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2009/06/18

『Pandora Hearts (パンドラ ハーツ)』を大人買い。

Pandora 梶浦由記さんの音楽(オルゴール曲)に誘われて見始めたアニメ『Pandora Hearts』。オカルト・ミステリーちっくなストーリーと、回想によって謎が解き明かされていく構成が好みで、毎週楽しみにしているアニメの一つとなっていた。主人公:オズ・ベザリウス役が皆川純子さんなのもポイントが高い。コードギアスのコーネリアのような女性役も好きだが、皆川さんといえばやっぱり私には「越前リョーマ」なんだよね。久しぶりに少年役での皆川さんが堪能出来るのが気に入っている。また、ブレイク役の石田彰さんが無条件にポイントを上げている。イジメっ子イヤミったらしくて道化がかった役をやらせるとウマいんだよねぇ。オチャラケていながらも時折ゾッとするような冷徹さを見せる切り替えが上手いから、安心して見ていられるしね。
こうなるとどうしても原作が読みたくなるのが私の悪い癖。今回も我慢できずに大人買いしてしまう大人げない私なのだった。とはいえ、原作は未完の物語で(似た?ところで『黒執事』がそうだったように)アニメでは決着がつかないのが分かっているからという理由も付け加えよう。(ちなみに『黒執事』は2期目の制作が決定したようだね)。
・・以下、あらすじは意味がないので省略。でも、若干ネタに触れているのでご注意を。

ベースは主人公:オズの成長物語と思う。幼き頃に父親に存在を否定された事から自分を失くし、何もかもを「そういうものだ」と受け入れることで自分の存在を保っていたオズ。しかしそれも過去の因縁からくる必然であり、「アリスの記憶」と「アヴィスの意志」、過去の真実を解き明かすことで自分の役割と使命を知るために奮闘中のオズである。オズの周囲にはこれもまた必然的に過去の惨劇に関与した人物が集まっており、断片的なパズルのピースが徐々にハマっていくことで物語は進行する。その中でオズは事実の認識と人々との関わりによって”かくれ自暴自棄”な性格を克服しはじめるのだが、それは最後に行き着いた「真実」に耐えうるだけの強さを身につけているようにも思える。おそらくそうしたオズの変化(成長)が「再びの悲劇」を食い止めるカギになるのではないかと予想するところ。
「バラバラになった記憶を集める」は『ツバサ』であり、ジャックとオズの関係はどことなく『地球へ』のソルジャー・ブルーとジョミーを彷彿。異形のモノとの契約ネタやそれによる弊害と副作用などもどこかで聞いたようなような話だが、似て非なる別の作品として十分面白く出来ていると思う。

ひととおり原作を読んで、まず、この作品は「アニメが原作を超えている」と思った。キーアイテムとなっている「オルゴール時計」の音(曲)のイメー ジが実際にあるとないとでは大きく違う。やはり音の効果は絶大だ。そして、並ではない”ビーラビット(血染めのうさぎ)”の”強大なパワー”を「文字」と 「カット」程度でしか表現できていない原作を、アニメは見事にスピード感溢れる連続した動きに仕立てることでしっかりと”強さ”を補完してくれた。更にと ころどころスキップしている原作の、ブランク部分に辻褄のあうオリジナルエピソードを追加することで物語に深みを持たせ、時間の途切れを無くすことで登場 人物たちそれぞれの心の動きをより分り易くすることに成功し、原作で受ける”唐突感”を見事に解消したアニメになっている。具体的に原作の2巻までをアニメは8話も費やすほどに丁寧な作りをしている、といえば良く分ると思う。(大抵コミックス1巻でアニメ2-3話くらいが一般的と思うが)。
正直なところ、アニメが原作を補完しているようなものと思い、原作のお粗末さを確認した「大人買い」になってしまった感じだ。
でも、なんだか分らないけど途中放棄させない何かがある作品だとも思っている。「オズの罪」が何なのかは知りたいし、アリスが記憶を取り戻した時に何が起こるのかなどは非常に気になるところ。・・・しかし、年齢というギャップで謎めかしていてもレイブンはどっから見てもギルだって種明かしされなくても分るし、オズを”アヴィス”に突き落とした人物が誰なのかは簡単に想像がつく。「オルゴール時計」のアリスの記憶の断片から登場した謎の人物の正体がわりと あっさり明かされちゃった時は肩透かしを食らった気分に。しかも切り札的存在なのに都合良くちょこちょこと現れ過ぎではないか? また(8巻ではあるけど)唐突にブレイクの正体が暴露されちゃうのは何の為?とか思う。(時間切れも近いし、この辺でそろそろオズと真の仲間にしたかったのだろうけど)。逆にシャロンは完全に蚊帳の外に置かれてしまい、アリス(ビーラビット)まで出番が減ってしまっているのは如何なものだろう?能動的な 「記憶探し」は未だかつてみられないし。全体的に行き当たりばったり感が否めず、ブレが感じられるのは気のせいではないような気がしている。
張った伏線を驚愕の事実として回収することなく、これ見よがしなヒントを多発して一方的に答えを提示することで「謎」を完結させながら話を次に進めてしまうよ うな見せ方が多く感じられるところを非常に勿体なく思う。この手の作品では、「十中八九間違いないだろう」と思わせながらも確定されないことによる”不安 定さ”を漂わせるのがポイントで、段階的に確定することで次のステップに進むませることはあっても、全てが繋がるの最後の最後までお預けみたいな作りが燃 えるし萌えるというもので、爽快感と敗北感の両方を味あわせてくれる作品が最高の作品だと私は思っている。この作品でも回想によって明かされた事実には 「なるほど」と思い、新たなる展開を面白くも思うけれど、謎について推理する間もなく答えをチラ付かされては楽しみは半減してしまうというもの。見せ方ひ とつでもっと面白くなるのになーと、本当に勿体なく思う原作『Pandora Hearts』と思った。

