦では阿部のクロスプレイで三橋が青くなっていた伏線があるしね)。だから美丞大狭山(呂佳)のデータ収集と対策は当然のことで、そして自信過剰の阿部にとっても配球が読まれた事から三橋が打たれまくるのは当然の酬いと思った。でも、それでも「阿部負傷」のネタバレを目にしたときは少なからずショックを受けた私だった。「高校野球でそれはどうなの?」と。
「美丞大狭山戦における阿部の負傷退場・・・」の文章を、”wiki”での”三橋の説明”から出合い頭の事故のように目にしてしまったのはアニメ1期の放送が終了してしばらくした頃だったように思う。(その後、水島監督までもが「PASH!アニメーションファイル」にて何気にネタバレしているが)。だがなかなかその試合に到達せず、少なからず「阿部潰し」を考えた私でもあり、阿部の負傷が故意のものなのか、事故なのかが判らずにずっとヤキモキしていた。そしてようやく13巻にして真相に至ってホッとした。少なくとも阿部の場合は8割までは確実に事故に見える。でも、仮にもし送球が逸れていなかったら?と思うと恐ろしくもある。仲沢は倉田に一体なにをさせていたのか?今後何かが発覚することがあるのか?とても気になるところだ。
しかし、思わぬ(でもないけど)形から、三橋と阿部の無茶な契約が破棄されることになってとても嬉しく思う。正直、阿部君のケガにはもっともっとうろたえる三橋君だろうと思っていただけに、こんな真逆な反応が来るとは嬉しい誤算もいいところ。そういえば見かけによらず図太い性格だったりするもんね、三橋君は。
とにかく、結果オーライ的とはいえ、三橋君が大きな成長を見せてくれた。同時に阿部君も一皮むけたはず。三橋君は阿部君の後悔と無念をちゃんと感じ取り、自分の甘えすぎを自覚した。更に投手の役割、チームとは何かに気が付き始め、責任と安心と爽快とを朧気ながらも意識するようになった。阿部君は三橋君の性格と才能を利用しただけの自分の傲慢さを認め、心から頭を下げようとしている。たぶんこの2人の力関係はその性格(個性)からこの先も大きく変わることはないだろうけれど、三橋の阿部依存、阿部のオレ様度が共に抑えられるだけで逆に互いに対する信頼度は高まり、より強固な信頼関係で結ばれた真のバッテリーの誕生が期待できるものになったと思う。

あー、本当に良かった 阿部君の独白と三橋君の独白は何度読んでも泣けてくる。加えて田島君が阿部君(捕手の気持ち)をちょっぴり理解してくれたところも嬉しい。
おそらく、この夏の西浦高校はここまでのような気がしている。これで勝てたら奇跡だし。(勝利を願わないことはないが、まさかは逆に興覚めだったりも?)。目標には全然届いていないけれど、それでもチームとしても個々としてもこの大会で獲得したものは大きく、今後にも繋がるもので、私はそれで良いと思う。私の予想では必ず西浦VS武蔵野第一(三橋&阿部VS榛名)が実現すると思っていて、もしかしてこの決勝戦で?などと思っていたが、やはり時期尚早だったかな?と。今季がダメでも榛名は2年生だし、少なくともあと1年の内に何度かはチャンスがある。いずれきっと対戦が実現すると信じて期待している。既にモモカンから次の大会についてがほのめかされているし、とりあえず『おお振り』はまだまだ続きそうだし、今はナインの成長っぷりを見守り続けようという感じかな

アニメ2期目も制作決定!・・どころか春から(4月?)というからもうすぐじゃん。今度は1クールになるのかな?ならばこの美丞大狭山戦までといったところか?(14巻発売が半年後なら同期もとれるし)。いつもながら漫画では試合になると三橋・阿部・田島・辛うじて花井以外はすっかり背景になってしまう他のメンバーなのが残念なだけに、アニメでは目いっぱい全員の声と動きで楽しませて欲しいと思っている。

アニメも原作の続きも楽しみだ!!次なる情報を待つ!!

| |

« 祝☆アニメ『おおきく振りかぶって』セカンドシーズン! | トップページ | 「アバター」(3D・字幕)みた。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『おおきく振りかぶって(13)』を読んで。:

» 相棒&おお振り13巻 [別館ヒガシ日記]
相棒は事件から特命が京都で捜査の展開だが 今回は元日SPでの歴史ミステリーだったけども 千利休&信長&光秀&秀吉の謎が絡んだけど 犯行の動機インサイダーと歴史と関係が無くて 右京&たまき&神戸の絡み部分は良い感じも 神戸の恋... [続きを読む]

受信: 2010/01/05 21:14

« 祝☆アニメ『おおきく振りかぶって』セカンドシーズン! | トップページ | 「アバター」(3D・字幕)みた。 »