「のだめカンタービレ」23巻
のだめも遂にクライマックス!これで「完結」と思うと感慨深いものがあるが、すでに番外編「アンコールオペラ編」の雑誌連載が決定してるとのこと。23巻は失踪したのだめ、そして千秋のもとに戻ってきたのだめが中心に描かれており、ひとまずのだめ&千秋の問題は落着し、大団円を迎えることとなった。とはいえ、のだめの愉快な仲間たちのその後だって知りたいわけで、番外編の連載決定を本当に嬉しく思う。
よって確かに原作は最終回を終え、実写・アニメもクライマックス章に突入するけれど、それでも”のだめワールド”はまだまだ続くと思い、あえて(最終巻)とはしないことにした。
(以下、ネタバレしているのでラストの感動をじっくり味わいたい人はご注意ください)。
傷心の千秋の前に現れた雅之・・・で終わった22巻。ヴィエラ先生の画策は明白で、即刻退散しようとする雅之だったが、一言、思い出したように先日真一が指揮したヴェートーベンを「良かった」と褒めるあたりはやはり父親か。といっても、褒めどころは「(こんな父親を持ったのに)まっとうに成長している」というオチがつく。まぁ屈折した親子関係だからその真意は定かではないが。それに対しては二言三言悪態をつく真一だが、いつものように噛み付くこともなく、再びため息ばかりつく。(そこまで沈没している千秋だったわけだ)。それにはさすがにいつもと様子の違う息子が気になってつい”父親らしい”声を掛けてしまう雅之だった。そのまま親子で食事にでかけ、のだめのことをすっかり打ち明けてしまう真一。「変な女だな」が雅之の第一印象だが、のだめの心情を、雅之の音楽家としての経験から分析したものはなかなか的を射ていた。同時に率直な意見で真一を撃沈させるところがやっぱり雅之なのだけど
・・それでもそのまま父親の家に泊まった千秋。翌朝、雅之のピアノの音で目を覚ます千秋は、父親でもあるピアニストの千秋雅之を少なからず尊敬し、理解し始めたというところ。
さて、のだめの失踪劇はまだまだ続くかと思いきや、のだめとしてもパリヘ帰らないつもりはなかったようで、案外早くパリへの帰途へとついていた。・・が、列車内で寝過ごしてベルギーまで行ってしまうところはご愛嬌。そんな寄り道をしながらも、こっそりパリへと戻ってきたのだめ。ただし、心の整理もなんにもついていない状況は変わらない。
アパルトマンではヤドヴィが打楽器を使って作曲を試みていた。打楽器は音楽の原点というヤドヴィ。ピアノも打楽器のひとつであり、のだめは自分も以前は作曲をしていたと、ヤドヴィに「もじゃもじゃ組曲」を披露する。そしてすっかり意気投合しセッションしまくるのだめとヤドヴィ。
・・久しぶりに水を得た魚のようなのだめ。マルレオケの団員の子供たちが集まりだし、すっかりベビーシッターに没頭しはじめてしまうし、これが結果なのかと少し心配になってくるところ。なにしろかつての目標が幼稚園の先生だったのだめだしね。
一方、父親のプロ意識を実感した千秋は公演のためにブラジルへ。さすがはラテンの国、何かが違う。そんな陽気なラテンの国の空気にさらされて、突如”のだめのプロポーズ”を受け入れると決意する千秋だった。それは一連のことから、いつの間にかのだめとの未来を一番に考えるようになっていた自分だと気が付かされてしまったからで、「自分の傍にさえ居てくれたらいい、あとはのだめの好きにさせよう」という想いの芽生えから。黒木君からのメールでのだめの帰国を知った千秋は、想いを胸にアパルトマンへと急ぐ。そこには子供たちに囲まれて楽しそうなのだめが居た。ところが子供たちのリクエストを正確に演奏しない(できない?)のだめは、正直な子供たちにダメ出しを食らいまくり。「ヘタクソ」呼ばわりに奮起した負けず嫌いなのだめは、本来の実力を見せつける演奏を始める。誰もが圧倒され、魅了されていく。
戸口でのだめの演奏に聴き入る千秋。知らず涙もこぼれ落ちる。一度は「のだめの思うままに」と決心したものの、「それでもオレは、やっぱり何度でもあいつを、あの舞台へ連れて行きたいと思うんだ、このピアノを聴くために…」と一転、のだめに自分と一緒にコンチェルトをやろうと申し出る。ところが瞬殺。即座に拒否するのだめだった。
・・のだめものだめなりに千秋を失うことを何より恐れていたんだね。シュトレーゼマンとのコンチェルトはそれほどのもので、一番大切な千秋との共演がもしもダメだったら千秋自身も好きでいる自信がないと、本人を目の前にして断言するのだからヒドイ話ではある。でも、のだめのデヴューは、千秋とRuiがのだめの目標を奪ってしまったことに端を発していることもあり、別の形で目標を超えてしまったことから未来像まで見失ってしまったというのはわからなくはない。
