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2009/09/23

『小説 東のエデン』 神山健治〔著〕

Eden 2009年4月から9月、「ダ・ヴィンチ」(5-10月号)で6回に渡って連載されていた小説版『東のエデン』。連載は中途半端なまま第6回で終了し、イキナリ「単行本の発売決定!」と言われた時には愕然としたが、続きが読めるのは単行本しかないと言われてしまえばもう、「買うしかないじゃないか!」ってね。
終了していないのだから≪大幅な書下ろし≫は当然と思うが、連載分もカナリの加筆修正がされていたように思う。連載は”小説”でありながら風景・情景・心理・心情描写の表現が少なく、アニメを見たまんまでしかないややぶっきら棒とも言える文章で書かれていることも少なくなかったが、単行本ではそうした部分が若干捕捉されており、≪アニメでは描かれなかったオリジナル・エピソード≫と併せて”小説らしく”なったように思った。また改行の工夫やフォントを変えるなどして、より読みやすく、内容が分かりやすく改善されていたところも評価したい。(エラソ~coldsweats01

加筆修正&オリジナルエピをあげ出すと本当にキリがなさそうなくらい。アニメでは良く分からなかった部分も、この小説を読むと納得できる部分が多々あるように感じた。
第一には、
「ピーガラガラプー」 
耳に当てた携帯電話から、ファックスを送信したときのような、甲高い電子音が聞こえてきた。

これは咲と出会う直前の滝沢を表現した一文。アニメの最終回を見た人は、今ならこの擬音が何を意味するものなのか解ると思うが、正直私はアニメの最終回では「ピーガラガラプー」が何なのかすぐには解らなかった。見ようによってはノブレス携帯が使用不能になったことから咲に託したのかと思いもしたが、【№9】の履歴から、再度”洗脳プログラム”をダウンロードしたことが判り、また残高が僅かながらに残っているらしいと分かってやっと状況を呑みこんだのだった。そして小説でやっとあの音は”洗脳プログラム”実行の音だったと分かった次第だ。確かにアニメ1話を見直すとしっかり「ピーガラ」しており、活字になって漸く気が付くんだから面目次第も御座いませんとひれ伏すのみなのだけどcoldsweats01。(ちなみに連載時にはこの文はない)。
余談になるが、小説ではミサイル攻撃のあと滝沢は抱き上げた咲をそのままメリーゴーランドに乗せて自分も白馬に跨がるという”羽海野チカ画(カバー絵)”が再現されていた。私はアニメでこのカットが使用されなかったのを残念に思っていたため、なんだかとても嬉しく思った。

”映画”がらみの話題もだいぶ加筆修正されていた。簡単に言うと「羅列」から「会話」に変わった感じ。特に日の出埠頭での咲と滝沢の会話は大きく変わっている。他、細かいことを言えば、パスポートと各国の紙幣の束を見たときの「これじゃデ・ニーロじゃなくってジェイソン・ボーン」という滝沢の発言の、”デ・ニーロ”が”トラビス・ビックル”に変更されるというこだわりにはニッコリするところ。”ジェイソン・ボーン”は役名だから対にするなら”トラビス”じゃなくちゃなんだよね。(ちなみにDVDでもアニメは修正されていないが)。
”東のエデン”サイトについてもエピソードがプラス。CDでのエピゼロ【創園編】でかなり捕捉されていたが、さらに平澤の”お尻ーダー(おしりーだー)”という具体的なエピソードの追加から、”東のエデン”サイトのなんたるかがより分かりやすくなった気がした。また、最終回に滝沢がニート達へ配信したメールや映像のカラクリには板津が大きく関与しており、”東のエデン”サイトを発信源にしているなどの種明かしもされていた。「やりよるのぉ、ワシ」と病院で自分を褒めていた板津だったが、これで納得だ。
そして、「ぎゃふん」発言のカラクリなども、ソースが愛人のメール云々などよく解らないからそのままにしていた部分も納得できる説明が加えられており、各セレソンの”履歴”に関して理解度が高まった気がする。まぁ第3者(サポーターあるいは他のセレソン)の介入らしき何かもほのめかされていても、どのみち謎は映画に持ち越しなのだけどね。(物部・結城・黒羽・辻らセレソンについても多少追加されていた)。