この先、原作ではオズとギルの間 に「すれ違い」が起こりそうな予兆みえていた。有りがちな展開だが、嬉しいはずのオズの成長は逆にギルに疎外感を植えつけ、そんなギルのオズに対する「忠 誠心」という名の「独占欲」にヴィンセントが付け込んでギルを掻き乱しそうな感じがする。オズはオズで漸く「オズ」である事にプライドを見出したというの に、一番信じているギルが”ジャックの身代わり”として自分を見ていると誤解(?)して傷つき、ギクシャク・・・みたいなことになるのではないだろうか? 長編になると身内での不協和音エピソードは定番みたいなものだが、どの道和解するのだから鬱々した展開はあまり長く引っ張らないで欲しいと思う。

ほとんど原作を貶すような文章になってしまったが、続きが気になっているのは確かで、バッサリ切り捨てるにはオシイというのか、それなりに魅力を感 じている私なのだと思う。(分り易いアリスのツンデレに、敵も味方も親切で巨悪の居ない優しい作品だからかな?・・と自己分析 )とりあえずは原作9巻を待ちながら、肉付け強化されたアニメの後半戦を楽し見たいと思う。
サントラも7/8に発売になる。これはちょっと欲しい。でもレンタル開始まで我慢かなぁ。もう1枚でるらしいし。

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コメント

熱く語っておられますね〜〜!
なんか嬉しいな。といっても私はアニメしか観てませんが、たしかにあの絶望系ともいえそうな暗澹たる物語に、梶浦さんの切なくも美しい楽曲はよく合ってますよね。

NHKの『その時歴史が動いた』の後番組の音楽も担当されたり、アニソン作曲家もどんどんメジャーに登っていくなあという意味でも嬉しくて。(あの歴史番組はイマイチだけど)
そらそーと、パンドラハーツのOPでfiction-junctionが複数だということを始めて知ってビックリしましたよ。YUKAちゃんだけだと思ってたから。

投稿: よろづ屋TOM | 2009/06/19 00:17

■よろづ屋TOMさん、こんにちはsun
長文だけに熱く語ってるように見えますかー。実際原作は唸るような作品じゃないと思っているのがバレバレで、結構キツイ内容だったりするのだけど(^^;。だけどなんか気になるし、ひっかかるんです。伊達にアニメ化されていないってことなのでしょう。それが悔しくてこんなに長くなりましたって負け惜しみに近い感じかな?(笑)

折角熱く語ってる事に「嬉しい」って言ってくれてるのになぁ(^^;

そうそう、内容は案外絶望系なんですよね。真実はそれこそ「絶望」みたいな匂いがぷんぷんだし。んで、梶浦さんの曲が良く合うと(^^)
系統としては「ハガレン」に近いのかもって今思いました(笑)

梶浦さんの活躍の場ってどんどん広がってますよね。fiction-junctionが複数なのは以前から知ってましたが、kalafinaなんかもあるし、たくさんのユニットを組んでいるから実のところ私も実態が良く分かっていません。

YUKAちゃんには、またこんどSEEDの劇場版でカガリのイメージ曲を歌ってほしいです(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2009/06/19 01:07

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