アニメギガ(24)~アニメーター:西尾鉄也
第24回目のゲストはアニメーターの西尾鉄也さん。20歳のとき「おそ松くん」の動画担当でデヴューして以来、徐々にステップアップしていき、現在ではキャラクターデザインや作画監督を務める、日本を代表するアニメーターの一人だ。
ご自身は、I.G関係作品での特典映像からもとても愉快な方と思っているが、番組では終始真面目なトークが多かったような気がする。でもかえって「これが西尾鉄也だ」と印象を受ける番組になっていたように思う。
出世作であり代表作なのが、現在もキャラデザと作監を務められている『NARUTO-ナルト』。アニメ化にあたり、原作者のたっての希望で西尾さんが抜擢されたとのことだ。以後6年間変わらず担当されており、最新作の劇場版『NARUTO-ナルト疾風伝~火の意思を継ぐもの』ではクライマックスのアクション部分も担当されたとのこと。(ここでは西尾さん担当の公開前初出映像がOAされた。・・といっても一度も見たことが無いアニメだから有難みがさっぱり分からない私だけど)。
子供のころからマンガ(イラスト)を描くのが好きだったとのことで、当時はアニメと漫画の区別はなかったらしい。「アニメ」を認識し興味を持つようになった切っ掛けは、やはり世代的にも『機動戦士ガンダム』だ。安彦良和さんの原画やレイアウトなどが掲載された『ガンダム』のムック本が当時お手本になっていたとのこと。意味も分からないのに絵に添えられた注釈だったり、ささっと鉛筆で描いたような感じまで真似しまくったとのことで、とにかくアニメーターが描く絵を模写しまくったことで腕が磨かれていったようだ。ビデオが一般家庭に普及し始めてからは、コマ送りの機能を使って「アニメ」を学んだという。その後アニメ専門学校を経てプロの世界へ。なんとブレない人生というか、本当に描くことが好きなのだろうね。
アニメーター西尾鉄也として”こだわり”があるとしたら「動き」とのこと。「絵」に対してのリテイクに抵抗はないが、「動き」に関しては「まかせてくれよ」ととても強い自信と自負をお持ちのようで、例えば演出意図から別の動きを要求される場合でも、自分に戻して描かせてくれというくらい、常にプライドを持って取り組まれているということなのだろう。「これは譲れない」と言えるだけの実力が持っているから言えることであり、職人気質的なところがカッコイイなって思う。
「アクションの西尾」であると同時に、キャラデザでは「オヤジの西尾」と言われている。私の知っているところでは『攻殻機動隊2nd.GIG』がそうだ。女・子供・イケメキャラ担当は後藤さん、ゴーダはじめクセのあるオヤジキャラ担当は西尾さんだ。
西尾さん曰く、1人のアニメーターが描けるイケメンはイイトコ1人か2人。あとは似たり寄ったりになってしまうのが一般的だが、世の中の”オヤジ”が多種多様であるように、”オヤジ”ならばいくらでもイメージができ、楽しいのだそうだ。
リアルを追及した『人狼 JIN-ROH』では、作監でありながら沖浦監督のダメ出しを何度も食らい、多くのことを学ばれたとのことだった。以降押井作品に関わることが多くなった西尾さんであり、『スカイ・クロラ』につながっていくことになる。実は、『スカイ・クロラ』は立候補して、完全オリジナルキャラクターのデザインをやらせてもらったとのことだ。しかし、採用されたのは良かったが、押井監督の”止まったように動かせ”という要望にはかなり頭を悩ませたとのこと。結局この映画では、「正確さ」とも違う「リアリティが感じられる表現」に尽力して、それが成功したとのことだったようだ。
最後に、演出や監督に転じていくアニメーターが多い中、西尾さんは(たぶん今は)「アニメーター」が面白いと言われていた。アニメーターの魅力を「未だ模索中」だからだそうだ。
※再放送は、2009/8/1 土曜日(金曜深夜) 午前2:35∼3:14[BShi]
次回は声優・音響監督の千葉繁さん。千葉さんといえば、主役というよりは脇役系で聞けば分かる声優さんの1人。声優さんの回お馴染みの生アフレコも聞けるだろうか?楽しみ!
放送日は、2009/8/24:月曜日(日曜深夜)午前0:20∼0:59[BS2](予定)
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