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2009/10/08

「ATOM-アトム- (吹替版)」(試写会)みた。

Atom 『DRAGONBALL EVOLUTION』に匹敵か、それ以上か。「こんなのアトムじゃないっっ!」と途中退席したくなる衝動を堪えて一応最後まで見続けた。コアな手塚作品ファンなら”冒涜”とまで言い出しかねない内容の無さにはため息も出ない。
過去の失敗を繰り返さないよう手塚プロもそれなりに介入したと聞いていたことから、見る前までは精一杯好意的にみてきたのに、鼻持ちならないクソがき設定なトビーそのままのアトムには結局最後まで好感すら持てず仕舞い。こう言っては何だが、心底アトムを愛するひとは、見ないほうが良いんじゃないかなぁ。
(以下、内容に触れているのでご注意ください)。

冒頭は(突飛な)世界観が説明され、そこには”ロボット”を使い捨ての便利なモノとしか考えない人間たちの傲慢が盛り込まれており、それが裏テーマになってるのかと少し期待したが、甘かった。”アトム”というロボットの意識は最初から最後までトビーのモノでしかなく、ロボットと自覚してからもなんら変わることなく、ほとんど人間の子供のようなの視点。身体の異変に気が付き(超感覚とか)、空が飛べると分かっても、インプットされたトビーの記憶だけで自分はトビーだと、人間だと信じ込んでいるのはテンマ博士のプログラミングのせいなのか?事実を突き付けられてもロボットとしての自覚が希薄だから、人間の子供並みに嘘はつくわ、誤魔化すわ、やることなすこと軽率で子供じみた行為ばかり。それでいて急に葛藤らしきものを見せられても上っ面なだけでチャンチャラ可笑しいばかりだ。
最終的にアトムが自己犠牲を発揮して世界を救ったことで、人間はロボットを認めてメデタシメデタシとなるのだけれど、それには「ちょっと待て。ぜんぜん解決してないだろっ!」と突っ込みたくなった。だって人間はロボットではなく救ってくれた英雄アトムを認めただけにしか見えなかったから。それに、【人間に危害を加えてはいけない、人間の命令には絶対服従(但し優先順位はある)、以上に反しない限りは自己を守らなければならない】といった”ロボット工学三原則”を持ち出しちゃってるから、アトムが人間を救うのは当たり前のような雰囲気にも感じられてしまう。(あるいは、アトムの心は人間だから人間を助けるのは当たり前)。やっとこテンマ博士が執事ロボットにファーストネームで呼ぶことを許すという落としどころでギリギリ”共存”をほのめかしているけれど、どれだけ伝わるんだか。。。

結局のところ、手塚作品のキャラだけを模倣しただけと私には感じられた。にもかかわらずEDだけはハリウッド超大作なみの時間を費やし長いのなんの。途中1963年のオリジナルのテーマソングが挟み込まれていて、3番までのフルコーラス+サビの繰り返しが聴けたのは良かったけど・・・、 ≪別物≫と断言したい作品なだけにちょっと複雑。

最初に人間のトビーに拒絶反応を起こしてしまったことから、全体評価も辛いものになってしまったかな。

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コメント

予告編を知った半年前に記事を書きかけて、予告編ですら耐え難くて筆を折りました。ははは…

NHKの朝のニュースで監督インタビューを見ましたが、彼が最初にやったのはアメリカ国内でのリサーチで、アメリカ人の不満な点というのが「アトムの絵があまりにも幼すぎる」事だったとか。
で、テイストを壊さずに“成長させた”のがコレなんですって。

それで不思議な事に思い当たったんですが、日本と比較した時、アメリカのアニメは内容があまりにも稚拙なのにも係わらず、絵だけは妙にアダルトだということ。バービーとリカちゃんの対比でもあきらかですが、日本は真逆ですよね。
これは日本のコミックやアニメの原点って虫プロ作品とタツノコ作品の完全に異なる二極的なテイストがあったのに対して、アメリカの原点はディズニーとハンナ・バーバラなどのCartoonしかないんですよ。(しかも未だに呪縛から逃れられてない)
バットマンなどもあったけど、アニメは完全に子供向けとしか言えない内容でしたし。

ステレオタイプな見方かも知れませんが、今の学生の世代はともかくも、そんなアニメしか知らなかった平均的アメリカ人の感性では日本のコミックやアニメに哲学や人生論を見出せと言うのは無理でしょう。
むしろPLUTOを読んでる今のアメリカの若者がこの映画をどう観てるか知りたいですね。

投稿: よろづ屋TOM | 2009/10/08 09:57

■よろづ屋TOMさん、こんにちは
>「アトムの絵があまりにも幼すぎる」
このやりとりはNHKの番組か何かで見た覚えがあります。
アニメのキャラデザインと同じく、欧米人の子供自体、肉体だけは早熟で図体はデカイは色気はあるわなのに、中身は幼さたっぷりの日本人の同世代の子供と同じというギャップに唖然とすることがありますしね。
ほんと真逆。

アニメーションに対する考え方とか文化の違いを思えば、こんなブツ切りで空っぽな作品になってしまったことも分からないではないけれど、これで「アトム」を名乗るとなると嘆かわしいばかりです。
怒りというよりは、不憫で悲しくなりました。
試写会で良かったですよ。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/08 18:19

CGアトムの顔が似てない、可愛くない!と思って文句言おうとしてたですが
内容まで酷かったですか~
見たら冒涜だ!と叫びそうなので見ないようにします
いっそ無かったことにならないでしょうかねぇ・・・

投稿: くまんちゅう | 2009/10/09 19:50

■くまんちゅうさん、こんにちは
あー、なんだかすみません。
少なくとも私には「酷い」というものでしたが、私の感想が「行かない」決め手になったとしたら責任が重いですね。
でも、冒涜だ!といいそうな予感がするのでしたら正解かもしれません。
わざわざ不愉快になりに行くこともないですし(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/09 21:55