けれど、千秋もそこで引き下がるほど諦めは良くない。嫌がるのだめを強引に連れ出し、ピアノが2台並んでいるニナの家へと向かう。「のだめをなんとしても引き戻してみせる」と千秋が指定した曲は、モーツァルトは「2台のピアノのためのソナタ」ニ長調。あの思い出の曲。「コンチェルトでも何でもないし」と異議を唱えるのだめだったが、千秋の挑発にのせられて演奏が始まる。
観客は突然の闖入者に驚くばかりのニナとその弟子。格段に腕をあげているのだめと、本格的なピアノの演奏から離れていた千秋。当時とは逆の意味でのだめに合わせなければならない千秋だが「絶対に合わせてみせる」という千秋の熱い想いは本物で、千秋の音と自分の音を重ね合わせたのだめは、見失っていたモノをようやく取り戻し、再び(みたび?よたび?)千秋の元へと戻ることに
・・よかった、よかったよー。千秋の想いがのだめに届いてほんとうに良かった。またそれだけではなく、のだめは様々な人たちと出会い、様々な体験をし、様々な影響を受けながら「自分と音楽」というものをとうとう見つけ出したようだ。それは最後にシュトレーゼマンがつぶやく「ちゃんと分けて、ひとつになった」の言葉のとおり。どこかのだめは千秋が好きなのか、千秋の才能が好きなのかハッキリしないところがあったのだけど(それは千秋も同じだが)、それはそれとして割り切りどころを見極めたような、逆にまるごと受け止めたような、いつしかちゃんと互い同士の本質を見つめあっていたことに気が付いたんだね。
のだめは学校へ復帰する為にオクレール先生へ直談判。追試を受けることで何とかなりそうだ。学びながらプロ活動もぼちぼち始める模様。それが答え。
のだめの愉快な仲間たちも、それぞれに目標を見つけて楽しそう。(日本の愉快な仲間たちのその後はスルーされてしまったが、いずれ番外編か何かで描かれるといいな)。
そして、今年もサン・マロのブノア家のサロンに招待されたのだめ。のだめの評判を聞き付けた人々が大勢集まる中、盛況の予感をさせたリサイタルでののだめの「楽しんで弾くので頑張って聴いてくだサイ」という挨拶(「またそれか」という千秋の呟きつき)で、オシマイ!
長かったような、あっという間だったような『のだめカンタービレ』本編。ドラマ化を機にハマった私だったが、ドラマの終了で途切れることなく最後まで見届けられたのは、のだめと千秋、そして仲間たちにすっかり魅了されたからではあるけれど、音楽の力が大きかったのは間違いないと思う。マンガでは唯一表現し切れない音の世界をドラマやアニメが再現したことで、より身近となって深い感動を味わうことになった。いまではただマンガを読んでいても脳が勝手に曲を再生してくれる。
それでも、やっぱりのだめと千秋のラブコメが最高の形で成就されたことが何よりも嬉しいかな?実写版「最終楽章」&アニメの「フィナーレ編」でも最高のラストを楽しみにしたいと思う。
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コメント
こんばんは!
ツンデレなだけに千秋ののだめを思うあの涙には・・
やられちゃいました。
いろいろあったけど2人で上を目指すことになるこの終焉は嬉しかったです。
終ったとはいえ映画も番外編もありますから。
まだまだ「のだめカンタービレ」は終らない!ですね!!
投稿: くろねこ | 2009/11/28 23:18
■くろねこさん、こんにちは
やられちゃいましたねー。
時間が無くって電車でこっそり読んでいたのだけど、泣きそうになって大変でした(^^;
欲張りでも、どっちも諦めて欲しくなかったし、うまくまとまってくれて良かったですね。
実写もアニメもこれからスタート。
予告編を見てすっかり盛り上がってます!
投稿: たいむ(管理人) | 2009/11/29 23:23
映画見て続きが知りたくて、レポートありがとうございます。のだめは小さい頃 私がヴイオリンで挫折した。昔の私がよく先生に怒られていた想い出や 英文科に入って外国で考え方わからなくって泣いたり。何時までも壁ってあると思いました。ずっと詳しく書いていただいてありがとうございます。
投稿: 鈴子 | 2010/01/20 21:37
■鈴子さん、こんにちは
ネタバレ記事には賛否があると承知で書いたものですが、喜んでいただけたとしたら良かったです。
前編のラストを観ると、続きが知りたくなりますよね。
ただ、劇場版では千秋の父親(雅之)のエピソードがバッサリカットされていたので若干異なるアプローチ(ヴィエラ先生が雅之の代役になるとか)になるかと思いますが、後編の予告を見る限り、ラストは概ねレポのとおりになるかと予想しています。
鈴子さんはいろいろとのだめに共感するところがおありのようですね。千秋のような存在がいてくれたら心強いのでしょうが、現実にはなかなか(^^;
結果は分かっていても、4月の公開が楽しみですね♪
投稿: たいむ(管理人) | 2010/01/20 22:14