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2009/09/02

「ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~」みた。

Hottarake 人間が”ホッタラケ”にしてしまう、もっとも大切なものとは何か?
友情あり、裏切りあり、再起ありと、NHKの教育番組で放送されそうなモロに教訓ストーリーだった。
大切にしていたのにいつの間にか興味を失くして「ホッタラケ」。それを成長と呼ぶ場合もあるから一概に「ホッタラケ」が悪いこととは言えないけれど、単なる「忘失」と「ホッタラケ」の線引きはちょっと難しいよね?

幼き日に母親と死別した遙。それ以来父親と2人暮らしで現在高校生の遙だが、だらしのない父親には反発ばかりしてしまい、ギクシャクとした関係になっているこの頃だ。父親と口喧嘩した後、神社で奇妙な光景を目にした遙はそのまま”ホッタラケの島”へと迷い込む。そこは「ほったらかしたものはキツネたちが持ち去ってしまう」という、かつて母親が読んでくれた絵本さながらの世界、人間界で”ホッタラケ”にされたモノで出来ている世界だった。

遙は”ホッタラケの島”で自分自身の”ホッタラケ”に出会い、人間の傲慢とか、忘れていた大切なモノとか、見えなくなってしまっていたモノとかを思い出すことになる。それは大人でも胸にチクリと痛みを覚える内容でとても良くできているし、「ホッタラケ・シアター」にはホロリとさせられた。
しかしながら、この映画の残念なところはとにかく「子供向け」の映画にしか見えないところ。せめて主人公を小学生にして完全に「子供向け」にしてしまえばまた印象も違っただろうに、何かと”フリスク”をシャカシャカさせるイマドキの”女子高校生”という中途半端な世代を主人公に設定したことで、どことなくアンバランスになってしまった気がした。「ホッタラケ」が”幼き日の思い出”というには高校生くらいになっていないとダメで、痛みとして感じるには少し大人になっていない難しいのかもしれないけれど、この映画のドタバタ劇は大人が観るにはあまりにガキくさい。かといって小さな子供が主人公に共感して泣いたり笑ったりするにはちょっとハードルが高い。よってどっち付かずな、子供も大人も感情移入しきれないものになってしまったのではないかと思う。
・・とはいえ、大人が作っている作品なだけに”ホッタラケの島”のパーツパーツは大人心をくすぐるモノが満載!”昭和”の素材がところどころに埋め込まれているのを見つけると嬉しくなってしまった。(そもそもProduction I.Gの制作だから観に行ったようなもので、最初から映像には不安がなかったけれど)。

たぶん「もう2度とホッタラケにしないもん!」というのは綺麗言。現実的にそれは無理なんじゃないかなーと思うが、”気持ち”だけは忘れないでいられたら、って思うところではある。

総評:★★★☆☆++   好き度:★★★☆☆+   オススメ度:★★★☆☆++

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コメント

好みの差こそあれ、私は中々この3DCGが気に入りました。序盤ちょっと慣れるのに時間が掛かりましたけど。(笑)
結局テオと遥の関係性の浅さに比べて、コットンと遥の関係性の深さが際立ってしまったんで、それなら最初からテオを完全に案内役にさせちゃったほうがよかったのかとも思いました。
なんていうのかな、この物語を通してようやくテオと遥って絆ができたのかなって思うんですよ。
だからこれを踏まえて次回作があったら、もっと感情移入して楽しめるのかもしれないなって。

投稿: KLY | 2009/09/02 16:43

■KLYさん、こんにちは
誤植修正中にいらしてくださったようでお恥ずかしい限り。

そう、テオを遙の絡みがもう一つ弱いんですよね。おっしゃるとおりベタでもなんでもコットンとの再会をベースにした方が感動大作になったかもと私も思いました。
また、テオの動機もちょっと弱いんですよね。中途半端に裏切ところももう少し工夫があればなぁ。
「忘れていた何かを思い出す」というテーマは、「千と千尋・・」が秀作なだけに、お子様仕様の教育作品っぽく見えちゃいました。

私はテオも遙もあまり好きになれなかったので、続編はいらないかなー。完全にアドベンチャーするには遙は年をとり過ぎてる気がするし。

3DCGの映像には文句ありませんがw

投稿: たいむ(管理人) | 2009/09/02 16:58

たいむさん、こんばんは!

うんうん、たしかにどこの層を狙っているのか曖昧だったかもしれませんね。
大切なモノを忘れてしまっているということでは、高校生という年齢設定は適切だとは思いましたが、確かにキャラクターデザインを含めやや立ち位置が微妙でしたね。
もっとディフォルメしてしまえば、高校生設定でもおとぎ話的になったかもしれません。

投稿: はらやん | 2009/09/03 22:35

■はらやんさん、こんにちは
そうそう、ただでさえ3DCGの微妙なキャラを使っているのだし、もう少しデフォルメタッチでも良かったかなーと思いました。
ノリでいえば「ドリフ」とか「ヤッターマン」だし、やるならトコトン崩しちゃってもよかったかなーと。

良い作品と思うので見せ方をもう少し練って欲しかったかなーと思いました。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/09/04 08:30

こんにちは♪

あぁ~そうですなぁ~。
どの年齢層がターゲットなんかが判じ難くありますね。

ラストへ至るまでの道のりがホントにタルいと言うか
いまいち乗れることが出来なかったんで、ハズレとい
う思いだったんですが、ラストで明かされたテーマに
は涙してしまいました。

コットンの存在は殊の外、大きかったですよね。
自分も同じようなこと繰り返して来たから、彼のエピ
には後悔や一抹の寂しさを覚えちゃいました♪
(゚▽゚)v

投稿: | 2009/09/04 10:19

■名無しさん、こんにちは
だけど、タイミング的にも風情♪さんですよね?(^^)

いまひとつ何処にノッて良いのか分からない作品でしたが、「ホッタラケ・シアター」と「鏡の記憶」はグッと来ますよね。

コットンの例からも、モノに魂が宿ると大変です。使い捨て文化が定着した現在、身にしみるエピソードですよね。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/09/04 14:09

なるほどね~。
確かに女子高生ではなくもうちょっと小さいコでも
良かったのかもしれませんが、
そうするとなんか余計に某アニメ映画を思い出してしまう
可能性もあるかなぁ~なんて思いました。

投稿: miyu | 2009/09/13 19:31

■miyuさん、こんにちは
某「千と・・」ってアレでしょう?(笑)
今の、女子高校生を描きたかったのかもしれないけれど、遙は母親がいない一般的ではない家庭環境しすしね、それはそれとしても、もう少し捻って欲しかったかなーと。
子供ウケを狙いすぎな気がしました。

投稿: たいむ(管理人) | 2009/09/14 09:27

こんばんは。

和製フルCG映画もだいぶ進歩してきましたね。ストーリーの方も思った以上にしっかりしていた印象で、僕的には及第点でした。

>”昭和”の素材がところどころに埋め込まれている
僕もそこには感心しました。特にプラモデルの枠で飛行機を支えている場面は、ガンダムのプラモデルのCMを思い出して笑ってしまいました。

投稿: えめきん | 2009/09/24 22:21

■えきめんさん、こんにちは
>和製フルCG映画もだいぶ進歩
ホントですよね。
近年3D上映なんかも登場しちゃうかもしれませんね。

>ラモデルの枠で飛行機を支えている場面
思ったおもったぁ~~~!
本編より背景を見ているほうが楽しかったりして(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2009/09/25 14:38

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