Air_king それでもやはり一番は、エピローグの追加だろう。
映画は「滝沢朗が消えた、半年後の物語」とのことだが、エピローグには咲の3ヶ月後が描かれている。
ミサイル事件によって地に落ちた日本の政治・経済。ミサイル攻撃直後には突入した機動隊に拘束されて滝沢とは離れ離れになったこと。事情聴取に3日を有し、以後さっぱり滝沢の行方がしれないこと。(しかも滝沢が事情聴取された形跡がない)。それでいて、ミサイルを撃ち落とすかの滝沢の姿はニートたちの携帯にしっかり収められており、とめどなくネット配信されたことから世界では≪撃墜王≫=AIR KING(エアキング)の称号を受け、謎の男は【革命】のシンボルとして、それこそ”チェ・ゲバラ”のように若者の支持を得ているようだ。(同時に、動画を配信していた”東のエデン”サイトも注目を浴びる結果に)。それが劇場版のチラシに描かれているワケだね(↑)。
その後の咲は手元に残されたノブレス携帯を心の支えにして、滝沢のこれまでの軌跡を追う旅を始めたようだ。ワシントンでの滝沢のアパートは焼失していたりと痕跡はなかなかたどれないようだけど、「きっとどこかで私を待っている」と信じる咲の努力が嬉しいし、2人にどのような再会が待っているのか、映画がさらに楽しみになるような余韻の残るしめかたが良かった。
結論こそないが、アニメで釈然としていない人はもちろん、小説単体としても十分楽しめる1冊になっていると思う。気になった方は是非手にとって見て欲しいと思う。

Sainbon 最後に、私の小説本は9/19に紀伊國屋書店にて直接神山監督からサインをいただいたもの。同日のトークイベント終了後の慌ただしさの中、100人分ものサインを黙々とこなされていた神山監督、大変お疲れさまでした。
一生の宝物として大切にします!(そう言いながら読んでるんだけどw)

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コメント

余談ですが
総集編行ってきました。

ジェイソン・ボーンが
タクシードライバーになってました。(笑)


話それますが
グランブルーが見たくなりました。


ピーガラガラブー
…そういう事でしたか。
(遅っ)

やっと本が手に入ったのでこれから~…(遅っ)

投稿: Ageha | 2009/10/05 18:07

■Agehaさん、こんにちはsun
いいなぁ、総集編。
上映期間が限られているので、ちょっと難しそうです。
特別番組の録画もまだ見てないし・・・(><)

>ジェイソン・ボーンが
>タクシードライバーに
あらあら、ボーンも最初から登場してますぞ。
パスポートはそこからのもだし。数も同じですよ(笑)

>グランブルー
あーごめんなさい。見てないかも。
滝沢は基本的には「タクシードライバー」みたいですねぇ。

古い映画からの引用が多いのは、今の子にはちょっとウケが悪い見たいですね。
実は、私でさえ「コールドブルー」も見てなかったりするし(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2009/10/06 08:05

あ~、アニメ版の細かいとこ忘れそう~(笑)
もうすぐ劇場版公開でとっても
待ち遠しいです~~。
DVDのラストだけがレンタル間に合うかどうかってとこで。

スタッフブログのほうでもちょこっと書いたので
TBさせてくださいませ~。

「タクシードライバー」も
そういや見てないな・・・(コラ)

投稿: Ageha | 2009/11/21 18:39

■Agehaさん、こんにちはsun
私も細かいトコまで把握できてないんですよね、実は。
新しくなった携帯ゲームは、「東のエデン」カルトクイズ60問!みたいなのが始まって、三択問題とにタイピングなのに頑張っても10問程度で爆死してしまいます。私もまだまだですね。(^^;

いよいよ来週公開!楽しみですね!!

投稿: たいむ(管理人) | 2009/11/21 21:18

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