アニメギガ(23)~声優:名塚佳織
第23回目のゲストは声優の名塚佳織さん。幼女から大人の女性まで、ツンデレからギャグキャラまでを幅広く活躍中。小3の時に出演したミュージカルでアニメーション監督の大地丙太郎さんの目に留まり(大地監督曰く、「ピン」と来たのだそうだ)、大地監督の推薦で受けたオーディションから、中2の時に『だぁ!だぁ!だぁ!』の主役に抜擢。『だぁ!だぁ!だぁ!』で声優デヴューした、『交響詩篇エウレカセブン』でもコンビを組んだレントン役の三瓶由布子さんは同じ年とのこと。仲が良いのも頷ける。
『だぁ!だぁ!だぁ!』はBS2で”再放送”した時に視聴していた覚えがある。正直なところ主役の2人はあんまり上手ではなかった気がしていたが(今回初めて名塚・三瓶コンビだと知った)、監督は”等身大”を表現したくてキャラと同じ年の新人を起用したとのことだったようだ。当時のアフレコ現場の秘蔵映像をちょっぴり見せてくれたが、垢抜けていない名塚・三瓶コンビが実に初々しかった。
お馴染み生アフレコのコーナーでは、『だぁ!だぁ!だぁ!』の未夢、『ギャグマンガ日和』のさゆり、『エウレカセブン』のエウレカを披露。まるで違うキャラクターを見事に切り替えて演じてくれた。特にさゆりが良かったなぁ。早口でまくしたててる途中に「おえっ」とか擬音が入ったりしてお見事だった。
現在も舞台で活躍している名塚さん。舞台と吹き替えの違いについて、芝居では役に成り切ること(自分一人が陶酔するようなこと)が必ずしも良い演技ではない思われていて、常に等身大の自分自身が演技していることを意識するようにしているとのことだ。逆にアニメではどれだけ絵にあっている声であり感情表現が出来るかが大切で、自分自身を出し過ぎてはいけない場であると言われていた。元は一緒でも180度異なる演じ方には、観ている側の感想として、「なるほど」と思える説明だった。
世界名作劇場『レ・ミゼラブル 少女コゼット』のコゼット役では、幼少期から少女を経て母親になるまでの3タイプを演じられていた。同一人物での3役は年齢と環境を常に視野に入れた演技を心掛けていたとのこと。子供ならば信じる心の強さの現れであり、母親ならば子供を安心させるような穏やかさというようなことで、作品からはそれぞれの立場や状況を考慮して声を作っているのが良く分り、常日頃から役作りをとてもよく研究されているのだと思った。
エウレカについて、エウレカは兵士であり、異星人?であり、孤児の母親であり、思春期の女の子でもある、実際の名塚さんとはかけ離れたキャラクター。まず「人間ではない」という感覚でいてはどうしても限界があるため、逆に人間としてどうなのかを置き換えて考えていたとのこと。そこで名塚佳織としてエウレカに共感する部分を上手く演技に乗せることで、”エウレカ”を作りだすことに成功したといった感じのようだ。名塚さんのエウレカに対する京田監督の評価は、雑誌のインタで「名塚佳織がいる限り、エウレカは作り続けることができる」と言わせるほどにとても高く、声優冥利に尽きるような京田の発言には名塚さんも感無量のようで、涙をポロりとこぼされながら、認められることの嬉しさを素直に口にされていた。
ちなみに、名塚さんにとってのレントンは「ヘタれ」で、彼氏にするには頼りないから圏外とのこと
最後に、名塚さんにとって「演じる」とは、「名塚佳織を作っていくこと」とのこと。演じることで演じた他人を自分に吸収し、様々な感性を身につけることによって他人を理解する上での糧となっていく、といったところだろうか。なにやら将来の夢は黒柳徹子さんのような”ボランティア活動”をすることだそうで、その上で「名塚佳織」のキャパシティを拡げていきたいってことらしい。
今後一層の活躍を期待したいと思う。
※再放送は、2009/6/26 土曜日(金曜深夜) 午前1:05∼1:44[BShi]
次回はアニメーターの西尾鉄也さん。西尾さんといえば、まず押井学作品でなじみ深いのだけど、神山健治監督作品にもちょこちょこと名前を連ねているお方。どんな話が聞けるのか非常に楽しみ!!
放送日は、2009/7/26:月曜日(日曜深夜)午前0:20∼0:59[BS2](予定)
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