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2009/10/19

「傷物語」西尾維新/著

Kizumonogatari アニメ『化物語』がなかなか面白かったので、前日譚である『傷物語』の小説を読んでみることにした。
アニメ『化物語』(というかシャフト制作アニメ)は独特な描写から人によって好みがキッパリ分かれることが多く、そもそも西尾作品自体の好き嫌いが両極端な傾向にあると聞いていたのだけれど、私はいずれも許容範囲内でどちらも愉しめた。(西尾作品は『アナザーホリックランドルト環エアロゾル ×××HOLiC 』も読んでいるし)。
『傷物語』は、『化物語』では半当事者・半傍観者的立ち位置から語り部となっている阿良々木暦が完全なる当事者になっている物語。副題も【こよみヴァンプ】。ちょっと可愛い感じだけど内容は結構エグイし、何気にしっかりエッチかなぁcoldsweats01

『化物語』では、阿良々木暦が元”吸血鬼”で、人間に戻った今でも後遺症として1割程度”吸血鬼”の特性が残ったままになっている(異常に早い治癒回復能力など)ことが語られ、何気に暗黙の了解となっているが、『傷物語』では何故”吸血鬼”になったのか?何故後遺症が残ったのか?がすべて描かれている。
結論から言えば、(ツッコミどころは満載だけど)なかなか面白い小説だった。
先にアニメを見たことから多少の前知識は持っていたが、それでもいきなりプロローグで「この物語はみんなが不幸になるバッドエンド」だと語られているのに少し驚いた。おかげで覚悟して読み進むことになったのだけど、いざ最後の試練の行きつくと、最悪を想定した分だけ「なーんだ」と思えるのは作者の思惑通りってことなのかな?確かにみんなに少しずつ傷が残ってしまうからハッピーではないのだけれど、これって実は”大岡裁き”の「三方一両損」と同じようなもので、つまりはバッドエンドを装った限りなくハッピーに近い落としどころであり、「してやられた!」って思えるところが良かった。
『化物語』とは、『傷物語』ありきなのだね。執筆こそ『化物語』が先だけど、これはどちらから読んでも問題のない、見事にリンクしあった作品に仕上がっているものと思った。
実は、アニメ『化物語』の冒頭は『傷物語』のダイジェストとなっている。何も知らずにそれだけ見るとサッパリ意味不明な映像(カットの連続)なのだけど、分かっていればそこにストーリーが見えてくるから面白い。まぁ、あのサブリミナル効果を狙ったようなワケワカラナイ演出には嫌悪感を覚える人も少なくないと思うけど。

さて、『傷物語』のもうひとつの大切な要素は羽川翼と暦との関係性。まったく面識のなかった2人が、事件直前に(アホみたいな)出会い方をし、事件を切っ掛けに交友関係を深めることになる。そして結構キワドイところまで行ってしまっていたのには少々ビックリ。(結果的にはヘタレでチキンな暦くんなので何もないが)。
にもかかわらず、アニメ『化物語』ではあっさり戦場ヶ原ひたぎとカップルになってしまった暦。(しかも最後はラブラブ)。でも時間的にそう過去ではない『傷物語』でこれほどまでに羽川と親密なのに「ええー?」と思うところではある。暦はともかく、少なくとも羽川は暦を憎からず思っているように思うしね。(ちなみに「ひたぎ×暦」のカップルはスゴク好きなのでまったく異議はないのだけど)。だからこの段階ではなかなか良い雰囲気なのにどうして恋愛関係に発展しなかったのか(猫事件が問題?)など、これから読む予定の小説『化物語』で分かったら良いなと思っている。
変態でスケベなのに、案外モテモテな阿良々木くん。私の中でも「阿良々木暦」は「四月一日君尋」と重なるところがいっぱいで(変態癖は考えないものとする)良い子で大好きだと思うキャラ。だからモテモテなのも分からないでは無く、単刀直入に速効で気持ちを伝えた(有無を言わせないともいうが)ひたぎの早いモン勝ちだったのでは?と解釈するところではある。とはいえ羽川の覚悟も相当のモノだったよなぁと。いかんせん肝心の暦が(スケベなくせに)ヘタレチキンだったのが痛かったか。