観たんですね!
アトムの顔からして違うっと思ってたので観に行こうか迷ってました。評価の★ないし^^;
最初から期待はしてなかったしきっと評判は良くないだろうなぁとは思ってましたがこれほどとはビックリ。

投稿: yukarin | 2009/10/09 23:43

何時もお世話になっております。

ATOMそんなに酷いですか・・・

ドラゴンボールもアメリカではこのような観方なんだと割り切ったので可もなく不可もないみたいな感じで観ましたが・・・

今週は体調不良などもあり予定だった5作品さばくのは厳しいのでワーナーでは他良質な2作品(こちらの方がメイン)という事で正解かもしれないですね。

なかなか日本発のハリウッド映画で成功する映画は少ないですよね。
原作の個性が強ければ強いほど・・・
デスノートなどもそうですが、文化が違うとイメージが180度変わってしまう危険をはらんでいるだけに何でもハリウッド進出は考えものですね。

投稿: PGM21 | 2009/10/10 12:10

■yukarinさん、こんにちは
試写会にあたったので観ましたよー。
評価を入れなかったのは、ノーカウントにしたいと思うせめてもの気持ち。
どんな作品でも評価すべきところはあるのだけど、”好き嫌い”が先に立つとまともな評価になりませんので。

他に観たい作品があるのならば、そちらを優先すべきと思います。興味があるのならとめませんけど(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/10 20:03

■PGM21さん、こんにちは
私も「ドラゴンボール」は割り切ってみていたので可もなく不可も無くと笑い飛ばせます。もともと「ドラゴンボール」では哲学的な要素は薄いですし。
けれど、安易に手塚作品に手を付けたのはまずかったですね。
造形の違いだけでもマイナスなのに、文化の違いというにしてもお粗末すぎ。そんなに思い入れのない私でさえ悲しくなるデキでしたから。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/10 20:07

こちらにもお邪魔します♪
たいむさんは、もう試写会でご覧になっていたんですね。
ネタばれは読んでいませんが、最初の文章と★がないので
鑑賞予定に、いれていたんですが(アトム世代?で観たかったのですが)スクリーンでの
鑑賞は、やめようかなあと思いはじめています(^^ゞ
ドラゴンボール大好きで実写版観に行ってショックだった
記憶が蘇りました(^^ゞ

投稿: ひろちゃん | 2009/10/11 15:24

■ひろちゃん、こんにちは
やっぱ、★がないと皆さん気にするのですね。
★は、難しくて付けられない場合と、数を見せたくないない時に意図的になくなるんです(笑)
好意的でないのは文章で分かるだろうし、わざわざ赤点を発表してダメ押ししたくないじゃないですか。

観る予定を考え直しているとのことですが、そうですね、アトム世代で思い入れがあるならパスしても良いかと思います。観ないで後悔することはないと思いますし。
いずれにしても優先順位は最下位で良いと思いますよ。この先良い作品が目白押しっぽいですし。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/11 19:07

こんにちは。 ご無沙汰してます。

たいむサン、ダメでしたか~~。。。
私、実はかなり楽しんできたんですが、オリジナルのアトムをそれ程知らないからかもしれませんね。

>鼻持ちならないクソがき設定なトビー

これは同感 笑!
可愛げなかったなぁ。。。 

投稿: michi | 2009/10/12 09:29

■michiさん、こんにちは
michiさんはOKでしたか(^^;
私もそれほどアトムにも手塚作品にも想い入れていないのだけど、これはまったく受け付けませんでした。

>可愛げなかったなぁ。。。 
でしょでしょっ!(笑)
日本のアトムが強くで可愛くて優しくて優秀で誰にでも好かれる子供ロボットなのに、あの子はぜんぜんだもん。アトムが嘘をつくなんて言語道断。だからあの子はアトムではなくトビーなんです。
この映画にアトムはいないんですよ。

子供向けとしてはたくさん笑いを盛り込んであると思うけど、アトム世代の大人が見るに耐えうる作品ではないと思いました。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/12 12:13

こんにちは。

最悪の映画でした。原作の設定は詳しく知りませんが、ここまで訳の解からない話ではなかったでしょう。人間とロボットの関係というテーマは好きなんですが、その描き方があまりにも下手糞で腹が立ちました。

>人間はロボットではなく救ってくれた英雄アトムを認めただけ
ホントにそのようにしか見えませんよね。人間を襲ったのもまたロボットですし。

これに比べれば、原作に全く似ていないおかげで別物と考える事の出来る『ドラゴンボール』の方が全然マシです。

投稿: えめきん | 2009/10/17 20:07

■えきめんさん、こんにちは
あまり悪くは書きたくないのだけど、アトムに習って書いてしまいそうです(笑)

そうそう、まったく別物を笑ってスルー出来る「ドラゴンボール」だったけれど、これはあえて同じを強調しているところがツライです。
とにかくアトム好きには勧められませんね。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/18 09:47

ようやく観れたけど。
私的には、可もなく不可もなくです。
安らかに錆びてねの言葉にドン引き。
ピザにトッピングだと思ったら(青面涙)・・・
よくみんな食中毒にならなかったと思って。
ピザの・・・の方がよりドン引きしました。
上戸彩じゃなくもっと演技力のある人を採用しなかったのか。

投稿: ミント | 2009/11/09 14:43

■ミントさん、こんにちは
ドンビキしつつも、可もなく不可もなく・・なのですね(^^)
私は2度と見るつもりなし、ですねー(笑)
上戸彩も苦手ですし。

もともとタレント声優を起用した作品には否定的になってしまうんですよね(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2009/11/09 20:09

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