まるで内容の説明になっていないが、『傷物語』は”大岡裁き”が結論であり、話自体は至極単純なもの。そもそもこの小説は読んでコトバ(会話)を愉しむモノで、本文を読まなきゃ面白味の半分も伝わらないと思い、「気になるのなら読んでみるのが一番」と言いたいと思う。
小説『化物語』は、DVDをおさらいしながら並行して読みたいと思っている。アニメ(音声)での会話劇、テンポの良さ(映像的には早すぎるが)が面白かった分、小説はただなぞるだけになりそうな気もするけれど、何かしら補完出来たら(放送できないような会話とか)良いなと思っている。(後日譚の『偽物語』は”変態度”がパワーアップしているらしいので考え中。暴走し過ぎはドン引きしそうで、それで嫌いにはなりたくないし)。

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コメント

私もアニメの『化物語』は見ていたので、この本もちょっと興味ありなんですよね。
今度読んでみたいと思います。

しかし、アニメの続編が公式HPでネット配信されるのはいつになるんでしょうね?
楽しみにしているので、早く見たいですよ。

投稿: にゃむばなな | 2009/10/20 21:36

■にゃむばななさん、こんにちはsun
おお、やぱり見てましたね(^^)
サイドバーにDVD広告がいっぱいだったから、おそらくと思ってました。

「絶望先生」もそうだけど、あの意味不明さに興味がそそられるんですよね、私は、(^^;
アニメが気に入ったならば、これは読んでおくとより面白くなると思いますよ。ライトノベル感覚でサクサク読めると思いますし。

WEBでの続編は28日予定と聞いてますが、確定なのかな?
DVDにしか収録しないってヒドイですよね。でも、キャラクターオーディオコメンタリーも聞きたくて、DVDを買っちゃいました(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/21 11:27

たいむさん、こんばんは。
アニメは少しだけ見ました。あのテンポは確かに好き嫌いがありそうですが、私は面白かったです。

知らない間に終わってしまっていたのは残念ですが…coldsweats01

羽川と暦の距離感は、アニメでも気になってましたが、まさかそんな接近してたとは。。。小説「傷物語」も面白そうですねsweat01

投稿: GAKU | 2009/10/21 23:00

■GAKUさん、こんにちはsun
GAKUさんもOK派ですか(^^)

最近は1クールであっという間に終わっていたりしますからねぇ。
エロ・グロ・ヘンタイちっくで趣味に走った作品ではあるけれど、ちょっといい話でもあるので機会があったら是非に。

>羽川と暦の距離感
やっぱ素人目にはそう映りますよね。
「傷」だけを読むとますます疑問に思っちゃいますが、暦が羽川に対して恋愛感情に至らない理由も少し分かる気がするので、おかしくはないのかもしれません。(逆に引いてしまうくらい羽川ってスゴイってことなんだけど)。

ハッキリ言ってクダラナイともいえますが、暇つぶしには面白い小説でした(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/22 21:47

『化物語』原作はどんなんやろーってので興味津々です。
というのも、アニメは新房節炸裂だったじゃないですか。彼の手に掛かると、原作がどんなに普通の表現でも、独特の世界観に変わって行く気がするんですよ。『ぱにぽに』や『ひだまりスケッチ365』があんなになってしまいますからねえ…

それにしても新房さん、毎シーズン無茶苦茶に仕事しまくってるでしょ。どんな体力とイマジネーションしてんねん、って感心と同時に怖くなってくるんですよね。それこそ「ばけものか!」みたいな。
その中でも『化物語』は特にリキ入ってたように思うし。
グラフィックデザインのできない広告デザイナーの私には憧れの才能でもありますが。

投稿: よろづ屋TOM | 2009/10/24 00:29

■よろづ屋TOMさん、こんににちはsun
私も興味津津なんですよ。どうしたらあのアニメになるのか気になるし、でも「傷物語」を読んでみて何となく想像はついたような気はしてます。
きっとね、おんなじ(笑)
あの尺に全部を詰め込んだ結果アレになったって気がしてます。
すでに手元にはあるので、読み出したらおそらく一気でしょう。読んだら感想を書く予定ですw

「絶望先生」もそうだったけれど、アニメでは行の飛ばしっぷりが見事なんですよね。でもしっかりツボは抑えてあって、飛ばした部分のチラ見せだったり場面転換が実に上手い。西尾作品の、基本会話劇から、あのイメージで映像を作りだしちゃうってホントスゴイですよ。

私としては『モノノ怪』の中村監督(現ノイタミナ『空中ブランコ』もね)と新房監督は今後も要チェックです!

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/24 19:54

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